Love Live!Aftertalk!

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ラブライブ!サンシャイン!!無駄話 ~空の旅人の正体を探って~「SKY JOURNEY」と「白い羽根」

SKY JOURNEYに関するお話をぼんやりと。

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■SKY JOURNEYの物語

2ndLIVETOUR色々な出来事がありましたが!

トピックスとして思いつくものの一つとして、「SKY JOURNEY」が「HAPPY PARTY TRAIN」の「続きの物語」であることが、キャストの口から明言された...というものがありましたね。

名古屋・神戸公演では「SKY JOURNEY」を披露した直後のMCで毎度語られておりました(何故か埼玉では割愛されましたが)。それだけ強調する...ということは、我々になんらかの意図を伝えたかったのかな?とも思えます。

そこで今回は、この「SKY JOURNEY」に関する個人的なインプレッションを、いつも通りぼんやりと書いていこうかなぁと思います。

既に語られつくした部分もあるとは思いますが、2期開始前の暇つぶしにでもボンヤリとお読み頂ければ幸いです。

 

■「ラブライブ!サンシャイン!!」のイデオロギー

「SKY JOURNEY」が「HAPPY PARTY TRAIN(以下HPT)」に連なる物語である...ということは、まずは「HPT」の持つ物語性を読み解く必要がありますね。

「HPT」は「君のこころは輝いてるかい?」「恋になりたいAQUARIUM」に続くAqoursにとっての3枚目のナンバリングシングル。

2枚目のシングル「恋になりたいAQUARIUM」はμ'sの2ndシングル「Snow halation」に倣って「ラブソング」としてあてがわれた枠...という気がします。そう考えるとこの曲は一連のラインナップの中ではいずれ「イレギュラーな楽曲」という扱いにもなっていきそうです。

となると、「HPT」は1曲挟んで「君ここ」に連なる「ラブライブ!サンシャイン!!」という作品の「正統なイデオロギー」を継承する楽曲なのかな?と想像できます。

では、そもそも「ラブライブ!サンシャイン!!」の「イデオロギー」ってなんなのだろうか?となるのですが、その「イデオロギー」に影響を与えた「物語」は意外にもパっと浮かびます。

それは、やはりラブライブ!The School idol MOVIE(以下劇場版ラブライブ!)」ではないでしょうか。

 

■「劇場版ラブライブ」と「サンシャイン」

「劇場版ラブライブ」と「ラブライブ!サンシャイン!!」の世界観が強い近似性を持って描かれているのでは?という発想は、当ブログの基本的な姿勢でして...。

この辺はそれこそ、あらゆる考察記事でしつこいほど書かせていただいているので、ここでは概略に留めさせて頂きますが。。

例えばデビュー曲である「君のこころは輝いてるかい?」の歌詞が、「劇場版ラブライブ」の主題歌「SUNNY DAY SONG」のアンサーソングとして作詞されているようにしか思えなかったり...。

ishidamashii.hatenablog.com

 特典曲「太陽を追いかけろ!」にも「SUNNY DAY SONG」へのオマージュが捧げられているように感じられたりとか...。

或いはアニメ版の物語全体に、「劇場版」へのオマージュ的な視線が捧げられていたりとか...。それこそ例は枚挙にいとまがありません。

そう考えれば、「HPT」にも、「劇場版」が伝える「イデオロギー」が継承されているのも、自然なことのように思えます。

 

■HPTの歌詞世界

HPTの歌詞を読み解いてみましょう。

冒頭の「開いた 花の香りから 受け取ったよ次の夢を」が「劇場版ラブライブ」のラストシーンに紐づけられているのでは?というのは、前回のHPT考察記事でも触れた通り(ここに関してはHPT発表時に指摘されている方が多数いらっしゃった部分でもあります)。

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 冒頭から続く「さぁどこへ行こうかな 跳ねるように行こうかな」という歌詞も「劇場版」の物語全体を通して、終始「跳ね」続けた、主人公=穂乃果を想像させます。

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 更に連なる「はじまりと(さよならを) 繰り返して」という歌詞。

ここには「終わり」を選択することで、そこから「新しい夢」が始まることを期待したμ'sのメンバーと、「映画」そのものの「結論」も象徴されているように思えます。

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たこの「始まり」と「終わり」が「繋がり」→「繰り返される」という「輪廻的な構造論」は、「劇場版」の物語全体の構造(冒頭幼少期の穂乃果の耳に、その時点ではまだ誕生していないはずのSUNNY DAY SONGが聞こえてくるといった描写)と関連しているだけでなく、彼女達のラストシングル「MOMENT RING」でも主張された、やはり「ラブライブ」というシリーズ全体が持つ「イデオロギー」とも言えます。

 

■「輪廻」を繋ぐもの

「劇場版ラブライブ」では、「終わり」と「始まり」を繋ぐものの象徴として「SUNNY DAY SONG」が登場しました。

この楽曲はA-RISEのリーダー綺羅ツバサが、μ'sのリーダーである高坂穂乃果に「スクールアイドルを代表する曲を作ってほしい」と依頼し、共に生み出した「スクールアイドルのアンセム」です。

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この楽曲は例え時代が過ぎ去り「μ'sやA-RISEが人々の記憶から消えた」としても、この曲を聞いた人に「彼女達=スクールアイドルの願い」と「希望」をいつでも呼び起こすことが出来る「装置」として存在する楽曲でもあります。

いわば「希望」を「喚起する」ための「触媒」として存在するもの。それが「SUNNY DAY SONG」でもあります。

HPTの楽曲世界にも同じモチーフがテーマとして用いられているのでは?というのは、以前に「HPT」をPVの構成から読み解いた時に示した考察でした。

ishidamashii.hatenablog.com

 「終わり」を「終わり」として受け取るのではなく、「終わり」を「新しい始まり」として受け入れることで、「自らの視点を変化させる」。そうすれば「終わってしまうという事実」に打ちひしがれるのではなく、「終わるからこそ」逆に「今を楽しむのだ」と「ポジティブにとらえ直せる」はず。それは「運命」に関しても同じ。「ままならぬ運命」すらも「楽しんで」しまえれば、「運命すらも乗りこなすことが出来るようになる」はずという考え方。即ち、自らの「人生」についてすら楽観的になれる。

だからこそ「HPT」は、レール(定められた運命・時間・時代を象徴するもの)を自ら「外れ」、「自由な宇宙」へと「跳んでいく」のでは?というのが、前回の考察の内容でした。

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こう捉えると、「HPT」も「SDS」も「同じテーマ」を以て作られている楽曲であることが、よりはっきりと分かるような気がします。

 

■空の旅人

「SKY JOURNEY」は「HAPPY PARTY TRAIN」の「後のお話」である。

となると「SKYJOURNEY」の正体は、「SUNNY DAY SONG」が持つ役割と同じ。即ち「時間」や「時代」や「運命」という定められた「枠」から外れ、あらゆる時代に偏在するもの=「希望」を人々の胸中に「喚起」すべく遣わされた「触媒」と考えるのが正解かもしれません。この二つに共通するのは、「希望」を胸に秘めながら、「輝きを待っていた」人々の心に「希望」をはっきりと目に見える形で「具現化」してあげる役割を持っているということ。

どこから来たの? ずっと遠くから!
答えてるようで答えてない
君は
まるで僕の知らない 世界にいたと

 あらゆる「時代」「時空」に偏在する「概念」だからこそ、「まるで僕の知らない 世界」から来た...と表現されているのでは、と納得ができます。

どこを目指すの? もっと遠くへと!
答えが空を 指差してた
君と
まだ見ぬ場所について 話してみたい
心躍る 未来の鼓動

 上と同様の存在だから、「もっと遠く」の「未来」へも飛んでいく。

すぐにここから次へと旅立つだろう
その笑顔には 
(ためらいがなくて)
羨ましくなるよ眩しい故に

 「すぐにここから次へと旅立つ」のは、「希望」を人の「胸」に「喚起する」こと自体が、「SKYJOURNEY」の「存在理由」だからなのでしょう。「希望」を「喚起」させたら、すぐにまた「次」の「輝きを待っている人」の元へと飛んでいく、という風に解釈できます。

胸に確かなもの持ってたら
それだけでなんとかなるって
どこへ行っても 語り続けて
勇気が伝われば 大丈夫
そんな熱い想い 君から
受けとるのは 僕だけじゃない
世界も広く 熱いよ

 「受け取るのは 僕だけじゃない」。それは「希望」が「時代」や「時空」とは関係なく、どんな人の胸の中にでも、「あまねく存在する物」だからでしょう。

 

■羽根

...ここまで書いていて、どうしても思い起こすのは「ラブライブ!サンシャイン!!」における「羽根」の存在です。

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ラブライブ!サンシャイン!!オフィシャルファンブック」において、酒井監督はこの「羽根」を「ある種の象徴」として登場させたと語っていらっしゃいます。

以下抜粋。

この羽根、実はずっと千歌の目に映っていなかった。第1話の時もずっと。もし、この羽根がμ'sが見ていた”なにか”だったら、第12話のあそこで初めて見えるようになった。そしてその手につかめるんだろうなと。

(中略)これは自分の個人的な解釈なのですが、μ'sがくれた”夢”に羽根があったとしたら、風に乗ってバーッと飛んで、いっぱい散らばって。おそらくAqoursみたいなスクールアイドルたちは全国にたくさんいて、その羽根はみんなに平等に届いています。その時は見えなくても、その瞬間に心が動いて「なにかをやらなくちゃ!なにか始めたい!!」と思えたきっかけがその羽根だと思います。

(中略)自分はあの羽根が1つだけじゃないと思っています。夢の数だけ、羽根がある。その1枚が、アキバから離れた内浦にも降りてきていたのだと。(後略)

「その時は見えない」が、「希望」を抱いた瞬間に「目に見えるもの」。この「羽根」こそ「SKY JOURNEY」が「輝きを待っている人」に「渡しているもの」なのでは?と思えます。

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「サンシャイン」だけでなく、「ラブライブシリーズ」においても度々重要なモチーフとして登場する羽根が、「SKY JOURNEY」という楽曲と繋がっている。

そう考えれば、「SKY JOURNEY」という楽曲が「ラブライブ」シリーズ全体においても「重要な意味」を持つ楽曲なのでは?と理解できる気がします。

...ということで、「SKYJOURNEY」に関する個人的なインプレッションでした。

ちょっと難しい内容で、文字にするのに時間がかかりました。また、分かり辛いところなどはちょいちょい手直ししていこうと思います。悪文で申し訳ない。。

 

さて、いよいよ本日22時半から「二期」スタートです!皆でこの「旅」を楽しみましょう!

いつだって、今いる場所から走り出せる ラブライブ!サンシャイン!!2期開始に寄せて

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なんとなく、何かを「失っている」。ふとした拍子にそんな気分になることはないだろうか。

この正体のわからない「喪失感」が、もしかしたら個人的な感覚ではなく、時代に共通してある感覚なのではと思ったのは、昨年ヒットした2本の日本映画にその感覚が共有されていたから。

一つは君の名は。

この作品の主人公二人は、正体のわからない「喪失感」を抱えて日常を生きる若者。物語内ではそんな「喪失感」が、「恋愛」にシンボリックに置き換えられて表現されていた。更にはSFを用いた壮大なスケールの物語へと発展していったわけだけど、その根幹にあるのは「生まれながらに何か大切なものを忘れている(失っている)のでは」という感覚だろう。

もう一つはシン・ゴジラ」。

戦後日本が築き上げてきた「虚栄」を「ゴジラ」という「止めようのない災厄」が容赦なく破壊する。そんな徹底的に破壊され尽くした焼け跡の中から、失っていた「何か」が浮かび上がる。残された人々は「それ」を頼りにもう一度立ち上がり、戦いと復興に挑む。「フィクションと現実とが絶妙にクロスする」なかで、「現実でもこうあってほしい」というある種の「願い」が表出するこの作品の背景にも、現代社会に対する「喪失感」を強く感じる。

 

そんな2つの作品が公開された2016年にラブライブ!サンシャイン!!」は放送開始された。

本作の主人公=高海千歌も、やはり「喪失感」を抱えた少女だった。

自分のことを「普通星人」と呼び、自分の住む沼津・内浦を「ここには無いもない」と考えている少女。そんな彼女が出会った「スクールアイドル」。そして「μ's」。そこには自分と同じような「普通」の少女たちが、「スクールアイドル」として活動する中で「キラキラと輝く」現実があった。

この出会いが彼女の中の「何か」を変えた。

「スクールアイドルになりたい」

「μ'sのようになりたい」

かじり聞いただけだと、確かに不純な動機に聞こえるかもしれない。けれどもこの思いの根幹には「輝きたい」という、ただただ純粋な「願い」がある。

そんな純粋な「願い」は同じような「喪失感」を抱えた仲間を救い、やがてそれは大きな輪へと広がっていく。

彼女達は「願い」によって自らの視点をも変化させる。「何もない」と思っていた場所には元から「全てがあった」ことを知る。「願い」の果てに傷付いたとしても、新しい「願い」を胸に立ち上がることが出来る。そしてラスト。一つの大きな「答え」を手にする。それは「願い」を形にする方法。「輝くこと」と「その意味」を知った彼女たちは、間違いなく「願い」を胸に「喪失感」を超越してみせた。

もしもAqoursの物語があなたの胸を打ったのだとしたら、それは彼女たちの物語が他人事ではなく「あなたの物語」だからだ

この「喪失感」に支配された世の中で、生きていくことはとても息苦しい。でもひょっとしたら、ほんの少しの「勇気」と「願い」があれば、何かを起こせるかもしれない。どうしようもない「今」を変えられるかもしれない。

もちろん「大きな変化」には至らないかもしれない。けれども「変えたい」と「願う」ことで「自分の中の何か」が変わる。それがきっと「大きな変化」に繋がると信じる。僕らもまたそう信じたいからこそ、この物語に強い共感を覚える。そんな気がして仕方ない。

2期で果たしてどんな物語が描かれるのか。それこそ全く未知数だけども、「輝くこと」の意味を知った彼女たちの行く末は、とても希望に満ちている気がする。

「勇気を胸に」輝ける「未来」へと走り出す「物語」。

そんな「彼女達の航海」を、今一度見つめることが出来るのは、こんな時代だからこそとても幸福な事だと思う。

最後に尊敬する映画監督の言葉を拝借して。

生きることが、人間らしく幸せに生きることが
どんどん難しくなっていくこの時代。
しかし若者たちよ、夢をもってほしい。
きみたちは未来に生きる人たちだ。
その未来を、きみたち自身の夢でつくってほしい。
できるよ。きっとできるよ。
それを信じて、夢をもて。希望をもて。
あきらめるな。夢をもて。
これから生まれてくる子どもたち、
その父となり、母となるきみたちを、
僕は心から誇りに思うよ。

大林宣彦

~今夜は踊り明かそう~ Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOURインプレション Pops heratを巡る脳内旅行

  埼玉公演に関する雑談をボンヤリと。  

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2ndライブツアー埼玉公演の楽曲で何が印象に残っている??と問われて「Pops Heartで踊るんだもん!ですね」と言われたら、あなたはどう思うだろうか。

ピンと来ないものの愛想笑いで答えるだろうか。あるいは内心「コイツほんと偏屈だな」と思いつつも曖昧に同意するだろうか。はたまた「どうかしてるぜ」と率直な意見をぶつけてくれるだろうか。どの選択肢も間違いじゃないし、正解だ。そんな戯言をのたまう僕自身が「どうかしている」と思うんだし。

埼玉公演2日目。ツアータイトル曲でもある「HAPPY PARTY TRAIN」に続いて披露された二曲目が「Pops Heartで踊るんだもん!」だった。

元々はBD特典曲第1弾として発表された曲。特典曲としては最も早いリリースだったことも相まって、これまでもミニライブを中心に割と頻繁に披露された曲だ。故に特別な新鮮味もない。なんならそれほど「好き」な楽曲というわけでもない。「なるへそ、特典曲っぽいなー」くらいの認識だった曲。そんな1曲が自分の中で大化けしたのは、ただひたすらにシチュエーションの問題なんだろう。埼玉の、ツアーファイナルの、月明かりの下でのこの楽曲は、不思議な魅力を纏っていた。あの日の僕は確かにそう感じた。

■楽しくて一日が短いからね

「楽しい時間はあっという間に過ぎるもの」

そんな言葉、語りつくされているけども。けれどもそれを実感する機会は意外と少ないもんで。とはいえ、少なくとも2ndLIVETOURを追いかけ続けたこの数か月間(厳密には6日間)は、「それ」を実感する毎日だった。

始まった瞬間に「終わること」を恐れ、「終わる」瞬間には「またすぐに会いたくなる」。いい大人になってなお、そんな感覚に出会えることは驚きでもあるけど、大きな喜びでもあった。

楽しくて 一日が短いからね 

1番のサビ入り。なんの比喩も無いダイレクトな言葉。しかしながらその言葉が、自分の心にはグサっと刺さった。

ライブが始まった瞬間には、実のところ「これがツアーファイナル」という実感もそれほど無かった。故に「これでしばらくAqoursのライブが見られなくなる」という実感も無かったわけだけど、この瞬間その「事実」を嫌が応にも実感してしまった。だからなのかもしれない。僕は唐突に寂しさに見舞われた。

しかし次の瞬間には、気持ちを切り替えられた。厳密には続く歌詞が僕を救ってくれた。

思いっきり 笑いながら
明日のことは 明日考えよう
夢のような 瞬間がここにあるよ

「終わってしまう」という事実は変わらない。だとしたら「笑いながら」過ごそう。

おもしろく過ごしたい それだけだよね
ユウウツなんて 踊り飛ばそう
悩みが汗で 流れて消えて 
からだ軽いみたいさ
楽しい日はあっという間に
終わるってことを
いまはまだ言わないでいて
帰りたくない 帰らないでいいよ
夢のような 瞬間がここにあるよ

「くよくよ考えている間に死んでしまう。だったら今はただ踊ろう」と言ったのはデヴィット・ボウイだったか。

なんだか不思議な寂寥感と多幸感に挟まれて感情が迷子になり、自然と涙ぐんでしまった。

畜生。不意打ちとは恐ろしいもんだ。

とにもかくにも「悲しむ」ことよりも「踊る」ことの素晴らしさを伝えた、という意味で。そして感情が著しく揺さぶられたという意味で、この曲は2日目のMVPに相応しい楽曲になった。あくまで個人的に。

 

...ただ、よくよく考えると、これって「HPT」にも通底するテーマだ。

「別れ」を悲しむのではなく「別れ=新しい始まり」と捉えるのはどうか。そうすれば必ず「過ぎ去って行ってしまう時間」という「運命」すらも、自分自身で「乗りこなせる」のではないか。僕は以前「HPT」のPVに関してこう考察した。

ishidamashii.hatenablog.com

 「Pops heart~」で例えれば、「必ず終わってしまうライブ」について「終わってしまう!」と悲しむのではなく「どうあがいても終わってしまうのだから、今この瞬間を楽しもうよ!」ということだ。これって「HPT」と全く同じ「テーマ」じゃないか。

 だとすれば、「HPT」ツアーの最終日で表題曲に続いて披露されたのも、そして僕の心を乱れさせたのも、決して偶然では無いんじゃなかろうか。そんな風に思えてくる。

 

とかなんとか、どうしようもない戯言を書きながら、あの日の多幸感を反芻している。

月明かりの下。ただただ無心に「今」を刻み付けるべく踊った時間は、やはりかけがえのないものだった。

うん、やはり最高の一日だった。それだけは確かだ。


Toploader - Dancing in the Moonlight

We get it almost every night
When that moon is big and bright
It's a supernatural delight
Everybody's dancing in the moonlight

Everybody here is out of sight
They don't bark and they don't bite
They keep things loose they keep it tight
Everybody's dancing in the moonlight

Dancing in the moonlight
Everybody's feeling warm and bright
It's such a fine and natural sight
Everybody's dancing in the moonlight

We like our fun and we never fight
You can't dance and stay uptight
It's a supernatural delight
Everybody was dancing in the moonlight

Dancing in the moonlight
Everybody's feeling warm and bright
It's such a fine and natural sight
Everybody's dancing in the moonlight

We get in almost every night
And when that moon is big and bright
It's a supernatural delight
Everybody's dancing in the moonlight

Dancing in the moonlight
Everybody's feeling warm and bright
It's such a fine and natural sight
Everybody's dancing in the moonlight

 

(僕らはほぼ毎晩 大いに楽しんだんだ

 月が大きく空に輝いていたよ

 その喜びはとても神秘的なものなんだ

 誰もが月灯りの下で踊っているんだ

 ここにいる皆を視界に捉えることは出来ない

 彼らは大きな声を出すわけでも無いし

 噛みついたりするわけでもない

 リラックスしてる人もいれば

 そうでない人もいたりして

 誰もが月灯りの下で踊っているんだ

 月灯りの下で踊っているんだ

 誰もが素敵な気分になってるのさ

 めちゃくちゃ楽しくて

 それでいてみんな気取ってないんだ

 誰もが月灯りの下で踊っているんだ

 僕らは大いに楽しんでいるし

 争い合うことなんて決してないよ

 君は踊れないから ピリピリしてる

 その喜びはとても神秘的なものなんだ

 誰もが月灯りの下で踊っていたんだ)

~「勝利」のシンプルな「ロジック」~ラブライブ!2期 ハイライト #10「μ's」

こんにちは、或いはこんばんは。

前日に引き続き、ラブライブ2期ハイライトをお送りして参ります。

ここまで来ればほぼ考察は終えたようなもの。スピーディーに参りたいと思います。今回はアニメ版「ラブライブ」の根本的なテーマに迫る回。それゆえに意外と重要なエピソードだったりもします。

ということで、早速参りましょう#10「μ's」です。

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■#10あらすじ

予選決勝の結果、見事本選出場を決めたμ's。本選への準備を進める中で去来するのは3年生との「別れ」。とはいえまずはラブライブに集中せねばと、その思いを閉じ込めます。本選に向けて事前に観衆に対してインパクトを持たせるため、キャッチフレーズを考えるμ's。しかしなかなか良い案が浮かびません。自分たちを象徴する「フレーズ」とは何なのか。思い悩む中、ヒントをくれたのは意外な存在でした。

 

■#10主要人物

高坂穂乃果

自分たちの特長とはなんなのか。思い悩む穂乃果。リサーチを続ける中で気付いたのは、自分たちが「続けてきたこと」こそが「自分達の特長」なのだという事実でした。

・綺羅ツバサ

A-RISEのリーダーにして、μ'sの憧れの的。しかし予選決勝でμ'sに敗れた、という事実がツバサの胸の中に一つの「モヤモヤ」を生み出します。彼女がその「モヤモヤ」の正体を打ち明け、解決を求める時、この物語もまた動き出します。

 

■1年の終わり
いよいよお正月。
嫌が応にも一年の終わりを実感せざるを得ないシチュエーションに。

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初詣ではA-RISEと遭遇。
この時点では予選の結果を知らない視聴者には緊張が走ります。果たして勝者はどちらなのか。

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すれ違った後ツバサから与えられる激励の言葉。
「優勝しなさいよ!」

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この言葉からμ'sはA-RISEを破り、東京代表として本選へと進むことが明らかになります。
μ’sにとって憧れであり、目標であったA-RISE。
その対象から与えられる激励は、μ'sが本当に認められた証。
ホッとした顔で「はい!」と答えるμ's。

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穂乃果の部屋には予選通過の証となる盾。そして本選出場チケットが。
また、この盾はμ'sがスクールアイドルとして初めて手にしたものです。
そこには象徴的に9つの「星」が瞬いていますね。

 

■願い事

それぞれ初詣で「願う」こと。

穂乃果の願いは「9人全員で最後まで楽しく歌う事。」

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「優勝」ではなく、9人で「やり遂げる」こと。
何故μ’sが勝つことが出来たのか。その理由に迫る今回。
穂乃果の「願い事」もまた、大事なポイントとなっていきます。

 

■3年生3人の「思い出作り」
1・2年生とは別に、希の「仕事」の手伝いをしている絵里とにこ。

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3年生である3人には、彼女達だけの「想い出」作りも必要なのかもしれません。
その事実は花陽の「3年生がいられるのもあと3ヵ月」という言葉で実感へと変わっていきます。

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「3年生」の卒業と、μ'sの「未来」について。「ラブライブが終わるまで」お預けとなっている話題。3年生の「最後」に花を添える。それが今の1・2年生の原動力となっています。

 

亜里沙の願い

姉を訪ねる亜里沙。彼女の願いは音ノ木坂に合格してμ'sの一員となること。

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それは暗に絵里達が卒業したとしても、グループとしてのμ'sが「存続する」ということを確定事項として捉えている...という意味に繋がります。
自分たちがいなくなった後の「μ'sについて」。やはり話し合う必要がありそうですが。
絵里の心は揺れています。

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■決勝戦
各グループが1曲ずつを歌い、その評価をWebと会場の投票で決める。シンプルでありながら、スクールアイドルの戦いに相応しい方式。50組の中からいかに「印象に残る」か。それがキーワードになっていきます。

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3月の本選までの間に有効となる「キャッチフレーズ」。μ'sを一言で言い表すキャッチフレーズとは何か。それを考えることになります。

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ちょっとムリクリ感は否めない伏線とは思いますが(笑)。
とはいえ、前回までの物語を踏襲すれば、自ずと一つの「キャッチフレーズ」へと行き着く。そういう意味では、#9で描かれた物語をしっかりと伏線として使用できているような気もします。

 

■キャッチフレーズ
メタ表現として「嫌」ってほど使用されている印象もある信号機。今回も考えがまとまらない時には「赤」。

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ヒントを与えてくれる存在となるツバサが現れると「青」に変わります。

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しかしながらツバサからこの瞬間にぶつけられるのは、更なる「難題」。故に信号機は再び「赤」へと変わります。

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■ツバサの疑問。
ツバサの疑問とは、何故「自分たちが敗れ」「μ'sが勝利」したのか、というシンプルなものでした。
もちろんツバサも、μ'sが勝利した理由には思い当ることがたくさんある。それはμ'sが絶えず努力し、練習したから。その成果がパフォーマンスに現れたから。
けれども自分たちとて、劣らぬパフォーマンスをした自負がある。それなのに何故μ'sの方が観客の「心をつかんだ」のか。
その理由を、ロジカルな答えを、ツバサは欲しています。

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しかし穂乃果は、そんなツバサの疑問に率直に答えられません。この「答え」を見つけることが、今回の物語の軸となります。

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■客観性としての雪穂
自分たちの魅力が分からない穂乃果。一番身近な「ファン」=妹である雪穂に自分たちの印象を訪ねます。

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雪穂の感想は率直そのもの。

「心配」「危なっかしい」「ハラハラする」...。
でも「姉だから」「地元だから」とは関係なく、「応援しなきゃ」という気持ちにさせる、そんな存在。

「応援」こそが、彼女達を突き動かす原動力となる。それは前回#9でも視覚的に表現されたものでしたね。

 

■もちつき大会
唐突なもちつき大会の開催。それを応援してくれた「みんな」へのお礼の気持ち、と穂乃果は表現します。

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おもちが何かのメタファー...というのは流石に考えすぎですが(笑)。
ただ、μ'sが「作ったもの」「みんなで分けて」「喜びをシェアする」というのは、彼女達にとっての「アイドル活動」と同じようなものなのかもしれません。

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「自分たちのため」だけではなく、あくまでも「みんなと喜びをシェアする」ために「アイドルをやる」。
おもちを食べる皆の姿を嬉しそうに見つめる穂乃果の表情からも分かる通り、それこそがμ'sの「特長」なのかもしれません。

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■穂乃果の答え
神田明神に奉納されている無数の絵馬。そこにはμ'sを応援するものが多数。それを見た瞬間、ひらめく穂乃果。

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「μ'sってこれなんだよ!」
「一生懸命頑張って、それをみんなが応援してくれて一緒に成長していける。」
「それが全てなんだよ。」
「みんなが同じ気持ちで頑張って 前に進んで 少しずつ夢を叶えていく。」
「それがスクールアイドル!」
「それがμ'sなんだよ!」

憧れの対象ではなく、「共に進む」対象としての「アイドル」。それはもしかしたら「プロ」では共有できない視点なのかもしれません。

「みんな」がいて、「みんなの応援」があって、初めて成立するもの。

それが「スクールアイドル」。

そして、その観点に最も近い位置にいる「μ's」。

だからこそ、「スクールアイドル」の大会である「ラブライブ」では、A-RISEよりも多くの「みんな」の心をつかむことが出来る。

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穂乃果は得た答えを直接ツバサには伝えず、キャッチフレーズとして彼女に見せる...という選択肢を取ります。
確かな確信をもって電光掲示板を見つめる穂乃果。

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その意図と思いは、ツバサにもしっかりと伝わりました。だからこそ、ツバサは「なるほど...」というような笑顔を浮かべるのでしょう。

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■「みんなで叶える物語」
「みんなで叶える物語」。
これはまだμ'sという名前すら無い頃に、「プロジェクトラブライブ」のキャッチフレーズとして提示された言葉です。(正しくはみんなで叶える新しい物語でしたが)

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プロジェクトラブライブ開始当初から応援しているファンへの目配せとしてだけでなく、「ラブライブ」というアニメ作品のテーマへも阿るという意味で非常に理にかなった使用法が出来ていると思います。

 

■綺羅ツバサとスクールアイドル
ここからは完全に余談。

今回のもう一人の主役。綺羅ツバサに関して。私個人として、彼女はとても魅力的なキャラクターだと思うので、ここでピックアップしてしまいました(笑)。

綺羅ツバサとA-RISEにとって、スクールアイドルとはあくまでも「自分たちを表現する」場所でした。
最高の楽曲とダンスで、最高のパフォーマンスを見せる。それがA-RISEのスタイルであり、「誇り」。

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そしてそのスタイルは少なくとも第1回のラブライブでは結果を残し、彼女達は「スクールアイドル」の代表となりました。

しかし第2回目のラブライブでは、前回予選すら通過できなかったμ'sに敗れた。(実際には予選を棄権したのですが...)

暗に彼女達のスタイルや実力を評価しながらも、自分たちが「負ける」とまでは思っていなかったツバサ。だからこそ、その理由を「ロジカル」に追い求めるに至りました。

しかしながらその回答は「シンプル」なもの。

どこまでも「自分たちを高みへと導く」べく活動し続けてきた彼女たちに足りなかったもの。

それは自分たちを応援する「みんな」への視点でした。

レベルの高いパフォーマンスは、確かに見る者を圧倒します。

しかしながら、その「孤高」な存在感は、ファンからすれば「自分が応援せずとも大丈夫」という安心感にも繋がってしまったのでしょう。

「みんな」の応援が具体的な票となり、それが「結果」へと反映されるスクールアイドルにとって、「みんな」の存在はとても重要なもの。

A-RISEは結果として、μ'sに敗れることでその事実を知ることとなりました。
しかしながら、それはA-RISEにとって「スクールアイドル」としての「自分たち」を見つめ直すきっかけにもなりました。

彼女達の視線の先には常に「プロ」としての自分達がいて、それ故に「スクールアイドル」としての自分達を見つめる瞬間がなかった。しかし、μ'sに敗れることで、「立ち止まる」瞬間を得たA-RISEは改めて「スクールアイドル」としての自分達を見つめるに至ったわけです。

「みんな」と一緒に作り上げていくものが、「スクールアイドル」であり、自分たちも卒業するまでは、「スクールアイドル」の一員である。

そんな心境の変化は彼女の中に芽生えたからこそ、劇場版においてツバサは穂乃果への協力を申し出る。そんな風に理解しています。

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μ'sだけでなく、綺羅ツバサという人物の葛藤と成長もまた物語の中で描かれている。
これもまたこの作品の「深い」部分なのでは、と感じる要素です。

 

ということで、#10でした。

劇場版と絡めた時に、結構重要...というだけでなく、「サンシャイン」における「AqoursSaint snowによる何故μ'sは勝てたのか問答」に対する一種の「解答編」にもなっていたりするので、今後サンシャインを見ていく上でも重要な回なのでは?と感じております。

 

さてと、次回は2期ではやはり誰もが大好きな回と思います。#11「私たちが決めたこと」です。

この回を演出されているのは、サンシャインの監督でもある酒井和男氏で、その繊細な演出を知っているだけに、サンシャインにも強い期待感が持てたのでした。

ということで、今回もお付き合いありがとうございました。

また次回お会いいたしましょうm(__)m

 

~μ'sが「0」を「1」にした日~ラブライブ!2期 ハイライト #9「心のメロディ」

こんにちはorこんばんは。

こちらの2期ハイライトもいよいよ佳境。今回は2期において#11と並ぶ最重要回「心のメロディ」をお届けします。

特に説明不要な傑作回ですし、恐らく私が説明する要素など皆無と思いますので、是非お暇な時にでもお読み頂ければと思いますm(__)m

それでは早速参りましょう。#9「心のメロディ」です。

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■#9あらすじ

いよいよ最終予選当日。空は何かを察したような雪模様。A-RISEとの直接対決に緊張するメンバー。そんな中穂乃果たち2年生兼生徒会組は、学校説明会を終えた後、会場に合流することに。午後にはあがると予報されていた雪。しかし予報とは違って、どんどん強くなっていく。遂には交通手段まで全面ストップしてしまう。会場に行く手立てを失った穂乃果たち。それでも歩いて会場へ向かおうとするのだが...。

■#9主要登場人物

・μ'sとそれを支える人たち

今回はまさしく「みんな」が主役の物語。「みんな」に支えられ「みんな」と進む。だからμ'sは強い。そんなお話。

 

■孤独な魂を救う「つながり」
無意識にバレエコンクールに挑む際と同じ表情をしていた絵里。

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「孤高」の中でひたすらに頂点を目指し、挫折を繰り返したあの頃。そんな時期の面影を姉の表情から読み取った亜里沙はそっと手を取る。そして「皆お姉ちゃんの味方だよ」と姉を励まします。

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あの頃の「孤独」な絵里とは違う。今は大勢の「味方」がいる。その事実が絵里を「過去」の呪縛から解き放つ。
「孤独」と対比される「みんな」の存在。これが、今回のキーポイントにもなっていきます。

 

■絵里を訪ねる希。
#9は「前回のラブライブ」演出が無かったり、次回予告演出がかなり省略されていたりと、はっきりと「これまでの集大成」を感じられる回。
故に演出面でも、これまでの物語を「踏襲」するような表現が登場します。
「孤独」な絵里を救った最初の「出会い」。それは1年生時の希との出会いでした。
だからこそ、このシーンでは二人の出会いを抽象的に再現します。

一緒に会場へ向かうために絵里を訪ねた希。出会った瞬間に絵里の緊張を見抜きます。

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それは亜里沙と同じく過去の絵里を知る希だからこそ。
しかしそれに「さっきまでね」と答える絵里は、既に自分が「救われている」ことを自覚しています。

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実際に希との出会いによって「救われる」きっかけを得た絵里。
この会話はそんな二人の「これまで」をも象徴するシーンになっています。

 

■真姫を訪ねる花陽と凛。
1期の時点では距離感のあった凛と真姫。今では家の外で待たされた仕返しに冷たい手でほっぺを触る嫌がらせをする。それくらいの関係になっています。

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このちょっとしたやりとりから、二人の距離感の変化も実感できます。
また、自ら「孤独」であろうとした真姫が、今はμ'sという「チーム」のために(恐らく母親にお願いして)「カツ(勝つ)サンド」でゲンを担ぐ。

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こんな変化からも「孤独な魂」が「救われた」ことを暗示する仕掛けを感じるのです。

 

■自宅へと「迎え入れる」こと。
強烈な「自我」と、それに伴う「承認欲求」によって「孤独」であり続けたにこ。
そんな彼女の「自我」を認めつつ、「仲間」として受け入れてくれた場所である「μ's」。
これまではそんな「自我」と「現実」とのギャップの拠点であるが故に、頑なに仲間を招き入れなかった自宅。
今回も希と絵里の来訪を快く思わないものの、最終的には自ら二人を自宅へと招き入れます。

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それは「孤独」だった「現実」を救ってくれた存在として二人を認めているからこそ。
そんなにこの対応からも、にこが「孤独」から「救われている」事実がはっきりと表現されています。

ことほど左様に前半では、過去に「孤独」であった存在が、「μ's」によって「救われている」事実がシーンとして連なって登場しています。

 

■学校の代表者としての2年生
予選決勝との兼ね合いから欠席して良いと言われていた学校説明会。それでも生徒会として、この舞台に立つことを優先した穂乃果たち。
3人にあるのは、あくまでも「学校あっての自分たち」であるという結論。
そんな3人の思いがあるからこそ、ヒフミを中心とした生徒たちの心を動かせる。
これまでの彼女達の「想い」が結実する一日が始まります。

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■A-RISEと対比される穂乃果
説明会での生徒会長挨拶で檀上に立つ穂乃果。

それと対比されるように一瞬映されるA-RISE。

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両者共に「光」に照らされているものの、そこには決定的な差異を感じます。

A-RISEを照らすのは外からの雪明り。その光の元には他者はおらず、3人だけの「孤独」な世界と、彼女達の持つ「孤高」の雰囲気が痛いほどに伝わってきます。

対照的に、穂乃果は学校説明会に訪れた中学生たちの羨望の眼差しという「光」に照らされています。

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そこにはA-RISEのような「孤独」さはありません。
同じく光に照らされながら、全く別の雰囲気を醸し出す両者。この差異の意味と結果は、次回#10のテーマとして引き継がれていきます。

 

■メタファーとしての雪
雪によって足止めを食らう2年生。会場はそれほど遠くないものの、歩いて向かうには困難な道のりであることは確かです。それでも3人で雪の中へと駆け出す穂乃果たち。

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分かりやすいメタファーですが、
これは「スクールアイドル」という「先の見えない」「未知」へと駆け出した、「第1話時点の3人」をメタ的に表現しているシーンと考えて良いでしょう。
※故に雪の中転ぶ穂乃果は、第1話と同じ転び方をしているのでしょう。

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雪の中進む3人。
そんな3人の気持ちを表すように、信号は「青=ススメ」を示しています。

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しかし、前すら見えない強風の中挫けそうになる穂乃果。そんな穂乃果を励ますのは、ことりと海未です。
これまでは苦しい局面では常に仲間の先頭に立ってきた穂乃果。
ことりと海未はそんな穂乃果の背中を支え、追いかけてきた印象もあります。
しかし、ここでははっきりと二人が穂乃果を「引っ張る」姿勢を見せる。

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1期最終回において、自らの「未来」を一時停止し、「今」を選択したことり。
2期において、そんな「今」の価値を最も理解しているのはことりです。
1期ではどこか弱々しかったことり。そんな彼女が力強い言葉を発することが多くなった2期。この#9は、そんな「進化した」ことりを最も実感できるかもしれません。

そして海未。

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これまで自主的には一度として、「スクールアイドルをやりたい」と主張したことがなかった彼女。そんな海未が発する「強い願い」。
これもまた海未という「引っ込み思案」な少女の大きな「成長」を感じるシーンです。

第1話のメタファーとして登場している雪中行軍。しかしながら、その物語を彼女達の言葉と行動によって「更新していく」。それによってこれまでの物語と、彼女達の「進化」の過程をも示す。
非常に考えられたシーンだなと思います。

 

■0を1にすること
「願い」を口にすること。

そして「ためらわず進むこと」によって、自らの道を切り開いてきたμ's。

結果として彼女達が手にしたのは、学校を「廃校」から「救う」という結果でした。
しかしながら、1期ではその事実はあくまでも「マクガフィン」として扱われ、彼女達自身が成し遂げた「成功体験」としてはハッキリとした形では描かれませんでした。
※彼女達の活動が、廃校阻止にどの程度の影響があったのかは、厳密には不明なため。

結果として1期終了時点ではラブライブ出場も果たせず、μ'sが残した「功績」は具現化されないまま。
すなわち2期#9の時点においても、彼女達の「努力」は物理的な「成果」を示してはいなかった。つまり彼女達もこの時点では「0」に近い状態だったと思うのです。

しかし、この時初めて彼女達の「努力」ははっきりとした形となって身を結びます。「学校のため」に、「みんなのため」に走り続けてきたμ's。
その姿が大勢の「みんな」の希望となっていたからこそ、μ'sのピンチに「みんな」が立ち上がる。

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彼女達が「夢」へと向かう道をみんなが作る。
そしてその先へ「真っ直ぐ走って」と告げる。

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実のところ、この時μ'sが走る道は、決してμ'sのためだけに作られた道ではないのです。

「みんな」もまた、μ'sが走る道に、自らの「夢」を重ねている。

だからこそ、彼女達が走る行先を応援する。

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ここに、初めてμ'sの「願い」が具体的に「結実」した形を見た気がします。

彼女達が続けてきた努力は、人知れず育まれ、それが遂に具体的な形として彼女達自身を救う。

この雪中行軍のシーンには、μ'sが「0」を「1」へと変えた、決定的な証が刻まれている。そんな気がしてなりません。

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「退路」となる信号は青から赤へ。穂乃果たちにはもはや退路はありません。
「夢」に向かって真っすぐ、走るのみ。そしてその背中には「みんな」がいます。

「みんなで叶える物語」がここにはあるのです。

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■駆け込む穂乃果 受け止める絵里
1期において、穂乃果と絵里が手を繋ぐことで、ようやく始まった「9人」のμ's。

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そう考えると、二人が抱き合うことには意味があるような気がします。

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二人が手を繋いだのは1期8話。となると穂乃果と絵里が抱き合う直前までの物語は、1期1話から8話までを振り返ると同時に、その物語を「更新」する狙いで作られているように思えます。
二人が抱き合い、思いを共有することで1期8話までの物語が終わり...。
そして、「その直後」から本当の2期#9が始まる。そんな風に思えるのです。

 

■泣かないにこ
今回もにこは泣きませんでしたね。
ここが地味に#11までの伏線になっていきます(笑)。

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■みんなで作った曲
会場へと駆け付けた音ノ木坂の全校生徒、そして家族。
μ's9人の名前を呼ぶ声。その思いを受け止める穂乃果。

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「応援してくれた人 助けてくれた人がいたおかげで私達は今ここに立っています。」
「だからこれは、みんなで作った曲です。」

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「大きな愛」に包まれながら、それぞれの「好き」を思い浮かべるメンバー。
いよいよ究極の「ラブソング」がそのベールを脱ぎます。

Snow halation
μ'sにとっての代表曲...というよりも「2000年代の日本ポップ史に名を残す名曲」と言っても過言ではない楽曲。
μ'sの2ndシングル「Snow halation」。

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どうしても「楽曲」の説得力で勝負せざるを得ない場面。そこにこの稀代の名曲が登場したことで、視聴者はこの勝負がμ’sにとって素晴らしい結果となることを容易に「予感」することが出来るのです。

鮮やかに更新されるのはこの楽曲のPVも同じ。
完全新規描き下ろしのPVとしてだけでなく、ライブ発祥の演出(鈴の音に耳を澄ます振り付け)が加えられたことで、この楽曲と過ごしてきた約3年弱の時間の「重さ」をも実感させる。
そんな巧みな演出が光ると同時に、スタッフのプロジェクトに対する愛情を実感する演出が採られているのも印象的ですね。

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「みんな」のために、そして「みんな」と一緒に、最終予選を戦ったμ's。彼女達が何を「得た」のか。

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それはまた別のお話。

 

...ということで#9「心のメロディ」でした。この回も考察のために改めて見直したので、とにかく丁寧な作りでまたしても感心しきりでございました(笑)。

さて、次回#10は、今回の「復習編」と言える内容。何故そのような結果に至ったのか。A-RISEの問い合わせから穂乃果たちがたどり着く答えとは。

またしてもサクっと更新できたら良いな~という気持ちでございます。

今回もお読み頂きありがとうございました♪

 

~ラブソングっていったいなんだろう~ラブライブ!2期 ハイライト #8「私の望み」

時間がないよー!

と、いうことで、気付くとサンシャイン2期がはじまってしまうので、珍しく急ピッチで更新しちゃいました。

個人的にラブライブ2期の中でも屈指の好きな回である#8「私の望み」です。御託は良い。早速参りましょう。

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■#8あらすじ

いよいよ関東地区予選決勝!A-RISEだけでなく実力派スクールアイドルがしのぎを削りハイレベルの激戦区。そんな場所にも関わらず優勝宣言をかましてしまう穂乃果。そんな穂乃果につっこみを入れるメンバー。相変わらずμ'sらしい和やかな雰囲気がただよっています。A=RISEとの戦いを前に希が提案したのは、メンバーそれぞれから言葉を出し合って「ラブソング」を作ること。とはいえ恋愛経験に乏しいメンバー。思うように作詞作曲が進みません。そんな状況に業を煮やす真姫。それでも食い下がる絵里。どうにも腑に落ちない真姫は自体の本質を追求し始めますが...。

■#8主要登場人物

東條希

今回の主役。これまでミステリアスだった希という女性のバックグラウンドがようやく明らかになるだけでなく、彼女が秘めていた思いまでもが明らかになる。希というキャラクターがもっと好きになれる回。

西木野真姫

μ'sになじみ切れていない時、それを最も気にして、事態を好転させてくれたのが希。だからこそ、なんとなく彼女の行動が気になる。そんな距離感。

絢瀬絵里

唯一希の本質を知る人物。だからこそ「ラブソング」成立に強いこだわりを見せるが。

 

■優勝宣言
東予選決勝。A-RISEの前で堂々の優勝宣言をブチかます穂乃果。

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とはいえ、A-RISEもまた「決勝大会に匹敵するレベル」と称するほど。μ'sの価値も高まっている現状です。遂に正念場。関東地区予選決勝が始まります。

 

■ラブソング
予選決勝を前に浮足立つメンバー。

そんな中希が提案したのは全員の言葉を出しあい、一つの曲を作ること。そしてその曲は「ラブソング」にするという案でした。

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希の発案に反応するのは花陽。アイドルにとっての必殺ソングであるはずのラブソング。しかしμ'sには今までそれが無かった。

もしそれが作れるのであれば、強力な武器となり得る。アイドルオタクだからこそ、花陽にはその価値が分かります。

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とはいえ「ラブソング」とは一般的に「恋愛」の曲を示します。必然的に「恋愛経験」そのものが試されるわけですが、μ'sは経験値に乏しい。それはメンバーが作詞担当者である海未に対して「恋愛経験の有無」を詰め寄るシーンからも明らかです。

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とはいえ、希もそんなμ'sの現状は把握できていたはず。それにも関わらず何故「ラブソング」を提案したのでしょうか?この辺りが後半のカギになっていきます。

 

■「ラブ」の練習

とはいえ時間がそれほどない。ということで、学校で「ラブ」の実践研究を開始するμ's。

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μ'sを追いかけている人ならば当然気付く通り、これはアニメ内には登場しないμ'sのラブソングの一つ「もぎゅっとLOVEで接近中」PVへのセルフオマージュですね。

とはいえ様々な自分なりの「ラブ」を表現するなかでどうにもしっくりこない。

続いて穂乃果宅での恋愛映画鑑賞会を実施。恋に憧れるだけのメンバー、恋そのものに興味のないメンバー、そして恋を恐れるメンバー...と反応はそれぞれ。

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ただし共通しているのは、誰もが「ラブ」を「自分」と近似的に受け止めることができていない...ということ。
それほどにμ'sと「恋」との距離感は、今は大きいのです。

その事実が明らかになることで、明確になる「焦り」。
予選決勝が差し迫る中で、悠長にこんなことをしていて良いのか?

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前回ハロウィンライブにおいて、紆余曲折の末「今の自分たち」に自信を持つことの意義と、成功体験を得たことで、真姫は安易な逃げ道としての「ラブソング作り」に懐疑的な視線を持っているわけです。

 

■絵里の拘り
ほとんど希の「思いつき」と言って良いような案に固執する絵里。そのこだわりの理由が分からず、真姫の疑念は高まっていきます。
穂乃果宅での映画鑑賞回後、誰もが「恋」に対してピンと来ないなかで、それでも「ラブソング作り」に拘る絵里に遂に率直な意見を告げる真姫。

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「今から曲を作ってもクオリティが下がるだけ」「自信のある曲で予選に挑むべき!」

そこまで言われても食い下がる絵里。しかしそれを制するのは希。

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「真姫ちゃんの言う通り」「カードもその方が良いと言っている」

身内が折れたことで、沈静化する絵里。しかし、希の持っているカードが何なのかは分からないまま。故に希の真意もまた「藪の中」です。

 

■追跡
絵里と希の真意がつかめない真姫。二人を追尾するなかで、いよいよ本質が分からず二人に詰め寄ります。以前真姫を「めんどくさい人」と評価した希。そんな希の言葉を用いた上で、「あなたのほうがよっぽどめんどくさい」と返す真姫。

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思えば希はその時「あなたに良く似た人を知っている」と告げていました。(1期10話考察を参照ください。)

ishidamashii.hatenablog.com

 我々や真姫はそれを「絵里」のことだと理解していたかもしれません(実際そう受け取れる演出が採られていました)。しかし真実それは「自分=希」のことなのだろうと思えてきます。自分が「めんどくさい人間」だからこそ、とびきり「めんどくさい」真姫が気になって仕方なかったのでは?と。

 

■私の望み
希宅で明かされる今回の一件のあらまし。

元々は希がグループ結成前に考えていた「望み」がその根底にはありました。

「自分を大事にし過ぎて」「自分の本質をさらけだせないメンバー」を繋いでくれる存在であるμ's。その存在に「自らの希望」を見出した希。

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もしもこの9人がグループとして成立したのなら、その時にはそんな9人の言葉を「一つ」に「繋いだ」楽曲を作りたい。その楽曲で「ラブライブに出場したい」。それが希の願った「密かな望み」。

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正直なところ別にそれが「歌でなくても良かった」。ただ9人で一緒に「何かをした」その証を残したかった。

もしかしたら、それは希がずっと「ひとりぼっち」だったからこそ抱いた望みだったのかもしれません。

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しかし実のところ、その「望み」はとっくの昔に叶っていたのです。

9人で過ごす「なんてことない一日」と、その積み重ねが、希の「望み」を叶えてくれていました。
例えば、一人ぼっちで食べる豪華な食事よりも、9人で食べるほむまんの方が何倍も何十倍もおいしい。

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その事実がもたらす「幸福」と、それが自分の「望み」を叶えてくれている事実に気付くことが出来た時点で、希の願いはとっくに成就していた。その事実に無意識に気づいていたからこそ、希は「ラブソング」から手を引く決断をしたのではないでしょうか。

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■ラブソング
希の真意を知った真姫。それを知ったからには、今度は是が非でも希の「望み」を叶えて見せたくなるというものです。

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だって「友達」なんですから。
希の真意を知ったことでより互いに対する信頼感が深まるμ'sメンバー。

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その時そんな気持ちを反映するかのように、降り出す雪。

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「不思議だね 今の気持ち 空から降ってきたみたい」

「あの曲」の歌詞がそう告げたように、「恋」や「愛」は「手に入れよう」として願って、手に入る感情ではない。

ある日、ふと「降ってきた」ように舞い降りる気持ち。それがひょっとしたら「ラブ」なのかもしれない。

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「恋」とはちょっと違う。もっと深い部分での「愛」を実感したことで、μ'sのメンバーそれぞれの心に降ってきた「感情」。その一つ一つを組み合わせた楽曲は、間違いなく極上の「ラブソング」になるはずです。

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季節は秋から冬へ。μ'sの究極の「愛」を詰め込んだ「最強の楽曲」が誕生します。

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 運命の日を前に降りてきた「雪の煌めき」。それがμ'sに一つの「奇跡」を起こすのです。

さぁ、「運命の日」がいよいよ近づいてまいります。

 

というわけで#8ハイライトでした。

希のことを詳しく台詞で説明せず、画だけで様々な情報を想像させる。非常に演出が素晴らしい回で、今回見直すなかでもやはり感心&感動してしまいました。やはりこの回が大好きです。

さて、次回はこれまた大事な#9。とはいえ、それほど難しい回ではないと思うので、こちらもサラっと行ければと思います。

引き続きお付き合いくださいませ。

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~別れの季節が始まって~ラブライブ!2期 ハイライト #7「なんとかしなきゃ!」

皆様こんにちは&こんばんは。

2期ハイライトもいよいよ終盤戦。この#7からは見逃せない回ばかり。私自身改めて気合を入れて書いていこうと思います。

サンシャイン2期放送までに終わるのかは非常に怪しいですが。。

前置きはどうでも良いので、参りましょう。#7「なんとかしなきゃ!」です。

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■#7あらすじ

いよいよ予選決勝大会が始まる...という最中明らかになった驚愕の事実は...穂乃果の体重増加でした。。盛大な煽りからすればなんとも拍子抜け。とはいえ見過ごせないレベルの増量っぷりに減量計画が海未から課されます。時を同じく花陽も秋の新米の影響で体重増加が発覚。二人仲良く減量トレーニングをすることになります。そんな中生徒会としての業務をこなさなければいけない2年生組。予算会議前に各部の予算申請を受け取りますが、ことりはちょっとした油断から大きなミスを犯してしまい...。

■#7主要登場人物

高坂穂乃果

体重の増えてしまったアイドル。しかもリーダー。ということで現実世界でもよく表出する「アイドル急に太る」の法則を実践してしまいました。育ちざかりだからしょうがないと思うんですけどね(実際問題)。とはいえ、問題はそれだけでなくて、生徒会に降り注ぐ危機を2年生だけの力で解決に導き、生徒会長としても一つ成長を果たします。

小泉花陽

「ご飯」という魔物に魅入られた悲しき乙女。ということで今回は前半部分のメインパートを握る存在でした。

絢瀬絵里・東條希

生徒会に危機が降りかかる中力を貸そうとする二人。しかしながらその申し出は穂乃果によってやんわりと拒否されます。二人が感じる寂しさはやがて来る「別れ」への予感としてじんわりとした余韻を残します。

 

■秋と体重増加

季節はすっかり秋。天高く馬肥ゆる秋、というようにご飯がおいしくなる季節でもあります。そんなわけで今回は体重が増えてしまった穂乃果と

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花陽がメインのお話。

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と見せかけて、実はこの二人のお話は今回の後半の物語への目配せに過ぎません。今回の物語のキモはあくまでも後半。「成長」と「別れ」の物語へと連なるブリッジとしてこの7話は存在しています。

 

■ファーストライブの衣装

肥えてしまった穂乃果(見た目では分からないが)。なかなかその事実を認めたがらない彼女に渡されたのは、ファーストライブ時の衣装。

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「この衣装を着てみれば全てが明らかになる」そんな海未の言葉を証明するように、穂乃果はこの衣装を着ることができません。

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理由はもちろん「肥えたから」。

しかし実際にはそれだけでは無い気もします。実際高校生である彼女達は今が成長期。2年生の春に着られた服が秋に着られなくなたとしてもそこまで深刻な問題は無いような気もします。

となると、穂乃果がこの衣装を「着られない」という事実には、別の意味が込められているような気もします。それは文字通り「成長」です。

当初の目的だった「廃校阻止」を成し遂げ、精神的にも1期当初から大きく成長している穂乃果およびμ's。彼女たちは既に「過去」の縛りを受けない存在です。一番最初の「衣装が着られない」のは、そんな彼女たちの「成長」と「過去からの離脱」を象徴する出来事のようにも思えるのです。

 

■生徒会の使命

第1話から語られている通り、穂乃果はどうしても生徒会の業務を滞らせがちで、その負担を海未とことりが背負っている印象があります。

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生徒会とは本来、生徒の選挙を以て選出される「生徒側からの学校の代表」です。その存在と仕組みは「スクールアイドル」に非常に近しいものがあります。とすれば本来はその業務に真摯に取り組まなければいけない。学校を母体とする「スクールアイドル」にとって、学校の生徒からの応援は何よりも力になるもの。実際穂乃果たちはこの後音ノ木坂の生徒たちの助けをもって、ピンチを脱することになります。とすれば、どこかのタイミングで真の意味での「学校の代表者」として、生徒たちの支持を得なければいけない。今回の後半の物語は、そんな「みんなの支持」を得るための物語でもあります。

 

■ハロウィンライブの成功

前回「A-RISEに勝つため」に右往左往したハロウィンライブ用の楽曲作り。結果として「普段の自分たちのままで良い」という結論に落ち着きました。今回ライブの評価を得るμ's。その意見が好意的なものばかりだったことで、μ'sは「自分たちのままで良いのだ」という自信を得るに至りました。

他者と自分たちをなかなか相対化できなかったμ'sにとっての大きな成長。しかしながらこの自身が次回では少しだけカセになったりします。その辺は次回の講釈にて。

 

■生徒会のミス

ダイエット計画と並行して進めなくてはいけない生徒会の業務。時期は部活の予算会議。各部より予算の申請が届けられます。スクールアイドル活動と並行した活動ながらこれまで大きなミスもなく進めてきた生徒会活動。その中心にいたのは間違いなく海未でありことりでした。しかし、今回はそのことりがうっかりミス。まだ承認してはいけないはずの予算申請を承認の箱に誤って置いてしまったのです。

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なんと美術部の部費が予算会議前に「承認される」というあり得ない事態に。

(冷静に突っ込ませて頂ければ、いかに穂乃果がザルでも理事長のツッコミが入るだろうよ!とは思いますが、まぁそこは置いておいて。)

一応美術部の生徒に状況説明に行きますが、「もう皆に話しちゃったよ!」などと言われる始末。(ここも、まぁお前そんなこと言わずに状況を理解しろや!とは思いますが...。)

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なんにせよ穂乃果たち2年生がメインとなっての生徒会に初めての「ピンチ」が訪れることになります。

にわかに動き出す元・生徒会長および副会長。自分たちが部活OGに声をかけることで、事態の鎮静化を図ろうかと穂乃果に持ちかけます。

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始めはそんな絵里たちに頼ろうとする穂乃果。しかしふと思い立ちその申し出を断ります。

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「自分たちでなんとかしなきゃいけない」

穂乃果にとっては自分たちのミスで招いてしまった事態。だとすればそれを先輩の力を借りて強引に解決するのは少し違う気もします。

また、先ほども書いた通り、今回の物語の本質には穂乃果たちが真の意味で「音ノ木坂の代表」として生徒たちの「支持を得る」ことに意味があります。だとすれば、その支持は自分たちの努力で得なければいけない。そして仮に絵里たちの力を借りてしまったら、その時点で生徒たちから「信頼を失う」ことになりかねません。今回の収集は、そんな穂乃果たちを試す試金石となっている事件なのです。

穂乃果の言葉に食い下がろうとする絵里。それを制す希。

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帰り道にも心配そうに生徒会室を見上げる絵里に、希が声をかけます。

「パフェでも食べて帰ろか」。

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学校生活のほとんど全てといって良い時間を「生徒会活動」にかけてきた絵里。だからこそ生徒会の業務にはある程度の自負を持っています。故にその生徒会のピンチに自分が関与できないことへの歯がゆさがあります。また何にかけても自分を頼ってきた穂乃果が自分を頼ってくれない寂しさもあります。

そんな絵里が抱える「寂しさ」を機敏に察知する希。二人の関係性の深さを改めて感じ取れる名シーンです。それと同時に確実に流れていく「時間」と迫りくる「別れの季節」の意味を嫌が応にも感じてしまうシーンです。

もはや生徒会には絵里達の居場所はない。それは確実に「卒業」が目前に迫っていることへの目配せでもあります。

 

■問題解決に努める2年生3人

生徒会の3人のやるべきことは、まずは溜まっていた書類の整理。そして経費に関する再チェックと、そこから各部の予算に振れる経費がどの程度あるのかの再検討です。地道で時間のかかる作業。とはいえ、その作業が改めて「学校のことを知る」最高の機会にもなります。

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結局のところ、ミスを犯した際にそのケツを拭く方法は、真面目に真摯に、問題解決に努めること以外にありません。世の中にはウルトラCもたくさん隠されているでしょう。けれどもそれはベターではない。何よりも「人の気持ち」を動かすためには、一生懸命問題解決に取り組んだという「過程」が大事になったりするもの。

放課後も遅くまで予算資料の見直しに取り組む穂乃果たち。その様子をみた先生も声をかけずそっと立ち去る。一生懸命やっている人の姿は誰かが見ている。そしていつか必ずその行為が身を結ぶ。今や教育テレビでも流れるラブライブですが、こういった面でも非常に教育的な内容だなぁと改めて思いますね(笑)。

 

■予算会議

そしていよいよ予算会議。緊張する穂乃果たち。そこに声をかけるにはにこ。アイドル研究部部長として予算会議に参加していたにこ。彼女の存在が穂乃果たちに勇気を与えます。

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会議冒頭、やはり議題として上がるのは今回の「予算会議前の予算承認」と「その差し戻し」に関する説明を求める声。

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しかし先ほども書いた通り、穂乃果たちには「ウルトラC」はありません。素直に「自分たちのミス」を認めた上で謝罪。更に「無い袖は振れない」ということで、吟味した予算案を各部に渡すことで理解を求めます。

その資料には彼女達の努力が刻み付けられているもの。更に言うなれば、本来廃校になるはずだった音ノ木坂を救う原動力となったμ'sの3人が発する「無い袖は振れない」という発言は非常に説得力のあるもの。

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その資料と言葉の説得力を認めつつも、今回の「ケジメ」としてこれを受け入れるかの判断に困る生徒たち。そんな生徒たちに「ケジメを受け入れる」キッカケを与えるのはにこ。

彼女の「この予算案で良いと思う人~」という声をきっかけに手を上げ始める生徒たち。

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結果として穂乃果たちの真摯な思いがしっかりと生徒に伝わり、無事生徒会はピンチを脱したのです。

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難しい局面を、真摯な対応で乗り越えた穂乃果。明確に一つの壁を乗り越え、成長を果たしました。

 

■別れの季節が始まって

「ソレデヨサントォッチャッタノォ!」

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と花陽ちんもびっくりするくらいスンナリ終わった予算会議。でもそれも全ては穂乃果たちの真摯な姿勢が生徒たちに伝わったからこそ。ここにμ'sは明確に「音ノ木坂の代表者」として生徒たちの信頼を勝ち得ました。

秋の木漏れ日の中じゃれあう穂乃果と海未。そんな穏やかな時間を横目で見ながら希は「生徒会大丈夫そうやね」と呟きます。その瞳はどこか寂しげで...。

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穂乃果たちの成長を信頼し、生徒会のピンチ解決を託した希。しかし、やはり眼前で「自分たちが不在でも廻っていく生徒会」を目視することは複雑な気持ちを喚起させます。

「自分の居場所」が既にこの学校から消えつつあること。それを実感するのは、「卒業」を実感することと同じ。前回は絵里の機微の変化を希が感じ取れたように、今度は絵里が希の変化に気付きます。

「また、パフェ食べて帰る?」

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同じ胸の痛みを理解できる唯一の存在である二人。だからこそ二人にしか通じない符号がある。この回であった符号を繰り返し使用するのは、なんとも気の利いた演出だなぁと思います。

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季節はすっかり「秋」。秋は「別れの季節」。μ'sが無意識に無視していた「別れ」はひしひしと、それでいてはっきりと目前まで迫ってきています。

 

というわけで#7でした。

さて、次回は個人的に2期の中ではTOP3に入るくらい好きな回である#8「私の望み」ですね。いよいよ2期考察も終盤戦!一期に、それでいて大切に紡いでいけたらと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

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