いよいよこちらの特集も佳境。その8は小原マルィーさんです(BGMは脳内再生してください)。
■小原鞠莉
「能天気...とみせかけて、胸にくすぶり続ける炎。その行先を求める”熱い女”」
中盤に至るまで”ミステリアス”な存在として物語に緊張感をあたえた鞠莉。
本人は初期設定の通り「陽気で能天気でゴージャス」な人物でありながら、留学を切り上げて”廃校間近”の浦の星に戻ってきた理由は謎。
しかも”わざわざ”「生徒会長」であるダイヤよりも上の権限を持つ「理事長代行」という肩書まで持って帰ってきた。
その狙いはいったいなんなのか?
Aqoursにとっては敵なのか?あるいは味方なのか?
その「目的」が明らかになる過程も「サンシャイン」の物語においては重要な要素の一つでした。
8話ならびに9話で初めて明らかになった「鞠莉、ダイヤ、果南」の過去。
それはスクールアイドルとしてラブライブに出場し、「浦の星」を廃校から救おうとしたこと。
そして、挫折したこと。
その理由が「果南が本番で歌えなかった」からであったこと。
それでもスクールアイドルを継続しようとした鞠莉を果南が制し、スクールアイドル活動が中途半端な形で「終わってしまった」こと。
...ライブ失敗をもって「海外留学」へと向かった鞠莉でしたが、その「後悔」は胸の奥で燻り続けていました。
そんな鞠莉の耳に”どこからか”届いた「スクールアイドル再結成」の噂。
鞠莉は「燻っていたもの」に再び火を灯すことを誓い、動き始めるのです。
「理事長代理」という肩書は、Aqoursの活動を「全面的にバックアップする」体制を、自身の権限において発動するためのもの。
とはいえ、高校生に与えるには大きな権限。
「まともな大人」なら「はい、どうぞ」と、ポンと渡すものではないはず。(いかに娘を溺愛していたとしても)
そう考えれば、この権限を得るために鞠莉もある程度の「苦労」をしたはずで、そんなところからも鞠莉の「Aqours」への思い入れの強さを感じるのです(妄想ですけどw)。
狙いが明らかになるにつれ、「陽気で能天気」な表の顔とは別の、「Aqours再結成」に執念を燃やす「熱い女」の顔が見え隠れし、そのギャップが彼女の大きな魅力へと変わっていきました。
詳しくは語られていませんが、幼少時代の鞠莉は「良家のお嬢様」といった風情が似合う女の子でした。
そんな鞠莉を「今の鞠莉」に変えてくれたのは幼馴染である果南と、「内浦」という土地であるように思えます。
「目立つ見た目」、しかも「お嬢様」。
それは周囲に「とっつきにくい印象」を与えるものでしょう。
しかし、そんな鞠莉に、特別扱いせずに接してくれた最初の友達である果南。
そして自分を迎え入れてくれた「内浦」という場所は、鞠莉にとってかけがえのない場所なのです。
だからこそ「らしくない果南」も、「廃校間近の浦の星」も、鞠莉にとっては到底見過ごせないもの。
故にあらゆる困難を乗り越え内浦へと舞い戻り、どれだけ拒否されても果南への説得を続け、内浦へのリスペクトが足りない千歌たちを窘めるのです。
本来は「ゴージャスなお嬢様」である鞠莉が、自分を「愛してくれた存在」の為に泣き叫び、しがみ付き、なりふり構わず駆けずり回る姿は、とてもとても感動的でした。
だからこそ彼女の願いが成就した「今」に多幸感を感じるのです。