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ラブライブ!サンシャイン!!  振り返り企画【楽曲編】第7回「想いよひとつになれ/MIRAI TICKET」

「あこがれ抱きしめて次へ進むんだ!」

楽曲編はこれがラスト。万感の思いを込めて。

◆「想いよひとつになれ/MIRAI TICKET

TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』挿入歌シングル「想いよひとつになれ/MIRAI TICKET」


Aqours ラブライブ!サンシャイン!! 第11話挿入歌「想いよひとつになれ」CM (60秒ver.)


Aqours ラブライブ!サンシャイン!! 第13話挿入歌「MIRAI TICKET」CM (60秒ver.)

 

説明:

TVアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」挿入歌シングル第3弾。「想いよひとつになれ」は11話挿入歌。「MIRAI TICKET」は13話挿入歌として使用された。「想いよひとつになれ」は桜内梨子を除く8名、「MIRAI TICKET」は9名で歌唱。どちらも物語終盤を彩った。

 

解説:

◆「想いよひとつになれ

劇中では8人編成...という独特のフォーメーションで披露された。これでAqoursは6人編成に続いて「μ'sがやっていない」編成を見せたことになる。その事情は梨子が「ピアノコンクールへ出場することになった」から。本来千歌とセンターを組む予定だった梨子が不在となることで、梨子転入後起きていた変化が浮き彫りになり、その変化をいかにして受け入れていくか...という物語が第11話の物語となった。物語に関する考察は、これまた当ブログの考察記事を参考にしていただきたい。

ishidamashii.hatenablog.com

 「想いよひとつになれ」で印象的なのは、この楽曲がピアノソロに始まり、ピアノソロで終わる点。これはこの曲が本来「海に還るもの」というタイトルで作曲されていたことに関係している。転校直後の梨子は「音楽スランプ」に陥っており、特にコンクールに向けた作曲課題である「海に還るもの」を完成させることが出来ずにいた。その迷いの中で千歌と出会い、「スクールアイドル」に出会い、Aqoursの仲間と出会い、内浦という場所に溶け込むことで彼女は徐々にスランプを脱していく。そして遂に「海に還るもの」を完成させるに至る。スランプを脱し、楽曲が完成した以上本来の目的である「ピアノコンクール」に出場出来るようになった梨子。しかし「ピアノコンクール」は「ラブライブ地区予選」と日程がバッチリ被っていた。その中で自らを救ってくれたAqoursの為にあっさりと「ピアノコンクール出場」を見送る決意をした梨子。しかし千歌はその結論に納得が出来ず、梨子を再度説得する。千歌の意見は「一方のためにもう一方を捨てる...という結論を出さないでほしい」というもの。何故ならその結論が「後悔」に繋がることを千歌は知っている。それは同じような結論を出して失敗した果南と鞠莉の一件があったからこそ分かることだ。自分のことを自分以上に考えてくれる千歌の友情をひしひしと感じた梨子は「地区予選」を仲間に託し、自身の「カセ」となっていた「ピアノコンクール攻略」に向かう。ただし「同じ想い」を持って戦いに挑む以上奏でるのは同じ楽曲。梨子は「海に還るもの」というタイトルや、本来スローテンポだったものをアレンジし「想いよひとつになれ」という楽曲を作り上げる。

想いよひとつになれ」にはそんな物語や、物語内の哲学がはっきりと反映されている。「何かをつかむことで 何かをあきらめない」というパンチラインはまさしく千歌が梨子に語った思いそのもの。そして物語の中でAqoursのメンバーそれぞれが知ったことでもある。姉のことを気遣うあまりに「スクールアイドルへの夢」を諦めかけていたルビィも、親友のことを思ってばかりいて「自分の夢」を無意識に捨てそうになった花丸も、「普通になるため」に「本来の自分」を捨てようとした善子も、「友の将来」のために「自分の思いを振り切った」果南とダイヤも、全て「何かをつかむため」に「何かをあきらめようとした」ないしは「諦めてしまった」人たちだ。だからこそ今度は「何かをつかむために 何かをあきらめない」と高らかに宣言する。

楽曲としては序盤から中盤、そして終盤とピアノの演奏がどんどんドライブしていく感じがたまらない。歌っているのは「8人のAqours」ではあるのだけど、ところどころに「ピアノの伴奏」が入ることで常に梨子の存在を感じることができる。この感覚は「どこにいても 同じ明日を 信じてる」という歌詞そのものだ。

この楽曲に関して思うのは、もしかしたら再度出番があるのではないか?という点。娘のピアノへのスランプを克服するため、沼津へと引っ越してきた桜内家ではあるが、既に根本の問題が解決した。と、なれば梨子が「廃校直前の内浦の高校」に通い続ける必然性はなくなる。この楽曲の2番の歌詞には「違う場所へ 向かうとしても 信じてる」という歌詞がある。もちろんこれは東京でコンクールに向かう梨子に対するメッセージではあるが、もっと広義の意味で捉えると今後の物語にも関与しているのでは?と深読みできてしまう。もちろん憶測に過ぎないけれど、今後更に大きな役割を持つ楽曲になるのでは、と個人的には思っている楽曲の一つである。

ライブではどのように披露されるのだろう。今からワクワクが止まらないが、個人的には逢田さんが梨子のドレスを着て檀上に現れ、ピアノソロを開始→そこからイントロに突入し~という流れになったら泣く。感動で。

 

◆「MIRAI TICKET

13話ラスト、東海地区予選を勝ち抜くべくAqoursが用意した「決戦の歌」。そしてこれからのAqoursが目指すものを示した「決意の歌」でもある。彼女達は「この結論を手にするため」に13話の物語を駆け抜けた。故にアニメを考察する上では非常に重要な楽曲となる。

「君のこころは輝いてるかい」でも、「青空Jumping Heart」でも「分からない」と告げていた「目的=ゴール」。それがこの「MIRAI TICKET」では明確に示されている。彼女達が13話の物語を終え目指すと決めたのは「ヒカリになる」こと。そしてその目的は「ミライを照らす」ため。これらのテーマは「μ'sが後身に託した願い」とまんま合致する。

後身のスクールアイドルの「ミライを照らす」ために作られた楽曲がSUNNY DAY SONG。ここには「ポジティブに自分の可能性を信じれば」「自ら輝きを放つ存在になれる」というμ'sのメッセージが含まれている。12話においてμ'sの願いと思いを正しく受け継いだAqoursは、このメッセージを正確に把握出来ている。だからこそ「輝きはこころから 溢れ出す」と歌詞の中で結論づけているわけだ。

ラブライブ!サンシャイン!!」第12話においてμ'sは「学校に自分たちの痕跡を何も残さなかった」ことが語られる。それは後身に「自分たちを目指す」のではなく「それぞれのやり方」で「輝き」を放って欲しいと願っていたからだ。そういったμ'sの思想は実は様々な楽曲に反映されている。

例えば2期OPそれは僕たちの奇跡は、様々な意味をもった楽曲だ。一義的にはもちろん「自分たちが叶えた奇跡」の歌である。しかし歌詞の内容を読むとそこには「自分たち」に対する視線がそれほど含まれていないことに気付く。「さぁ 夢を 叶えるのは みんなの勇気 負けない心で 明日へ駆けて行こう」このサビ部分だけ抜き出しても、フォロワーに対する呼びかけになっている。そもそもタイトルの「奇跡」は「軌跡」とひっかけたダブルミーニングになっていて、これに倣ってタイトルを変更すると「それは僕たちの軌跡」となる。このように変えると急に突き放した印象になるが、これこそがこの楽曲がもつ本来の意図なのでは、とも思える。「これは僕たちの軌跡であって君たちの軌跡ではない。君たちは君たちだけの軌跡を描いてほしい」というμ'sの思想をこの歌詞から感じるのである。

あるいは僕たちはひとつの光に関してはどうか。劇場版のラストを飾る楽曲であり、メンバーの名前を入れ込んだ意欲的な詞のせいで楽曲の持つ本来のテーマがあやふやになりがちだが、このタイトルにも二つの意味が込められているように思う。一つはもちろん「メンバーが集まり一つの光になった」という意味。しかし一方では「僕たち」は「数多ある光の中の一つ」という捉え方も出来る。どうしても神格化されがちなμ'sではあるが、自分たちを「世の中に数多ある光の中の一つに過ぎない」とし、自らが「神格化されることを拒否しつつ」「皆も同じようにオンリーワンの光を目指してほしい」という表現にも思える。もちろん考えすぎかもしれないが、そう捉えれば、μ'sが「音乃木坂に自分たちの痕跡を残さなかった」理由にもしっかりと合致してくるのである。

ここまで考えると、とたんに「MIRAI TICKET」の歌詞も分解できるようになる。例えば「あこがれ抱きしめて 次へ進むんだ 僕たちだけの新世界が きっとある」の部分。「あこがれ」とは「μ'sへの憧れ」だろう。ただしそれは「目指す」ものではなく、「次に進む」ための「糧」となるもの。だからこそ彼女達は「あこがれを抱きしめる」わけだ。そして彼女達が目指すのは「μ's」ではなく「僕たちだけの新世界」になった。

「僕たちだけの新世界」を目指すのは「ヒカリになろう」とするため。そんなAqoursに「何がしたい?」と問いかけるのは「青い空」。「青い空」につきものなのは、「太陽」で、「太陽」といえばやはり「SUNNY DAY SONG」。ここから彼女達が「SUNNY DAY SONG」のメッセージを受けて「ヒカリ」を目指している...という構造が分かる。

Aqoursが目指すのは「ミライを照らせる」だけの「大きなヒカリ」。しかし今のAqoursではそのレベルの「ヒカリ」には達していない。とはいえ始めた時には「目標=未来」すらあやふやだったAqoursが、「自分たちがスクールアイドルをやる理由」をしっかりと見据えることが出来ただけでも大きな進展だ。そしてそんなAqoursの成長を描いたのが「ラブライブ!サンシャイン!!」という物語だったのだ、とも総括できる。

彼女達が「やっと手にした」MIRAI TICKET」。しかし、それは「ヒカリになる」航海を始めるための交通手形に過ぎない。可能ならば彼女達の航海の様子をもう少し見てみたい。そして出来るなら「ヒカリ」になった瞬間を見ていたい。「今はもう 迷わない」と告げる「強いAqours」の活躍を楽しみにしつつ、この稿を終わりとしたい。

長々とおつきあい頂きありがとうございました!

さて、なんとか間に合いそうなので、次回で「ラブライブ!サンシャイン!!」一期の物語を総括しようかな?と思っています(今回割とやっちゃった気もするけどさ)。

それを終えたらいざ横浜アリーナへ!!