こんにちは、或いはこんばんは。
前日に引き続き、ラブライブ2期ハイライトをお送りして参ります。
ここまで来ればほぼ考察は終えたようなもの。スピーディーに参りたいと思います。今回はアニメ版「ラブライブ」の根本的なテーマに迫る回。それゆえに意外と重要なエピソードだったりもします。
ということで、早速参りましょう#10「μ's」です。
■#10あらすじ
予選決勝の結果、見事本選出場を決めたμ's。本選への準備を進める中で去来するのは3年生との「別れ」。とはいえまずはラブライブに集中せねばと、その思いを閉じ込めます。本選に向けて事前に観衆に対してインパクトを持たせるため、キャッチフレーズを考えるμ's。しかしなかなか良い案が浮かびません。自分たちを象徴する「フレーズ」とは何なのか。思い悩む中、ヒントをくれたのは意外な存在でした。
■#10主要人物
自分たちの特長とはなんなのか。思い悩む穂乃果。リサーチを続ける中で気付いたのは、自分たちが「続けてきたこと」こそが「自分達の特長」なのだという事実でした。
・綺羅ツバサ
A-RISEのリーダーにして、μ'sの憧れの的。しかし予選決勝でμ'sに敗れた、という事実がツバサの胸の中に一つの「モヤモヤ」を生み出します。彼女がその「モヤモヤ」の正体を打ち明け、解決を求める時、この物語もまた動き出します。
■1年の終わり
いよいよお正月。
嫌が応にも一年の終わりを実感せざるを得ないシチュエーションに。
初詣ではA-RISEと遭遇。
この時点では予選の結果を知らない視聴者には緊張が走ります。果たして勝者はどちらなのか。
すれ違った後ツバサから与えられる激励の言葉。
「優勝しなさいよ!」
この言葉からμ'sはA-RISEを破り、東京代表として本選へと進むことが明らかになります。
μ’sにとって憧れであり、目標であったA-RISE。
その対象から与えられる激励は、μ'sが本当に認められた証。
ホッとした顔で「はい!」と答えるμ's。
穂乃果の部屋には予選通過の証となる盾。そして本選出場チケットが。
また、この盾はμ'sがスクールアイドルとして初めて手にしたものです。
そこには象徴的に9つの「星」が瞬いていますね。
■願い事
それぞれ初詣で「願う」こと。
穂乃果の願いは「9人全員で最後まで楽しく歌う事。」
「優勝」ではなく、9人で「やり遂げる」こと。
何故μ’sが勝つことが出来たのか。その理由に迫る今回。
穂乃果の「願い事」もまた、大事なポイントとなっていきます。
■3年生3人の「思い出作り」
1・2年生とは別に、希の「仕事」の手伝いをしている絵里とにこ。
3年生である3人には、彼女達だけの「想い出」作りも必要なのかもしれません。
その事実は花陽の「3年生がいられるのもあと3ヵ月」という言葉で実感へと変わっていきます。
「3年生」の卒業と、μ'sの「未来」について。「ラブライブが終わるまで」お預けとなっている話題。3年生の「最後」に花を添える。それが今の1・2年生の原動力となっています。
■亜里沙の願い
姉を訪ねる亜里沙。彼女の願いは音ノ木坂に合格してμ'sの一員となること。
それは暗に絵里達が卒業したとしても、グループとしてのμ'sが「存続する」ということを確定事項として捉えている...という意味に繋がります。
自分たちがいなくなった後の「μ'sについて」。やはり話し合う必要がありそうですが。
絵里の心は揺れています。
■決勝戦
各グループが1曲ずつを歌い、その評価をWebと会場の投票で決める。シンプルでありながら、スクールアイドルの戦いに相応しい方式。50組の中からいかに「印象に残る」か。それがキーワードになっていきます。
3月の本選までの間に有効となる「キャッチフレーズ」。μ'sを一言で言い表すキャッチフレーズとは何か。それを考えることになります。
ちょっとムリクリ感は否めない伏線とは思いますが(笑)。
とはいえ、前回までの物語を踏襲すれば、自ずと一つの「キャッチフレーズ」へと行き着く。そういう意味では、#9で描かれた物語をしっかりと伏線として使用できているような気もします。
■キャッチフレーズ
メタ表現として「嫌」ってほど使用されている印象もある信号機。今回も考えがまとまらない時には「赤」。
ヒントを与えてくれる存在となるツバサが現れると「青」に変わります。
しかしながらツバサからこの瞬間にぶつけられるのは、更なる「難題」。故に信号機は再び「赤」へと変わります。
■ツバサの疑問。
ツバサの疑問とは、何故「自分たちが敗れ」「μ'sが勝利」したのか、というシンプルなものでした。
もちろんツバサも、μ'sが勝利した理由には思い当ることがたくさんある。それはμ'sが絶えず努力し、練習したから。その成果がパフォーマンスに現れたから。
けれども自分たちとて、劣らぬパフォーマンスをした自負がある。それなのに何故μ'sの方が観客の「心をつかんだ」のか。
その理由を、ロジカルな答えを、ツバサは欲しています。
しかし穂乃果は、そんなツバサの疑問に率直に答えられません。この「答え」を見つけることが、今回の物語の軸となります。
■客観性としての雪穂
自分たちの魅力が分からない穂乃果。一番身近な「ファン」=妹である雪穂に自分たちの印象を訪ねます。
雪穂の感想は率直そのもの。
「心配」「危なっかしい」「ハラハラする」...。
でも「姉だから」「地元だから」とは関係なく、「応援しなきゃ」という気持ちにさせる、そんな存在。
「応援」こそが、彼女達を突き動かす原動力となる。それは前回#9でも視覚的に表現されたものでしたね。
■もちつき大会
唐突なもちつき大会の開催。それを応援してくれた「みんな」へのお礼の気持ち、と穂乃果は表現します。
おもちが何かのメタファー...というのは流石に考えすぎですが(笑)。
ただ、μ'sが「作ったもの」を「みんなで分けて」、「喜びをシェアする」というのは、彼女達にとっての「アイドル活動」と同じようなものなのかもしれません。
「自分たちのため」だけではなく、あくまでも「みんなと喜びをシェアする」ために「アイドルをやる」。
おもちを食べる皆の姿を嬉しそうに見つめる穂乃果の表情からも分かる通り、それこそがμ'sの「特長」なのかもしれません。
■穂乃果の答え
神田明神に奉納されている無数の絵馬。そこにはμ'sを応援するものが多数。それを見た瞬間、ひらめく穂乃果。
「μ'sってこれなんだよ!」
「一生懸命頑張って、それをみんなが応援してくれて一緒に成長していける。」
「それが全てなんだよ。」
「みんなが同じ気持ちで頑張って 前に進んで 少しずつ夢を叶えていく。」
「それがスクールアイドル!」
「それがμ'sなんだよ!」
憧れの対象ではなく、「共に進む」対象としての「アイドル」。それはもしかしたら「プロ」では共有できない視点なのかもしれません。
「みんな」がいて、「みんなの応援」があって、初めて成立するもの。
それが「スクールアイドル」。
そして、その観点に最も近い位置にいる「μ's」。
だからこそ、「スクールアイドル」の大会である「ラブライブ」では、A-RISEよりも多くの「みんな」の心をつかむことが出来る。
穂乃果は得た答えを直接ツバサには伝えず、キャッチフレーズとして彼女に見せる...という選択肢を取ります。
確かな確信をもって電光掲示板を見つめる穂乃果。
その意図と思いは、ツバサにもしっかりと伝わりました。だからこそ、ツバサは「なるほど...」というような笑顔を浮かべるのでしょう。
■「みんなで叶える物語」
「みんなで叶える物語」。
これはまだμ'sという名前すら無い頃に、「プロジェクトラブライブ」のキャッチフレーズとして提示された言葉です。(正しくはみんなで叶える新しい物語でしたが)
プロジェクトラブライブ開始当初から応援しているファンへの目配せとしてだけでなく、「ラブライブ」というアニメ作品のテーマへも阿るという意味で非常に理にかなった使用法が出来ていると思います。
■綺羅ツバサとスクールアイドル
ここからは完全に余談。
今回のもう一人の主役。綺羅ツバサに関して。私個人として、彼女はとても魅力的なキャラクターだと思うので、ここでピックアップしてしまいました(笑)。
綺羅ツバサとA-RISEにとって、スクールアイドルとはあくまでも「自分たちを表現する」場所でした。
最高の楽曲とダンスで、最高のパフォーマンスを見せる。それがA-RISEのスタイルであり、「誇り」。
そしてそのスタイルは少なくとも第1回のラブライブでは結果を残し、彼女達は「スクールアイドル」の代表となりました。
しかし第2回目のラブライブでは、前回予選すら通過できなかったμ'sに敗れた。(実際には予選を棄権したのですが...)
暗に彼女達のスタイルや実力を評価しながらも、自分たちが「負ける」とまでは思っていなかったツバサ。だからこそ、その理由を「ロジカル」に追い求めるに至りました。
しかしながらその回答は「シンプル」なもの。
どこまでも「自分たちを高みへと導く」べく活動し続けてきた彼女たちに足りなかったもの。
それは自分たちを応援する「みんな」への視点でした。
レベルの高いパフォーマンスは、確かに見る者を圧倒します。
しかしながら、その「孤高」な存在感は、ファンからすれば「自分が応援せずとも大丈夫」という安心感にも繋がってしまったのでしょう。
「みんな」の応援が具体的な票となり、それが「結果」へと反映されるスクールアイドルにとって、「みんな」の存在はとても重要なもの。
A-RISEは結果として、μ'sに敗れることでその事実を知ることとなりました。
しかしながら、それはA-RISEにとって「スクールアイドル」としての「自分たち」を見つめ直すきっかけにもなりました。
彼女達の視線の先には常に「プロ」としての自分達がいて、それ故に「スクールアイドル」としての自分達を見つめる瞬間がなかった。しかし、μ'sに敗れることで、「立ち止まる」瞬間を得たA-RISEは改めて「スクールアイドル」としての自分達を見つめるに至ったわけです。
「みんな」と一緒に作り上げていくものが、「スクールアイドル」であり、自分たちも卒業するまでは、「スクールアイドル」の一員である。
そんな心境の変化は彼女の中に芽生えたからこそ、劇場版においてツバサは穂乃果への協力を申し出る。そんな風に理解しています。
μ'sだけでなく、綺羅ツバサという人物の葛藤と成長もまた物語の中で描かれている。
これもまたこの作品の「深い」部分なのでは、と感じる要素です。
ということで、#10でした。
劇場版と絡めた時に、結構重要...というだけでなく、「サンシャイン」における「AqoursとSaint snowによる何故μ'sは勝てたのか問答」に対する一種の「解答編」にもなっていたりするので、今後サンシャインを見ていく上でも重要な回なのでは?と感じております。
さてと、次回は2期ではやはり誰もが大好きな回と思います。#11「私たちが決めたこと」です。
この回を演出されているのは、サンシャインの監督でもある酒井和男氏で、その繊細な演出を知っているだけに、サンシャインにも強い期待感が持てたのでした。
ということで、今回もお付き合いありがとうございました。
また次回お会いいたしましょうm(__)m
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