Love Live!Aftertalk!

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~もう一度”輝く物語”を始めるために~ラブライブ!サンシャイン!!2期ハイライト 第26話(2期13話)「私たちの輝き」

皆様こんにちは。ないしはこんばんは。

今回はラブライブ!サンシャイン!!2期最終話となる「私たちの輝き」に関して書かせて頂きます。

恐らくこれまでの物語の根幹を、自分なりに思考していないとさっぱり意味不明だったであろう13話。

今回も「俺なりの理解」で恐縮ですが、「ほー、まぁそんな見方もあるんやねー」くらいの軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。

また、13話まで毎回しょうもない妄想をお読み頂きありがとうございました。

また最後にお礼をさせて頂きますが、まずは皆様に感謝を。

それでは参りましょう。#13「私たちの輝き」です。

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■紙飛行機

千歌が冒頭飛ばし続け、そして落ち続ける紙飛行機

2期1話からOPに至るまで、2期においては大事なモチーフであり続けたもの。

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紙飛行機とは何を示すものなのか。

それが今回のポイントにもなっていきます。

 

■プレリュード

梨子が犬を飼いはじめるという衝撃的(?)なスタート。

その名はプレリュード

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プレリュードとは音楽用語で「前奏曲」。

それ以外の意味では「前兆」や「前触れ」を意味するものです。

自らが決めた道を「受け入れ」、それによって「成果」を得る。

ラブライブ」での優勝は、梨子にとってはその「成果」なのかもしれません。

梨子は自らが決めた道を「運命」として肯定するに至る。

犬は運命のようなもの、とは5話考察で書かせて頂いた通りですが、梨子が犬を飼いはじめるというのは、彼女自身が自らの運命を決定的に受け入れたことの証明なのかも?と考えました。

自らの「運命」における「前兆」。だからこそプレリュードという名前なのかなと、そんな風に感じました。

 

Aqoursの始まりの場所

千歌がつけた「スクールアイドル部」の表札。

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そして歌詞が消えずに残っていた白板。

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ここは新旧Aqoursにとっての思い出の場所。

そして今のAqoursの「始まりの場所」でもあります。

真っ白になった白板。

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消えてしまったものに思いをはせる2年生。

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反面それは「ずっと残り続けるのだ」と語る果南。

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以前書いた「HPT」に関する考察記事では、そのPVを「ずっと消えずに続いていくもの」を象徴したものだと考えました。

 また、11話記事でも考えた通りあのPVの舞台は閉校祭だったとも考えられます。

「HPT」の時点では、「別れの予感」に戸惑っていた果南も、今は「別れ」に対して前向きでいられる。

これは「HPT」と地続きの物語性を感じさせるところですね。

 

■彩られる校舎

時期は分からずとも、いずれ取り壊される校舎。

ならばと、鞠莉の意向によって学校の生徒によって「思い出」が刻み付けられることに。

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それぞれにとって大事な「学校の思い出」が刻まれる度に、どうしても「別れ」は切迫してくる。

耐え切れなくなるルビィ。

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そんなルビィに「泣かないと約束した」と告げる花丸。

「浦の星の最後は笑顔の思い出にする」

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そんな千歌の「我慢」と「宣言」が、ちょっとした課題を千歌自身に与えていきます。

 

■卒業証書

鞠莉から果南に手渡される卒業証書。

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本来であれば、学校への復学もうやむやにして、家業に専念しようと思っていたかもしれない果南。

そんな彼女が学校に戻ってきたのは、鞠莉が学校へ復帰した狙いを見極めるためとも思われます。

そういう意味では鞠莉のAqours再結成への奔走が無ければ、この卒業証書を果南が受け取ることも無かったのかもしれない。

こんなシーンにも、彼女たちの物語が全て「意味のあるもの」となって、反映されていることが描写されているように思えます。

ダイヤによる「閉校宣言」。それと共にたなびく「優勝旗」。

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「私達はやったんだ!」

ラブライブ!で優勝したんだ!!!」

輝きを「刻み付ける」。その目標に遂にたどり着いたAqours

ただし「たどり着いた」が故に「見失ってしまうもの」もまたあるわけで。

 

青空Jumping heart

ラブライブ!」2期では「アンコール楽曲」として12話にて使用された1期OP。

「サンシャイン!!」2期では13話OPとして使用される形になりました。

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なぜこのタイミングでの「青空Jumping heart」なのかというと、恐らく今回使われている歌詞に今回の物語が反映されているからなのかもしれません。

だって始めたいことが 今見つかったばかり

ゴールはどこ?どこだろ?? 分からない! 

分からない でもね 楽しそうだよ

 台詞に被る形でことさらこのシーンでは強調されていないこの歌詞ですが、実のところこここそが、今回のメインテーマなのではとも思えます。

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達成したラブライブ優勝。

けれどもAqoursは解散し、メンバーもバラバラになる。

学校も統廃合となる。

分かってはいたことですが、こうなると今や「学校の名前を歴史に刻む」という業績も、少しだけ「空しいもの」に感じられます。

「ゴール」にたどり着いたはずなのに、そこには不思議と「達成感」のようなものはない。

じゃあなんのために「スクールアイドル」をやっていたのか。

そこにこそ、物語の重要な要素が秘められているように思えるのです。

閉校式が終わっても、帰ろうとしない生徒。

そんな生徒を見つめながら、それでも「終わりにしなければ」と語るAqours

そんな中一人「終わり」を受け入れがたい表情でいる善子。

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この時善子がどんな気持ちでいるのかは語られませんが、これまでの物語を追いかけてきた人であれば、なんとなく意図は分かるものです。

この辺りは後の1年生のやりとりにて補完されていきます。

 

■輝き

黒板を彩る「Aqoursのキラキラを表現したアート」。

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つじ写真館さんのスタッフ様が作成されたものとのことで、ここでも「ラブライブ!サンシャイン!!」とそれを「応援してきた人」とのつながりがメタ的に再現されているのを嬉しく感じます。

よしみたちが感じたAqoursの輝き。

それが表現されたアートを見ながら、千歌もまた「みんながキラキラしていた」と語ります。

千歌の目に映る情景。

そこに舞い落ちる青い羽根。

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2期7話「残された時間」から意図的に登場し続けた青い羽根。

それは回を増すごとにその色味を濃くしていきました。

何故「青い羽根」だったのか。それは今回の物語の最後の最後に明らかになっていきます。

「輝き」を黒板に残したまま、閉じられる教室。

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ここからは「閉じる」ことで「輝きを閉じ込める」というモチーフが連続して登場していきます。

 

■図書室と1年生ズ

図書委員の花丸。そこで初めて花丸と出会ったルビィ。

引っ込み思案の二人にとっては秘密基地でもあった場所。

それが図書室でした。

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大量にあった本たちは、梱包され、世界中の図書館へと羽ばたいていく。

だから本たちが消えてしまうわけではない。

しかし、がらんどうになってしまった図書室はもはや図書室ではない。

寂しさを紛らわそうとするも隠しきれない花丸とルビィ。

その心情に寄り添う善子。

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二人を励ますため。そして「過去」に留まるのではなく「未来」へと進むために、図書館で「堕天」します。

善子もといヨハネに励まされ、前に進もうとする二人。

お別れの「ドア閉め」。

2人ではなく3人で締めることに拘る花丸。

「一緒に閉めるずら...」

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「嫌よ!」

善子が頑なにそれを拒否するのは、2期5話記事でも触れた通り、善子は自らの行動すべてを「未来」へと「意味のあるもの」へ変えていく使命があるから。

そうでなければ「自らを肯定できなくなってしまうから」なのかもしれません。

がらんどうとなり、あとは壊されるばかりの学校と図書館。

そのドアを閉めるという行為に、「前向きな意図」を見出せない

だから頑なにその作業には参加しない。

善子の拘りを除いたとしても、それは多分に「ノスタルジック」な自己満足なのかもしれません。

けれども、花丸はこの行為への参加をいつになく強い口調で促す。

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「閉めるずら...!!!」

それは理屈がどうこうではなく、完全に花丸個人のわがままです。

自分を救い、守ってきてくれた場所。

それは花丸だけでなく、ルビィそして善子にも通ずるもの。

だからこそ、きちんとお別れする。

その為の儀式。

普段は善子の在り方を認め、愛する花丸。

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この儀式がいかに善子の在り方と相いれないものなのかも十分に理解しています

それでもこの日、この瞬間だけはじぶんのわがままに付き合ってほしい

それは「堕天使」としてではなく、「浦の星女学院」の友人として。

花丸はそんな自分の「わがまま」に自覚的であるから、そして善子の在り方を誰よりも理解しているから、この行為に関して

「ごめんね」

と自らの非を認めるのかもしれません。

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前回12話でそれぞれの補完関係をもって描かれた3人の強いつながり。

このシーンでもそんな3人の強いつながりが描かれ、心を打たれました。

 

■音楽室と曜と梨子

ピアノを弾く梨子。

そこにいるのは意外なことに曜。

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よくよく考えれば、この二人が二人だけで会話しているシーンというのはとてもレアな気もします。

曜にとって、千歌と二人で始めたスクールアイドル。

しかし二人だけでは作れないものを補完する形で現れた梨子。

梨子の存在なくしてスクールアイドルの成立はあり得ませんでした。

しかし、千歌と「同じ視点を共有したい」という一心でスクールアイドルを始めた曜にとって、なにもせずとも千歌と視点を共有出来てしまう梨子は、軽い嫉妬の対象となりました。

その1つの爆発が1期11話で起きた物語の諸々だったのかもしれませんが、結果として梨子を介して曜のもやもやは「一人相撲」であった事が明らかとなり、曜は一旦の救いを得るに至りました。

とはいえ、それ以降も明確には目に見えないものの、どことなく距離感のあった二人。

友達の友達が「親友」とは限らないように、曜と梨子の「一線のある友人関係」というのは、ちょっぴりリアルです。

お互いが「大人」な故に敢えてその境界線を崩さずにいた二人。

しかしここで曜はその境界線をあえて壊しに行く。

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「私ね、ずっと言っておきたいことがあったんだ」

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「私ね 梨子ちゃんのことが...だ~~~~~~~い....」

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「好き!」

互いにあった見えない壁を壊して、ここから改めて「友人関係」をスタートさせるための儀式。
「友達を作る名人」のはずの曜がなかなか言い出せなかった言葉だからこそ、そこには重みがあるようにも思えます。

千歌とは関係がなく、これから始まる二人の友人関係。

終わりだけでなく、「始まり」もしっかりと描かれていきます。

 

■理事長室と3年生ズ

理事長室を後にする前に涙にくれる鞠莉。

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2期ではどうにも泣き虫だった鞠莉。

その姿には「感動すると涙が出る動物」とまで称された「中の人」がクロスオーバーしている感じも受けます(笑)

果南とダイヤから、鞠莉へのサプライズ。

それは生徒代表からの卒業証書兼感謝状でした。

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本来理事長である彼女には与えられないもの。

それを果南とダイヤが主導して作り上げる。

なんとも粋なサプライズです。

このシーンで、鞠莉がその賞状を受け取るのを一旦躊躇するのは、この証書自体が完全なる「終わり」のモチーフだからかもしれません。

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受け取った瞬間に、「終わり」を認めざるを得なくなる。

だからこそ、受け取るのが怖い。

それを察知したからこそ、果南は「大丈夫」「空は繋がっている」と前回鞠莉からかけられた言葉で返す。

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ここもまた粋な演出でした。

学校を終わらせる理事長になってしまった自分に、全校生徒から与えられる感謝状。

それが鞠莉にとってどれだけ救いとなったか。

学校を救うために、日本へと舞い戻った鞠莉。

結果としてその思いは実りませんでしたが、その行動がしっかりと評価され、今へと繋がっていく。

ここにも今回の物語のテーマが反映されているように思えます。

 

■閉校と「涙」

いよいよ最後の「閉める場所」。

それは校門。

この校門は閉まった瞬間に、二度と空くことはない。

すなわち本当に「終わり」のモチーフでもあります。

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どうしても辛いし、寂しい。

自分達がほんの数年とはいえ、毎日のように通った場所なのだから当然です。

それでも千歌は「笑顔の思い出にする」という宣言に引きずられ「泣けない」。

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逆に千歌の言葉が引き金となり、涙する生徒たち。

閉まることを拒否するように、千歌一人だけの力では閉じることができない校門。

曜と梨子の力を借りてようやく閉められる時、太陽もまた沈んでいく。

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こうして校舎には「大量の思い出」が「閉じ込め」られ、それらは「一つの輝き」となってこの場所に留まっていくことになりました。

普通であればこのままエピローグに突入していくはずの物語。

けれども、それで「本当に良いのか??」と問いかけるのが「ラブライブ!サンシャイン!!」なのです。


■光る風

海を見つめ黄昏る千歌。

髪飾りを何もしていない真っ新な状態の千歌。その姿からも今の彼女の状態が分かるようになっています。

砂浜に突き刺された優勝旗。

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「皆から見えるように」

それは散り散りになっていった仲間からも見えるようにという意図。

反面旗の、そのぞんざいな扱いからは、千歌にとって既に「ラブライブ!優勝」もこの時点では意味の無いものへ変化しているようにも感じ取れます。

思えば1期から「ラブライブ!優勝」を目指して、むしろそれだけを目標に突き進んできた千歌。

優勝のその先に、大きな「輝き」が待っている。

そう信じてきたからこそ頑張ってきた。

けれども、今千歌にはその「輝き」の正体が見いだせない

「優勝」して、学校の名前を永遠に残すこと。

そして会場で見た無数の「輝き」。

それこそが千歌が探し求めた「輝き」なのか。

そのことに千歌自身が疑問を感じ続けています。

「私見つけたんだよね。私達の輝き。あそこにあったんだよね。」

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千歌自身が半信半疑だからこそ、問われるもの。

そんな千歌の問いに返されるのは

「本当にそう思ってる?」

「相変わらずバカ千歌だね!」

「何度でも飛ばせばいいのよ、千歌ちゃん」

という家族からの叱咤激励。

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千歌が何度となく飛ばそうと試みる紙飛行機

しかし、それは何度繰り返そうとも、力なく落ちてしまいます。

紙飛行機がなにを象徴しているのか。

2期1話の当ブログでは「人間が最も原始的に生み出した空を飛ぶ造形物」である紙飛行機は、神が作り出した「予め空を飛べるもの=鳥や虫」に「挑むもの」の象徴であり、故に「紙飛行機」とは「神=運命へと挑む人間」を象徴するものなのでは?と考えました。

そのあり方はまさしく千歌と同じように思えます。

降りかかる「運命」を変えたくて。

予め用意された「今」を変えたくて。

起きてしまう「偶然」を、ただの「運命」として漠然と受け止めるのが「嫌」で。

だからこそ足掻いて足掻いて「運命」へと「挑戦」し続けた千歌。

一度上手くいったかと思えば、また振出に戻ったり。

進めたと思ったら、逆風に押し返されたり。

それでもあきらめることなく、何度も立ち上がり、挑戦を続けてきました。

それは紙飛行機を何度も飛ばそうと試みる行為にも似ています。

紙飛行機はどれだけ長く飛んだとしても、やがて落ちてしまう。

それは自力で飛行する術を持たないからです。

ただし、そんな紙飛行機でも「飛ばそうとする意志」と「追い風」さえあれば、何度でも蘇り、この空を飛ぶことが出来る

以前当ブログでは、千歌たちがなり得るのは「光」ではなく「光る風」なのでは?と考えました。

誰も追いつくことができない「光」ではなくて、絶えずこの世界に吹き続けることで、いつでもだれかの心に「希望」を生み出す「風」。

それこそが「光る風」であり、千歌たちAqoursが「作れるもの」なのではと思ったからです。

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だとすれば今紙飛行機が飛ばないのは、千歌の心が「光る風」を生み出せなくなっているからなのかもしれません。

「本気でぶつかって感じた気持ちの先に答えはあったはずだよ」

「あきらめなかった千歌には、きっと何かが待ってるよ」

母から告げられる言葉に思い立ち、再度飛ばす紙飛行機。

千歌の気持ちが前向きになったのと同時に、風へと乗る紙飛行機。

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ハっとする千歌。

しかし風を失い勢いをも失いかけた紙飛行機。

そんな紙飛行機に与えられる千歌の「激励」。

「行けっ!!!」

「飛べーーーーー!!!!」

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そんな、千歌の叫びが「光る風」を吹き起こす

寂しげに地面に突き刺さっていた優勝旗を舞い上げ、紙飛行機を天高く運んでいく「光る風」。

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ラブライブ優勝」をきっかけに見失ってしまったもの。

それは千歌の本質。

「今」に満足するのではなく、絶えず「未来」を追い求めること。

「光る風」を起こして、絶えず「紙飛行機を飛ばし続けること」なのではないでしょうか。

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どこまでも飛んでいく紙飛行機。

その行先は浦の星女学院です。

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このシーンで描かれるものがどこまで現実なのか。

それはなんとも言えません。

もしかしたら千歌の内面で巻き起こる葛藤とその中で得た「答え」が、メタ的に表現されたシーンなのかもしれません。

正解は私にももちろん分からないわけですが、どちらでも良い気もします。

映像作品でしか表現し得ない「ダイナミズム」。

そこで描かれるものが伝える事だけが「真実」である。

だからこそ、我々はそんな細かいことを抜きに、作品を見て感動できる。

「映像作品としてのダイナミズムを信じる」というのは、「ラブライブ!」が無印時代から「信じてきた手法」です。

だからこそ、この先のシーンは「嘘か真実か」ということは抜きに、楽しんだ人の勝ち...という気もしています。

 

■開かれる校舎

千歌がたどり着いた校舎。

何故か開いている校門。

あの日涙ながらに閉じたはずの場所が「開かれている」。

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校舎を巡り、「閉じ込められてしまったもの」を「開いていく」千歌。

開かれた場所場所で聞こえてくる「声」。

それらは「消える事の無い思い出」を象徴するのと同時に、この場所で閉じ込められていた「過去」が、「未来」へと開かれていくことの象徴なのかもしれません。

千歌たちがこの場所に「閉じ込めよう」としたもの。

それは「過去」を「輝き」としてこの場所に「閉じ込めよう」とする行為でもありました。

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けれども、「過去」を「現在」や「未来」から切り離すことは出来ない。

全ての「過去」にも意味があり、それらは「現在」とも「未来」とも繋がっていく。

それはAqoursが2期において体験した物語です。

実らなかった旧Aqoursの願いは、実らなかったからこそ今に繋がって大輪を咲かせた。

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ピアノから逃げた梨子が、今もう一度ピアノと向き合えているのは、一度「逃げた」からこそ。

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そして「普通」であることを嫌だと思った千歌の、その「過去」があるからこそ、辿り着けた「現在」がある。

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「過去」は「過去」でしかないけれど、それらは全て切り離されたものではなく、「今」や「未来」へと繋がっていく。

だからこそ「過去」を「今」と切り離して「思い出」として大切にしまっておくのではなく、「今」と「未来」へとつなげるために、常に「開いておく」必要がある。

そうでなければ「過去」には「過去」としての価値がなくなる。

「サンシャイン!!」が2期の物語を通して伝えたメッセージが、ここには結実しているように私には感じられました。

千歌が「泣かない」と決めたのは、「浦の星の思い出」を「笑顔の思い出」として閉じ込めるため。

でも、もう「閉じ込める」必要はないのです。

悲しい気持ちになったのならば、それは「悲しい気持ち」として感じて、「今」へとつなげていけば良い。辛い気持ちも同じ。

それが自然と千歌には理解できたから、彼女の瞳から大粒の涙が零れ落ちるのかもしれません。

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浦の星の屋上へとたどり着いていた紙飛行機。

なぜ浦の星の屋上なのかといえば、それが千歌の放った紙飛行機の「一旦の停止場所」だからなのかもしれません。

あの日願ったものは「浦の星の輝きを永遠に刻むこと」。

その願いを込めて放たれた紙飛行機は、願いを叶えた。

けれど、それで千歌の人生が終わるわけではない。今日ここで拾った紙飛行機を、更なる未来へと向けて投げて行くしかない

それが「人間の生きる在り方」であり、それを「投げ続けること」が、千歌が「輝く方法」なのかもしれません。

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「願う」こと。その「願い」を込めて、「紙飛行機」を投げ続けること。

そして目的の地まで「紙飛行機」を飛ばすために、絶えず「光る風」を起こし続けること。

これはまさしく、サルトルの語った「投企」の概念と結びつきます。

「世界は醜く、不正で、希望が無いようにみえる」 といったことが、こうした世界で死のうとしている老人の静かな絶望だ。 だがまさしく、私はこれに抵抗し、 自分では分かっているのだが、希望の中で死んでいく。 ただ、この希望。これを作り出さねばならない。

ラブライブ!サンシャイン!!深読みコーナー「Dig」① ~ラブライブ!サンシャイン!!と実存主義の冒険~ - Love Live!Aftertalk!

「希望=光る風」を作り続け、自らを「未来」へと「投企」し続ける。そうすることでひとは人生を「輝かせること」が出来る。

やはり、この物語には「実存主義的」な思想が息づいているように思えるのです。 

 「過去」を閉じ込めきれなかった千歌の耳に聞こえてくるのは「普通怪獣」達の雄叫び。

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あの日「今」を変えたくて、それでも変えられなくて、でもそれが嫌で、抵抗したくて。そんな千歌が世界に向けて放った「必死の雄叫び」。

それが放たれた場所も、この校舎でした。

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あの日には無意味だったかもしれないものが、今こうして結実している。

あの日「嫌だ!」と叫んだ思いが、「ラブライブ!優勝」という一つの「結実」へと続いていった。

なんてことない、意味のない「過去」でも、明確に未来へと繋がっていく。

それは千歌の「過去」をも「認める」描写なのではないでしょうか。

体育館に導かれる千歌。

繰り返される第1話のモノローグ。

「普通の私の日常に、舞い降りた奇跡」

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「過去」の言葉が「今」へと繋がっていく。

そして2期1話のシーンへと繋がってもいく。

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「過去」が「意味のあるもの」として「今」へ、そして「未来」へと繋がっていく。

舞台上に待つAqoursのメンバー。

そこには既に内浦を離れたはずの、果南やダイヤ、鞠莉の姿もあります。

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とても現実的とは思えないシーンです。

曜の「夢じゃないよ」が強調するその意図...。

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このシーンが現実なのか、夢なのか。はたまた幻なのか、それは私には分かりません。

けれども校舎の中で開かれていく「トビラ」と、皆からかけられる「一緒に」という言葉からたどり着く文脈は一つだけです。

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いつものセカイが 新しい扉を

(もっと)隠してるの

(Let's go!)ぜんぶ開けたいよ ほらいっしょにね!

それは「青空Jumping heart」の歌詞。

そして歌詞に関連付けるのであれば、ここから始まるのは「My story」です。

ラブライブで優勝することで止まってしまった千歌のストーリーは、ようやくここから「もう一度」スタートしていくのです。

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「ゴールはどこ」だか分からないけれども、「楽しそうな未来」へと向かっていく千歌のストーリー。

それは「過去」を認め、「今」を認めたことでようやく始められるものなのかもしれません。

■WONDERFUL STORIESと青い鳥

体育館から始まり、あらゆる「過去の場面」を繋げて歌われていくWONDERFUL STORIES。

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そこには過去の挫折も成功も、Aqoursの全てが描かれていきます。

起きたこと「全てに意味がある」だけでなく、その全てが「WONDERFUL」即ち「素晴らしい」物語たちであったと捉える。

「過去」全てを「素晴らしいもの」として捉えていくことで、「未来」を描ける。

それが端的に歌詞へと反映され描かれていく。

これまでの物語をはっきりと総括させる素晴らしい楽曲です。

千歌が気付く、ずっと探していた「輝き」の正体。

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それは元から自分が持っていたもの。

「輝き」を追い求めて、過ごした時間。

足掻いて、足掻いて、負けて、泣いて、それでも足掻いて。見えない「輝き」を掴もうともがき苦しんだ、過ごした時間の全て。

それこそが「輝き」。

千歌の気づきに重ねられるように歌われる歌詞。

「青い鳥(探してた) 見つけたんだ(でも)
 カゴにはね(入れないで)自由に飛ばそう(Yeah)」

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「青い鳥」という寓話があります。

元々はメーテルリンクが大人向けの寓話として作った作品。

今広く知られているのは、その物語を童話として作り直したものです。

元はこんなお話です。

昔々、あるところに、チルチルとミチルという貧しい兄妹がおりました。
そんな兄弟の夢の中に、ある日ひとりの老婆が現れ、こう言います。
「実は、どんな願いでも叶えてくれる青い鳥が存在するのだよ。
それさえ見つければ、足の悪いお隣さんだってたちどころに治ってしまうんだよ。」
その言葉を受けて兄妹は、青い鳥を探す大冒険に出かけます。
しかし青い鳥はどこにも見つからず、ふたりは打ちひしがれて家に帰ってくるのです。
なんとそこでふたりが見たものは、昔から飼っていた、
どこにでもいるような茶色い鳥が、見る見るうちに青い鳥に変わっていく光景でした。
チルチルとミチルは、「青い鳥はここにいたんだ!」と喜びます。
タイミング良くやって来た足の悪いお隣さんに青い鳥を抱かせてみたら、
なんと本当に足が治ってしまったではありませんか。
ふたりはますます興奮して、この青い鳥には何を食べさせようかと鳥の取り合いを始めました。
すると……青い鳥はその隙をついて、空高く遠く遠く飛び去ってしまったのです。
チルチルは虚空に向けて呟きます。
「誰か、あの鳥を見つけて、僕たちのところへ返してください。
僕たちが幸せに暮らすためには、あの青い鳥が必要なのです。」

本当に求めている「幸福」はすぐ近くにある。

けれど人はそれにそう簡単には気づかない。

そして見つけた「幸福」を「永遠のもの」にしようとしてはいけない。

そうしようと願った瞬間に、「幸福」は自分たちの手元が逃げてしまう。

そんな「寓意」を伝える物語が「青い鳥」です。

この物語はそのまま千歌にも反映できます。

「輝き」を追い求めて旅をした千歌。

様々な試練の先にようやく「輝き」は自分の中にあることに気付きます。

「青い鳥」ではその「輝き」を自分達のもとに「留めよう」とする。

しかし千歌はその物語とは別の行動をとります。

チルチルが「永遠」にしようとしてしまったものを、千歌は自らの意思で解き放つ。

手に入れた「ラブライブ!優勝」や「学校の名前を永遠に刻む」という物事そのものに「輝き」を見出すのを止める

これらはこの先の未来へと繋がっていく「一瞬の輝き」に過ぎず、それを後生大事に守り続けるものではないと捉えなおす。

だからこそ、閉じられた校舎を開き、閉じ込めようとした「輝き」を解き放つ。

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その行動に「青い鳥を自由に飛ばそう」という歌詞がかかっているように思えるのです。

「青い鳥」の寓話でも、青い鳥は捕まえた場所から外に出すと、羽の青さを失ってしまいました。

Aqoursが「青い羽根」を目視するときも同じ。

「輝き」が現れた「瞬間」にしか、青い羽根は目視できず、それらは時が経てば消えて行ってしまうのです。

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芝生で歌い踊る時、彼女たちの背景に映る虹。

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それは過去の雨があって初めてかかるもの。

即ち「過去」を受け入れることによって見る事の叶う「奇跡」です。

「全てに意味がある」

これは前回12話でも描かれたもの。

Aqoursはそれを受け入れることによって「勝利」することが出来たわけですが、千歌はその先を描き切れていなかった。

だからこそ、今回千歌個人が自らの「過去」を受け入れ、「今」の価値を信じ、「輝く」ということの意味を知る必要があった。

Aqoursの物語はこれで一旦のお終いとなりますが、千歌の、そしてメンバーそれぞれの人生は続いていく。

「過去」を切り離すものではなく、「未来」へと繋がっていく「意味のあるもの」として描くために、今回の物語は必要不可欠なものだったように思えます。

 

■幕間(まくあい)

WONDERFUL STORIESの終わりと同時に閉じられる幕。

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この幕に「閉じられた世界」を感じた方も多かったかもしれません。

けれども僕はこの幕が「終幕」を意味するものとは思えません。

舞台には「幕間」というものがあります。

「場」が終焉し、その後の「場」に繋ぐために一旦幕が下りている状態を指す劇場用語です。

今回下りた幕は、その「幕間」の幕のように思えるのです。

何故かって?

だってまだカーテンコールが聞こえないからです。

素晴らしい舞台、物語に贈られる観客の拍手。

それに応えて出演者が姿を見せるカーテンコール。

主観こそあれ、「ラブライブ!サンシャイン!!」はそのカーテンコールに相応しい作品だったと思います。少なくとも僕はそう捉えます。

だとすればそれが無いのはおかしな話です。

となると、この幕は、次の「場」が展開されるまでの「幕間」に過ぎません。

幕が下りると同時に告げられた「完全新作劇場版」の告知。

これは正しく次の「場」の予告です。

次の「場」があるのであれば、ここではカーテンコールはかからない。

これは勝手な妄想ですが、次の劇場版では軽快な音楽と同時にこの幕が開くのではないかなと予想しています。

音楽はもちろん「One more sunshine story」です。


【試聴動画】「ラブライブ!サンシャイン!!」TVアニメ2期Blu-ray 第1巻特装限定版 封入特典・録り下ろしAqoursオリジナルソングCD①「One More Sunshine Story」

あの軽やかで豪奢なメロディーに乗せて、千歌がステップを踏み、新しい「サンシャイン!!」の物語をここから「もう一度」紡ぎ始める。

そんな素敵な瞬間が、もう既に僕の脳内では展開されています。

「確かめたい 未来は見えないからときめくね」

果たしてどのような物語が描かれるのか、全くの未知数ではありますが、それまではその物語が終えた後に起こすカーテンコールに備えて、この素晴らしい全26話を改めて見直していきたいと思っています。

 

酒井監督はじめ製作スタッフの皆様。

そしてもちろんキャストの皆様。

更に作品を支えて下さった沼津の皆様。

素晴らしい「輝きの物語」を本当にありがとうございました。

まずは「幕間」ではございますが、感謝の言葉にて本稿を締めさせていただきたいと思います。


■読者様へ

今回をもってサンシャインの物語考察記事は一旦「幕間」となります。

これまで毎週の拙い文章をお読みいただくだけでなく、言葉をかけてくださり、非常にありがたかったです。

ブログを始めた当初は反応もほとんどなく、壁に向かって話しかけているような気持ち(笑)。
もちろん、それでも「やりたいからやっていた」わけですけど。

今は様々な方から読んだ後に感想を頂いたり、存外なことにお褒めの言葉を頂いたり、
とても嬉しいことばかりあります。

これも全ては「ラブライブ!」そして「ラブライブ!サンシャイン!!」という作品のもつ深さと素晴らしさのおかげです。

皆様に感謝をさせていただくと同時に、やはり作品にも感謝をさせていただきます。

ラブライブ!」ありがとう。

僕はあなたに日々生かされています。

さて、これからはまだまだ書きたいネタもあるので、それを不定期ではありますが、更新はしていきます。

恐らくTwitterの方には頻繁に出没すると思いますので、「こいつに一言物申す!!」という方はフォローしてやってくださいませ。。(@tamashiill)
(あんまりキツイお叱りはご勘弁を。。メンタル弱弱マンですゆえ)

それでは、長々とありがとうございました。

次は...物語総括??

それとも「二期予想記事応え合わせ篇??」

ま、なんにせよそれほどタイムラグはなく更新すると思いますので、何卒よしなにm(__)m