Love Live!Aftertalk

妄想をただ書き連ねる覚書。

ラブライブ!ハイライト 第9話「ワンダーゾーン」

こんにちは、あるいはこんばんは。

今回は第9話「ワンダーゾーン」の考察となります。

前回いよいよ9人となったμ's。ここから彼女達の快進撃が始まる...かと思いきや、挟まれたのは南ことりに関する個人的な物語、「ワンダーゾーン」でした。一見メインストーリーとは異なるサブストーリーにも感じられるこの回。しかし実際には1期後半へと繋がる布石。更には物語の、あるいは「ラブライブ」というシリーズそのものの「思想」にも関係する結構大事な回だったりもします。今回はこの9話に潜む意味なんかを読み解きながら考察できればと考えております。それでは参りましょう「ワンダーゾーン」です。

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■第9話STORY

絵里、そしての加入によって9人となったμ's。メンバー増をきっかけにランクも急上昇。目標とするラブライブ出場もにわかに現実味を帯びていきます。練習に本腰を入れ始めるメンバー。しかしことりは「練習に参加できない旨」を伝えて学校を出て行ってしまいます。最近は特に「帰宅が早くなっている」らしいことり。どうやら事情がありそうですが...。

人気の急上昇をきっかけに、メンバーに対し「アイドル」としての自覚を持つ事を呼び掛けるにこ。少し過剰な対応策にメンバーは困惑気味?そんな中一軒のアイドルグッズショップに入るμ's。そこには目標とするA-RISEのグッズが。「いつか人気になれば自分たちのグッズもこの店頭に並ぶはず」。俄然モチベーションの上がるメンバー。しかし凛がふと手に取ったバッジ。そこには花陽そっくりの人物の写真が。というよりも、花陽その人のグッズが!?なんと既に無許可でμ'sのグッズが制作されていたのです。自分たちの人気の上昇を感じると同時に、その現実をどう受け取るか戸惑い気味です。

そんな最中グッズショップ店員に呼びかけるメイドさんが一人。「ここに私の写真があると聞いたんですけど!」。なにやら必死な様子。しかしその声は聞き覚えのあるもの。「ことりちゃん??」「ことり?なにをしているのです?」幼馴染の二人にはその正体がすぐに分かりました。自分がことりであることを認めずに逃げ惑うメイドさん。それを追いかけるメンバー。秋葉原を舞台にした壮大な追いかけっこの末、彼女は希に捕まってしまいます。その正体はなんと!というかやはり、南ことりその人なのでした。

「自分には穂乃果や海未のような取り柄がない」。スクールアイドルを始めるにあたって、思い悩んでいたことり。「自分がμ'sに存在する意義」。その答えと、ヒントを得るため秋葉原の街を歩き回っていたところ、メイド喫茶からスカウト。衣装の可愛さからなし崩し的にアルバイトを始めたのでした。しかし結果としてメイドの適性が開花秋葉原伝説のメイド」=「ミナリンスキー」として語り継がれる存在にまでなってしまったのです。とはいえ、このバイトはメンバーにも母親にも内緒の仕事。ばれないためにお客さんには「写真撮影」を禁じていたにも関わらず、イベント時に撮影された写真が流出。それを回収するために「練習を切り上げ」、秋葉原を巡回していたことが明らかになります。「メイドでいる時には、この街にいる時には、いつもと違う自分になれる」。だからこそ「ミナリンスキー」でいられる瞬間を大切にしたいことり。

「自分自身の中にある違った一面を演出し、表現すること」。それは「アイドル」として活動する上でも大事な視点のはず。次のライブ実施場所と、「ラブライブ出場」に向けて「インパクトあるライブ」をどのように演出するべきか思い悩んでいた絵里。ことりの一件をヒントに秋葉原」という場所を最大限に利用したライブ実施を思いつきます。また、そこで披露する楽曲の作詞を、ことりへと託します。

とはいえ作詞経験が無いことり。更には「詩にするべき内容」が思いつかず、ドツボへとハマっていきます。穂乃果はそんなことりを見かねて、ことりが「本来の自分を発揮できる場所」=「ミナリンスキーになれる場所」で「作詞」をすることを提案します。

「ミナリンスキー」である時には、より「自分らしさ」を発揮できると感じていることり。「この街は自分の多様性も優しく受け入れてくれる」「だからこの街が好き」。ことりの言葉から、作詩のヒントを得た穂乃果。その気づきをことりにも伝えます。「今、ここでことりちゃんが言ったことを、そのまま詩にすればいいんだよ」

生まれた曲は「ワンダーゾーン」。「本来の自分」或いは「自分の新しい一面」を「受け入れてくれる」存在へのラブソング。それはこの町を愛し、この町に救われたことりだからこそ作れた曲でもあります。

一つのカセを乗り越えて、成長を果たしたことり。それを後押ししてくれた穂乃果、海未との信頼関係はより深まります。互いの絆を実感した彼女達。「いつまでも一緒にいようね!」そう誓い合います。しかし、そんな彼女達の思いと裏腹に、一通のエアメールがことり宛に投かんされます。それはやがて物語を大きく動かす「うねり」の一因になっていくのです...。

 

■第9話での登場人物プロフィール

高坂穂乃果

9話ではことりの異変に気づきつつも、その原因を積極的に調査したりはせず。ある種ことりのことを信頼しているわけでもあるけども、反面彼女の変化に対して気付けてもいない。この辺りの「鈍感さ」が終盤の展開に対する「布石」にもなっている。とはいえ今回ことりの悩みに気付いた後には、それをしっかりとフォロー。「ことりなりの答え」を導き出すべく尽力した。

南ことり

今回の主役。穂乃果、海未へ目に見えないところで劣等感を抱えていたことが明らかに。「アイドル」として「自分に何が出来るのか」。それを探し求めた末に彼女がたどり着いた結論。その辺は後々。

園田海未

今回は目立った活躍はなし。μ'sに絵里が加わったことに一番感動していたのがハイライト。「ようやくまともなことを言ってくれる人が入ってくれた」と涙を流して感動していた。

小泉花陽星空凛西木野真姫

2年生組が軸となる回なので、1年生組は目立った活躍はなし。アイドルショップでの花陽のテンションの上がりっぷりは注目ポイントです(笑)。

 

東條希

3年生組も1年生組ほどではないが目立った活躍はなし。秋葉原を見事な脱走能力で逃げおおせたように思えたことりを見事な索敵能力で見つけ出し捕獲した。

矢澤にこ

すっかりコメディリリーバーとしての仕事が板についてきたにこ。アイドルグッズショップでμ'sのグッズが入荷されていることを知ったにこが、自分自身のグッズを探すシーンはその必死さも相まって笑いを誘う名シーンに。”中の人”のにこへの愛情をひしひしと感じるアドリブが炸裂し始めるのもこの辺りから。

絢瀬絵里

前回紆余曲折ありながらもμ'sに加入した絵里。これまでの尖りっぷりはすっかり影を潜め、μ'sを正しく導くメンターとしての役割を果たし始める。ルックス面でもμ'sの人気上昇に大きく貢献。「美人でスタイルの良い」メンバーは、やはり必須ということなのか。今回は穂乃果と共にリーダーシップを果たしていくことになる彼女の「最初の仕事」が描かれる回でもある。「お友達集団」を「アイドルチーム」へと変えていく作業。それは次回へも繋がっていく。

 

 ■第9話を読み解くポイント

☆その1 絵里加入とその意味

様々な葛藤を乗り越え、μ'sへと加入した絵里。そんな彼女がμ'sで果たす最初の役割が描かれるのがこの9話の見所でもあります。

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絵里が果たす役割とはどういった所にあるのでしょうか。一つは前回8話でも垣間見えた「ダンスのプロ」としての一面。「本気でバレリーナを目指した」絵里が指導面で果たす役割は決して小さくありません。多くのアイドルが振り付けやトレーニングにはプロの指導を要すにも関わらず、あくまでも学内の活動である「スクールアイドル」では、それをどのように補てんしているのかは明確にされていません。とはいえ、あくまでも「部活動」に近い扱いである「スクールアイドル」に、この時点でそこまで「力を入れている」学校も多くないであろうことを考えれば「プロの視点」をもった「指導者」がメンバー兼任として存在していることは大きなアドバンテージとなるように思えます。

あるいは「ダンスだけ」でなく、「精神面」の指導者としても大きな期待が持てます。生徒数が減った学校内で、消極的な理由において生徒会長として選出された...という設定もある絵里(SID出典)。とはいえ彼女が持つ指導力や人気、すなわち「カリスマ性」と総括できる要素はけっして「偽物」ではありません。海未が「ようやくまともなことを言ってくれる人が入ってくれました」と涙を流して感動するのも、けっして大げさではないのでしょう。

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彼女の指導力は今回9話、そして10話においてもしっかりと発揮されます。その後は徐々に「残念な発言」や「うっかり屋さん」っぷりを発揮して、「カリスマ性」に陰りを見せたりもするわけですが(笑)。とはいえ、大事な場面では穂乃果と並んで「決定していける」強い決断力を持った存在でもある絵里。彼女の加入がμ'sにとって大きな財産となることは、疑いようのない事実でしょう。(後に穂乃果がセリフではっきりと言うように)

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☆その2 人気の上昇とその影響

これからのSomeday」発表後あたりからじわじわと上昇していた「人気」。それが絵里と希加入後決定的に上向いてきました。

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現時点では50位。「ラブライブ予選」通過圏内の20位も見えてきました。人気の影響は様々な部分に影響を与えていきます。

にこは「アイドルである以上必須!」とメンバーに変装を促します。

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夏に差し掛かった時期にこの恰好は明らかに不振ですが。(後々このサングラスが劇場版に登場したわけですが、文脈も含めて完璧な伏線回収でしたね)

更に偶然入ったモグリのアイドルグッズショップではμ'sのグッズが販売中!!

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(本当にどうでもいいんですが、この世界の版権とかどないなってるんでしょうか?スクールアイドルに登録した時点で版権は運営に委託される契約になっている...とかなんでしょうか。それにしたって肖像権の問題はパスできていない気もしますが...)

などという野暮な突っ込みはもはやしません(している)。なんにせよ、メンバーが喜んでいるから良しとしましょうや(遠い目)。

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そんなこんなで、今やμ'sは業界の「最注目株」の一つ。故にメンバーにもより一層真剣に「アイドル」として自分を見つめ、成長していく心持ちが必要とされています。

そんな中で、その必要性を一番に感じ、思い悩んでいた人物がいました。それが南ことりです。

 

☆その3 ミナリンスキー

穂乃果が見つけた生写真。そこにはメイド姿のことりが映っています。

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時を同じくして店を訪ねてきたのは、写真と同じ姿のことり。どうやら穂乃果が見つめていた「生写真」を回収すべく秋葉原中を歩き回っているようです。

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思わぬ姿で現れたことりに驚き声をかける穂乃果たち。しかしことりは「自分自身をことり」とは認めず、逃げ出してしまいます。(その後あえなく捕獲されますが)

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彼女が逃げ出した理由は、練習を休んで「自分の都合」を優先させた後ろめたさが一点でしょうか。ただし彼女が後ろめたさを感じるのは「その一点だけ」ではありません。恐らく「メンバーに隠していた自分の一面」を見られることに気恥ずかしさを感じているように思えます。

さて、ここからは今回のメインテーマ南ことりにとってのミナリンスキーとは何なのか」を掘り下げていきたいなと思います。ことりにとっての「ミナリンスキー」とは「南ことり」の「一面」というだけでなく、「多様な意味」を持つ存在だと考えます。今回はそれらを大きく3つに分類しつつ、細かく考察してみたいと思います。お、なんだか久々に考察っぽいぞ、今回は(笑)。

 

南ことりにとっての「ミナリンスキー」とは何か。

①自らの「多様性」を「相対化」し、「肯定する」ための存在。

これは我々視聴者も誤解していた要素ですが、ことりは周囲の評価に反して、極めて自己評価の「低い」人物として描かれています。

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我々にとってのことりは「ザ・アイドル」という存在。誰が見ても一目で「可愛い」と感じるルックス。甘々ボイスにフワフワで柔らかそうな雰囲気。「女の子が憧れる女の子」を体現した存在。それが南ことりです。

反面9話においてことりが語るのは「自らがμ'sで果たす役割が見えない」という悩みであり、「穂乃果や海未に比べて自分自身には取り柄がない」という思わぬ独白でした。「誰しも自分への評価は低いもの」とは絵里の談。絵里の言う通り、大抵の人は「自分の長所」を自分自身では理解していません。

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しかしながら「アイドル」という仕事は「自己プロデュース」の側面が強い業種。どうしても「自分自身の価値」を「自己評価」し、それを「他者にどのように見せるか」を「把握する」必要があります。

それはある種「自分自身の多様性」を「理解」し、それを「相対化」する作業にも繋がります。ことりにとって「ミナリンスキーになる」ことはその「作業」を行うことでもあるはずです。

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「ミナリンスキー」と「南ことり」には、一見して「差異」は感じられませんその実両者に「差異」など存在しないのです。では「ミナリンスキー」と「南ことり」を分ける要素とは何でしょうか。それは即ち「属性」です。

一介の女子高生に過ぎないことりは、「ミナリンスキー」になることで「メイド」という「属性」を手にします(本来のメイドではなくメイド喫茶のメイドである...というのもポイントです)。人によってマチマチとは思いますが、ことりに関してはこの「属性」が「自分自身の多様性」を知る上で大きな後押しとなりました。

メイドカフェにおいて「メイド」として働く中で、「自分自身に隠されていた適性」を発揮し始めたことり。彼女の中で眠っていた「彼女本来が持つ魅力」が、あえて「メイド」として「カテゴライズ」されたことで発揮されるようになったわけです。

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またことりにとっては、この「ミナリンスキー」が「他者から一定の評価を得た」ことも「大きな自信」に繋がりました。これまで「自分には取り柄がない」と思い込んでいたことり。しかし「彼女を求めやって来るお客さん」や「彼女を必要とする店舗」の存在が、彼女に「自信」を与えたのです。他者からの「自己の評価」はすなわち「自己の相対化」にも繋がります。つまり「ミナリンスキー」としての活動は、ことりが必要としていた「アイドルとしての自己プロデュース」を意図せず「成立させていた」という事実に繋がるわけです。故にことりは「ミナリンスキー」である状況を大事にし、守りたいと願っているわけですが、反面ことり自身は「その事実」に気付いてはいません。

あくまでも「ミナリンスキーはミナリンスキー」であり、その活動が「アイドル活動」に通底するとは考えていない。故にその価値を誰かがことり自身に「理解させる」必要が出てくるのです。

 

②アイドルとしての「アイデンティティ」を確立する為に必要な存在。

「ミナリンスキー」としての活動が「μ'sとしての活動」と地続きにはなっていないことり。だとすれば、両者に「接点」を与える作業が必要になります。

ラブライブ出場に向け、インパクトのあるライブを実施する必要のあるμ's。そんな中絵里が思いついたのは、「秋葉原でライブを開催すること」でした。披露するのはその日のために用意するオリジナル楽曲。その作詞を「秋葉原のことを最も理解する」ことりへと託す絵里。

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この采配が南ことり」と「ミナリンスキー」とを結ぶ最初の「フック」となります。とはいえ、作詞を託されたものの、思うように進まないことり。真面目ゆえに、その弊害は学校生活にもおよび、いよいよ先生からもお呼び出しを受けてしまう始末です。

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ことりがここまで「作詞」に思い悩む理由とはなんなのでしょうか。それはやはり彼女が、自分自身に南ことり」という「カセ」を付けてしまっているからなのでしょう。

ことりが作詞する際に凛が言った「凛もことり先輩の甘々でフワフワな歌詞で歌いたいニャー♪」という言葉。これこそ対外的にみた「ことりに対する評価」を象徴するものです。

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周囲が期待する「自分」。それは「甘々でフワフワな女の子」。それをことさら素直に受け止め、表現しようとするあまり、「自分の本質」を描けなくなっていることり。これこそ、「ミナリンスキー」になる前のことりが抱えていた「カセ」の正体なのでしょう。

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周囲が自分に期待するキャラクターは把握している。ただしそれだけが自分の本質ではない。故にそのキャラクターでは「自分の本質を表現する必要のある」「作詞」は出来ない。だからこそことりは作詞にここまで「苦しむ」のでは?と思えるのです。

ことりの苦しみの正体を把握するのは、やはり穂乃果。彼女が提案する「一番良いやり方」が、ことりに光明を与えます。

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それは「ミナリンスキー」の状態で「作詞」をすること。一端普段の「南ことり」から彼女を切り離し、彼女が最も「活き活きしている」状態に持ち込むことで、結果的に「南ことり」という「カセ」からも彼女を解放することが出来ました。

「ミナリンスキー」の時のことりを「いつもよりも活き活きしている」と表現する穂乃果。ことりはそんな穂乃果の言葉に対し

「この服を着ていると出来る....っていうか」「この街に来ると不思議と勇気がもらえるの」「もし思い切って自分を変えようとしたら、この街ならきっと受け入れてくれる気がする。そんな気持ちにさせてくれるんだ。」「だから、好き!」

と答えます。

その言葉に対し「今ことりちゃんが言ったことをそのまま歌詞にすれば良いんだよ!」と答える穂乃果。彼女のこの言葉は無意識に発せられたものではありますが、その実南ことり」と「ミナリンスキー」を直接的に「結びつける」きっかけとなる言葉になりました。

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これまで無意識に分けられていた「南ことり」と「ミナリンスキー」。しかし穂乃果のこの言葉をきっかけに両者は結び付き、「一体化」することになります。それは結果としてこれまでは「秋葉原」という場所限定にしか存在しなかった「ミナリンスキー」という人格を、ことり自身が「南ことり」の一部として受け入れ、「肯定する」ことにも繋がります。

果たして「自己肯定」が出来るようになったことりは、「ミナリンスキー」としての自分の「個性」を「南ことり」の中に受け入れることで、「ミナリンスキー」が持つ「アイドル性」をも同化させるに至ります。要するにここに至って遂に南ことり「スクールアイドル」としての「アイデンティティ」を確立するに至るわけです。その成果として披露されるのが「ミナリンスキー」の恰好のまま「μ's」として披露する楽曲「ワンダーゾーン」なわけですね。

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ワンダーゾーンの歌詞で歌われるのは「強い私へとなれるミライ」です。この表現は「現状を肯定」したうえでそれを「強化」した表現となっています。決して「新しい私」ではないのです。そんな部分にも、この物語の本質が表現されているように思えます。

 

③「カミングアウト」する存在としての「ミナリンスキー」

ここはかなり穿った見方ですが...。

これまで自分に自信がもてなかったことり。そんな彼女がしっかりとした「アイデンティティ」を確立する。それがこの第9話のメインテーマです。その中で必須となったのは「他者からの承認」でした。自分自身の中ではどうしても「一体化」することが出来なかった「ミナリンスキーとしての自分」と「南ことりとしての自分」。その両方とも「南ことりなのだ」と承認してくれたのは、ほかならぬ穂乃果です。

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困ったときには思わず「ホノカチャーン」と弱音を吐くことでおなじみのことり。彼女にとって穂乃果はとても「大切な存在」です。そんな彼女に対してすら明かしていなかった「ミナリンスキー」としての自分。とはいえ、「ミナリンスキー」はしょせんただの「メイドさん」です。そこまでひた隠しにするような「要素」とは思えません。とすれば「ミナリンスキー」にはもう少し「深い存在意義」が隠されているようにも思えます。 

ラブライブにおいて大切な要素の一つとしてあるのは、「多様性を容認する環境」を是とする...というポイントです。本作が米国ドラマ「Glee」の影響を強く受けているのは明白。

そう考えれば「自分の本質を理解し、公表すること」。更には「それを受け入れる社会と環境の重要性」をメインテーマとして捉える同シリーズのテーマ性にも強い影響を受けているのでは?と考えてしまうのも自然です。

ともすれば「ミナリンスキー」は「セクシャルマイノリティ」ひいてはそれに準ずるものの「メタファー」として用意されているようにも思えてきます。そうでなければことほど左様に「受け入れる場所」や「大切な人からの承認」といった要素を強調する必要性を感じないからです。

また、これが「ラブライブ」シリーズのテーマとして受け継がれているように感じるのは、同じテーマがサンシャイン5話「ヨハネ堕天」でもリブートされているからです。「ラブライブ」の訴求層を考えて「セクシャルマイノリティ」としては描かれないこれらの要素ですが、深い部分ではそれらに対する視点が共有されているように思えるのです。まぁこれはかなり尖った考え方なので、参考にしないでいただいて大丈夫ですが(笑)。

 

☆その4 秋葉原

ミナリンスキーとしてのことりを受け入れ、「ワンダーゾーン」を披露したμ'sをも受け入れた街秋葉原。絵里はこの町を「次々新しいものを受け入れて 日々変化していく場所」「この街はどんなものでも受け入れてくれる」と表現しました。

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いわば「多様性」の象徴として、この後も何度か登場する秋葉原。この絵里の言葉は実は「劇場版」にまで引き継がれていきます。ラブライブを語る上で絶対にはずせない「劇場版」。そのストーリーに強く影響を与えている回の一つが、今回の「ワンダーゾーン」です。故に冒頭ラブライブ」シリーズそのものの「思想」にも関係している...と書かせていただいたわけなのでした。

 

☆その5 ずっと一緒

今回の一件を乗り越え、更に強くなった2年生3人の絆。3人横並びに立って思い出すのは、あの「ファーストライブ」です。

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「始まり」を思うことは同時に「終わり」を思うこと。ことりはやがて「終わってしまう」「スクールアイドル」としての日々に憂いを滲ませます。

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そんなことりの不安を吹き飛ばすために穂乃果は「大丈夫、ことりちゃんと海未ちゃんとずっと一緒にいる」と宣言します。その言葉に安心そうに微笑むことり、海未。

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f:id:ishidamashii:20170619020538j:plainしかしそんなやり取りの裏では、一通のエアメールが届けられようとしています。これが彼女達の関係性をも揺るがす、大きな出来事の発端となることを、この時の彼女達はまだ知る由もないのです。

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今回語られた「ずっと一緒」という言葉。これが「ラブライブ」という物語における「メインテーマ」に直結する言葉にもなっていきます。

この世に決して存在しない「永遠」という概念。だとすれば、そこに近づくために「何をすれば良いのか」。その答えを追い求め、一旦の答えを示したのが「ラブライブ」という「シリーズ」でした。物語はいよいよ佳境へと移っていきます。このお話はその時まで取っておきましょう。

 

というわけで、9話考察でした。

今回はすこーし分かり辛い内容になっていると思いますので、また適宜加筆修正していくと思います。申し訳ございませんが、何卒ご了承くださいませm(__)m

さて、次回は真姫と希のお話。こちらも重要っちゃあ重要なので、引き続きよろしくご愛顧願います。

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ラブライブ!ハイライト 第7話「エリーチカ」&第8話「やりたいことは」

こんにちは。

今回は久々に2話セットで考察していこうと思います。第7話および第8話は「μ'sが9人になる」記念すべき回でもありますが、それと同時に「エリチ回」としての側面が強い回でもあります。絵里を頑なにさせる理由、彼女を縛り付ける「カセ」、そして「救い」。この一連の物語は続けて考察した方が良い内容だと思います。とはいえ今回も物語自体はシンプル。考察もシンプルになるとは思いますので、どうぞ気楽にお付き合い頂ければ幸いです。

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■第7話&第8話STORY

 慌てた様子で部室に駆け込む花陽。彼女が発表した「大変なこと」とは、「スクールアイドルの祭典=ラブライブ!」開催の報せ。全国からランキング上位のスクールアイドルが選出され、トーナメント方式で「スクールアイドルの頂点」を目指す。「スクールアイドルファン」である花陽にとっては見逃せない大会。「チケット入手」の算段を始める花陽に対して「出場しないの?」と問いかける穂乃果。花陽にとっては思いがけない問いかけ。とはいえ「折角スクールアイドルをやっているのなら、出場を目指さなければ!」とメンバー一同盛り上る。μ'sにとって「ラブライブ出場」は目に見える目標へ。絵里を通せば拒否される可能性もあるこの目標。ならばと理事長への直談判を試みる。しかし思惑とは裏腹に理事長室前にて生徒会コンビと鉢合わせしてしまう。なし崩し的に絵里の手前で「ラブライブ出場」を直訴することになる穂乃果。しかし理事長の反応は思いのほか良好。「エントリーするだけなら」と許可を得る。理事長がμ'sを後押しする姿勢に納得のいかない絵里は「生徒会は別の方法で廃校を阻止する」と理事長室を出ていく。「エントリー」を許可した理事長。代わりに「学校の成績が疎かにならない」よう、テストでメンバーが一つでも「赤点」を取ったら「エントリー辞退」をする...という条件を突きつける。勉強が苦手な穂乃果、凛、にこをフォローするため、放課後勉強会が実施されることに。

場面は変わって放課後の校門前。下校しようとした海未の耳に聞こえてきたのはμ'sの楽曲。それを口ずさんでいたのは金髪碧眼の少女。彼女は絵里の妹、亜里沙。どこからかμ'sのライブ映像の別カットバージョンを手に入れ、常に聞いていると言う彼女。自分自身をμ'sのファンと自称する。絵里を迎えにきた亜里沙。海未はなし崩し的に絵里と雑談をすることに。絵里がなぜμ'sを認めないのか。その理由を聞きだしたい海未。しかし絵里は具体的な理由を明言しない。「μ'sだけでなくスクールアイドルすべてがお遊びに見える」と告げる絵里。彼女がここまでスクールアイドルを嫌う理由は不明のまま。

テストが近づき勉強を続けるメンバー。3年生のにこの勉強を見る希のもとに、絵里の事情を聴きに行く海未。そこで明かされたのは「絵里の過去」。本格的にバレエを学び、バレリーナを目指していた絵里。そんな彼女の「過去のダンス映像」を見た海未はそのクオリティに衝撃を受ける。絵里が「アイドル」を「お遊び」扱いする理由は、自身の「ダンスレベル」がそれらを軽く凌駕しているからなのだと知る。絵里の事情を知ったことで、海未の中に絵里に対する理解が生まれる。それと同時にμ'sの一員としての煩悶も抱えることになるのだが。

テスト本番。一番心配された穂乃果もギリギリ赤点をクリア。「ラブライブ出場」への障害が回避されたことでいよいよ本格的に練習に挑もうとするμ's。しかしそんな彼女達の耳に「学校の廃校が決定した」という情報が飛び込む。思わず理事長室に駆け込む穂乃果たち。理事長曰く「すぐに廃校が決定」というわけでなく、「オープンキャンパスの結果」如何で来年の生徒募集を取りやめるという状況であることが明らかになる。

一時の安心を得るも、いよいよ「廃校」が現実味を帯びてくる中で、穂乃果と絵里、それぞれがそれぞれの方法で廃校阻止を試みることに。「オープンキャンパス」での「ライブ開催」を目標とし、そこで自分たちの活動の成果をアピールすることをもくろむμ's。反面絵里は「学校」のことをキチンと説明する事で、周囲の理解を得ようとする。

「ライブ」に向けて準備を進めるμ's。メンバーは手応えを得るも、海未はパフォーマンスに納得がいかない様子。今のままでは「これ以上のクオリティ」を望めない。それを悟った海未は絵里の過去をメンバーにも明かし、彼女に教えを請うことを提案する。とはいえ、絵里とは常にぶつかり続けてきたメンバーはその提案に素直にうなずけない。しかし唯一穂乃果はその考えに賛同を示す。身の回りにダンスが得意な人がいるのであれば、教えを請えばよい。その穂乃果らしいシンプルで真っ直ぐな考え方はメンバーの頑なな姿勢も崩す。

μ'sとは別に説明会の準備を進める絵里。「学校の説明資料」を亜里沙たちに聞いてもらうものの反応は芳しくない。「お姉ちゃんは本当にこれをやりたいの?」「お姉ちゃんがホントにやりたいことは何?」亜里沙のシンプルな問いかけに応えられない絵里。

翌日、μ'sからダンスレッスンの依頼を受ける絵里。意外な申し出に戸惑うものの、しぶしぶその申し出を受けることに。絵里のレッスンはさすがの厳しさ。ダンスの基本を理解していないμ'sに厳しい叱責が飛ぶ。トレーニングの厳しさに離脱するメンバーが続出。絵里はこんなものかと引き上げようとするが、穂乃果とメンバーからはレッスンに関する「感謝」の言葉が飛び出す。意外な反応に驚きながらも、その真摯な態度に心を揺さぶられる絵里。μ'sのことを気にし始めた絵里に、亜里沙はその魅力を語る。「彼女達を見てると元気をもらえる」のだと。

翌日も厳しいトレーニングに付いてくるμ's。「努力がすぐに成果に繋がらない事」に対して「辛くないのか?」と思わず問いかける絵里。その問いかけに対する穂乃果のまっすぐな回答を真正面から受け止めきれない絵里は思わず屋上から逃げ出してしまう。絵里を待ち伏せていた希。絵里にμ's加入を勧める。絵里の近くにいて、それでも分からなかった「絵里がやりたいこと」。その回答が「μ'sにある」ことを希は信じている。希の指摘は絵里にも刺さる。「踊る」ことに人一倍こだわってきたからこそ、挫折を受け入れられなかった絵里は、いつしか「一番好き」なことを封印した。それ故に「自分が本当はやりたいこと」に真っ直ぐ向かっていくμ'sを敵対視せざるを得なかった。「今更私がアイドルやりたいなんて言えると思う?」意地から頑なになった絵里の心。それを溶かすのは、やはりμ'sの「受け入れる」姿勢。「自分から入りたい」と言えない人に手を差し伸べる。それはにこや真姫の時にもしてきたこと。「アイドル」をすることが「自分にとっての正解」なのか、未だに疑問が拭えない絵里はその申し出にも素直にうなずけない。そんな絵里に希がかけた言葉は「やってみればいいやん」というシンプルなもの。「特に理由なんか必要ない。やりたいからやってみる。本当にやりたいことって、そんな感じで始まるんやない?」希の「スクールアイドル」の世界観を一言で説明した言葉に、絵里の頑なな心も融解。穂乃果の手を取り、絵里はμ'sの8人目のメンバーとなる。それと同時にμ's加入を宣言する希。「9人になった時に未来が開ける」「だからμ'sという名前にした」。「9人の芸術の女神=ミューズ」から発想を以てつけた名前。その名付け親は希だった。かくして9人となったμ's。いよいよ全メンバーが揃ったことに。

オープンキャンパスでのライブに向けて練習を積むメンバー。絵里の指導もあって能力を最大限まで引き出されたメンバーは「目に見えない限界」を突破していく。オープンキャンパス当日に披露された曲は「9人の始まりの曲」。タイトルは「僕らのLIVE 君とのLIFE」。「ラブライブプロジェクト」の始まりを記念する楽曲は、観衆にも大好評。見事なパフォーマンスを披露した穂乃果と絵里は思わず笑顔で顔を見合わせる。空に輝く太陽。それを見つめる絵里の表情はどこか晴れやかだった。

■第7話&第8話での登場人物プロフィール

高坂穂乃果

7話では「バカーズ」の一員としてコミカルな表情を見せるものの、やはり締めるところは締める。頑なな絵里にも真摯に向き合い、彼女の頑なな心を溶かすことに成功する。彼女の真っ直ぐな心がなければ、μ'sはこの「9人」にはならなかったことだろう。

南ことり

目立つ活躍は無いものの、「絵里にダンスの指導を受けるべきか否か」の判断においては穂乃果の考えを支持。また穂乃果の教育係を買って出るなど、「ほのキチ」としての役割をきっちりと果たした。と言う冗談は置いておいて、内部の調整役として、今回もしっかり機能していた印象。

園田海未

「アスリート」としてμ'sの指導を買って出るも、「ダンス」の専門家では無い故の壁に自ら気付く。「見る人を魅了するパフォーマンス」を作るための指導者として、絵里の必要性を真っ先に提案した海未。絵里とは反目するものの、彼女の能力をμ's内では誰よりも先に評価していた人物でもあった。

小泉花陽

7話冒頭では「ラブライブ」の説明係。8話では若干影は薄かったが、絵里の熱血指導に潰れかけるも、決して弱音を吐かない芯の強さを見せた。

星空凛

7話では「バカーズ」の一員として、8話では運動神経抜群の割に「体が硬いこと」や「バランス感が悪い」ことを露呈するなど、この2話でも「狂言回し」としての役割を十分にこなした。絵里の指導を受けたことで、上記2点は見事に克服。成績は特別良くなってないみたいだが。

西木野真姫

絵里をどこか嫌っている印象のある真姫。頑なに「一匹狼」を貫こうとしている彼女の姿に、自分を重ねているのかもしれない。「楽しくやる」ことに重点を置く真姫は絵里の指導が「μ'sにとって足枷になる」懸念を感じていた。真姫もまた頑なさを捨てきれない人物。そんな彼女の「現状」を看破した希がアドバイスを送るのは、もうちょっと先の話。

東條希

7話・8話ともに絵里の理解者でありながら、彼女に「方向転換」を迫るキーマンとして活躍した。μ'sの9人目のメンバーとなるだけでなく、その名付け親であったことも明かされる。

矢澤にこ

真姫と同じく、絵里がμ'sの活動に関わることには懐疑的。とはいえ、その理由は真姫とは別の模様。要するに最上級生としての威厳を示せなくなることに不満を感じているようにも見える。それとは別に不信感を抱く理由もありそうだが。

絢瀬絵里

今回の主役。彼女の隠された過去が明かされると同時に、これまでなぜ「頑な」にμ'sの活動を規制しようとしてきたのかも分かることに。彼女に関しては本文で触れることにしよう。

 ■第7話・第8話を読み解くポイント

☆その1 「ラブライブ」とはなんぞや?

遂に登場した「ラブライブ」という単語。しかしその意味はメンバーにも浸透はしていません。

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これまでタイトルでありながら、一度も登場しなかったラブライブ」という単語。今回ようやくその単語の意味が説明されます。

その意味とは「最高のスクールアイドルを決定する」「スクールアイドルの祭典」でした。

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全国から「ランキング上位」のスクールアイドルを選抜し、「トーナメント戦」において闘わせ、最も「観客から支持を得た」「スクールアイドル」を決めようという試み。「学校を廃校から救うため」「スクールアイドル」を始めたものの、「スクールアイドル」としての目標に関しては曖昧だった「μ's」にとっては、これ以上ない舞台。この舞台に上がり、上位入賞することが出来れば、「学校の存在を広く認知させる」という目標にも見事に合致します。

物語...という観点から考えても、この「ラブライブ」という舞台設定は「ゴールを明確にする」効果をもたらします。

視聴者としてはラブライブで優勝することが、彼女達のゴールなんだな」と自然と理解が出来るからです。とはいえ、その「理解」は後々覆されることにもなるわけですが、それはその時に。

またこの「観客から支持を得る」という「勝利条件」が、物語における「キーポイント」にもなっていきます。「ラブライブ」という物語の「思想」を理解するためには結構大事なポイントにもなってくるので、是非頭の片隅にでも置いておいていただけると幸いです。

 

☆その2 理事長の「ぶれない方針」

以前、絵里からの「生徒会も廃校阻止のため独自に活動させてほしい」という申し出を、にべもなく「断った」理事長。

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彼女の発想の根底には「教育者としての矜持」があることは、第4話考察でも触れた通りです。

ishidamashii.hatenablog.com

今回も「ラブライブにエントリーしたい」という穂乃果たちの申し出を了承する一方、絵里からの「生徒会としての廃校阻止活動」には変わらず許可を与えません。絵里はそんな理事長の理屈が理解できません。「同じ目標のもとに活動しているはずなのに、なぜ差別するのか?」と考えているからです。

とはいえ、理事長の中にははっきりとした線引きがあります。その線引きのポイントとは「誰かのため」ではなく「自分のため」の活動になっているか?という部分にあります。

μ'sは確かに穂乃果が「廃校阻止」を目的として立ち上げたグループ。「ラブライブ」への「エントリー」も「対外的」には、その活動の一環として捉えられます。ただし、彼女達のなかで「ラブライブへのエントリー」の本質は、既に「別の部分」にあります。「スクールアイドル」として活動する中で「自分たちの価値を証明」し「目標に向けて成長したい」。「学校のため」だけでなく「自分たちのため」という視点がそこにはあります。理事長はその本質も見抜いているからこそ、彼女達の申し出を否定しないわけです。

「自分たちの成長」のための「挑戦」であれば、それを「否定」や「阻止」はしない。それは、理事長が「教育者としての矜持」を強く持っていることの現れです。反面絵里の活動の要点は「学校の廃校を阻止すること」の一点に限られます。そこには「他者の為」の視点はあっても「自分の為」の視点が欠如している。だからこそ理事長は首を縦に振らないわけです。

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この辺りは8話終盤で希からも指摘される要素。「ラブライブ」という作品に通底する「価値観」とも関係している思想なので、作品を読み解く上でも大事なポイントになってきます。またこの思想は結果的に絵里のことも「救う」ことになります。

また理事長は「μ'sの活動に一定の理解」を示しながらも、「テストで赤点を取った場合にはその限りではない」という条件をしっかりと付けます。このあたりも彼女のバランス感覚の高さを感じる部分です。あくまでも「学生は勉強が本分」であることを示しながら、「それさえクリアすれば何をしても良い」と「適度なハードル」を示す感覚。絶妙なさじ加減だなぁと感じる部分ですね。

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まぁ、一部メンバーには「高い高いハードル」のようですが(笑)。

 

☆その3 μ'sを助ける希

これまでも、ことあるごとにμ'sに助け船を出してきた「副生徒会長」の。今回もにこの勉強を見る役割を買って出ます。

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彼女が「μ'sに肩入れする理由」は今なお不明。しかし彼女がμ'sに対して「期待していること」は、この7話8話を通して明かされることになります。

今回μ'sと絵里を「繋ぐ」という部分において、キーマンとなる希。彼女が明かす情報、そして発する言葉が、今回だけでなく、後々の物語にも影響を与えていくことになります。

 

☆その4 亜里沙

絵里の妹である亜里沙。彼女は7話で初登場となりました。

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絵里とは3歳違い。この春ロシアからやってきたばかりという彼女は、絵里と違い(?)どこか「純粋無垢」な印象を与えるキャラクターです。

彼女がミニプレイヤーで見ているのは「μ'sのファーストライブの動画」。しかもネットで配布されているものとは、別カットの動画を含む超レア映像。この動画の出所は後々明かされるわけですが...。

作中で最も早く登場した「μ'sのファン」である彼女。そんな彼女はμ''sの活動においても度々「キーマン」として活躍する存在になっていきます。彼女がμ'sに抱く「素直な憧れ」。そして「μ'sが好き」であるという気持ちが、何度となくμ'sを救うのです。またμ'sに迷いを与えたりもするのですが...。

7話8話に限って言えば、彼女は「μ's」と「絵里」を繋ぐ、もう一人のキーマンと呼べる存在。彼女の言葉が、そして「想い」が、絵里にも強い影響を与えます。

 

☆その5 「絵里の視点」と「過去」、「海未の気づき」

公園において海未と対峙することになる絵里。ただしお互いの言葉はかみ合っていきません。「絵里が何故μ'sを目の敵にするのか」を知りたい海未と、それには一切答えずに「μ'sをはじめとしたスクールアイドル全体が素人に見える」と断定する絵里。

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絵里のバックボーンを知らない海未にとっては、その発言は「スクールアイドルとして日々努力している」自分たちに対する侮辱そのもの。怒りを見せる海未にも、絵里の態度は崩れません。彼女をここまでに頑なにさせるバックボーンがどこにあるのか。海未は絵里の親友である希にその「真意」を訪ねることになります。

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希から明かされた「絵里の過去」。それは彼女がロシアに滞在していたころ、本気で「バレリーナ」を目指し、日々レッスンをしていたということ。そして一定の評価を受けていたということ。それにも関わらず「夢に破れた」ということでした。

インターネット上に配信されていた「過去の絵里のバレエ」映像。そのクオリティの高さに衝撃を受ける海未。ようやく絵里の「発言の真意」を理解するに至ります。

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「確かに彼女にとっては自分たちのダンスは遊んでいるようにしか見えないかもしれない...。」

その思いは、海未の心の中で「大きな闇」として広がっていきます。「自分たちが楽しむ」そして「見る人を楽しい気分にさせる」ことの先にある「人を感動させる」という要素。そのために必要な「クオリティ」。それを「教えることの出来ない自分」に対してのジレンマを抱えることになる海未。彼女の中に産まれた「迷い」が物語の重要な要素になっていきます。

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絵里が持つ「ダンサー」としての視点は、確かに「間違い」ではありません。真剣にダンスに向き合う人間からすれば「お遊び」にしか見えないかもしれない「アイドルのダンス」。とはいえ、そこには一つ「大切な視点」が抜けています。その「視点」に気付くことが、絵里にとっても大きな一歩になるわけですが、それはまた後程。

 

☆その6 迫る「廃校」

テストの結果、全員が「赤点」を免れたμ's。晴れて「ラブライブ」に向けての練習を再開させます。

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そんな晴れやかなメンバーの心を揺さぶる衝撃的な言葉「廃校決定」という文言が理事長室から聞こえてきたことでメンバーは騒然。物語も一気に緊張感を帯びます。

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とはいえ、これは「8話への期待感」を煽る為のブリッジ。本来はオープンキャンパスでの反応如何で来年度の生徒募集を止める」という内容でした。

とりあえず即時の「廃校」ではなかったことにホッと胸をなで下ろすメンバー。とはいえ「廃校」がいよいよ現実味を帯びてきたことで、嫌が応にも焦りを感じ始めます。

それは生徒会長である絵里も同じ。もはや理事長の指示通りに動いていられないと「自らも廃校阻止のために活動する」と言い残し、理事長室を出ていきます。

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「どうするつもり?」

絵里に問いかける希。彼女が示したタロットカードは星の「逆位置」。つまり「希望がみえない」現状を示したカードです。

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「廃校」への具体的な「タイムリミット」が見え始める中で、物語も急激に動き出します。

 

☆その7 「人を魅了する」「ダンス」

海未の心は未だ闇に包まれた状況。「オープンキャンパス」でのパフォーマンスの精度を高めていかなければならない中で、「μ'sの現状とクオリティ」に納得がいきません。

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「自分たちが楽しむ」あるいは「アイドルファンを楽しませる」ためには十分なクオリティにあるのかもしれない「自分たちのパフォーマンス」。反面、見る人全てを「魅了する」ようなクオリティには達していないように思えてなりません。これでは「オープンキャンパスで一定の評価を得る」ことはもちろん、目標とする「ラブライブ出場」を勝ち取ることはできない。

アスリート故に「基礎的な体力トレーニング」であれば教えてこれた海未。反面「ダンスに関しては素人」。「自分自身の限界」を知るからこそ、プラスワンモアの必要性を最も実感しているのも海未です。

迷いの中で海未が出した一つの結論。それは絵里から「教えを請う」ことでした。当然反発するメンバー。絵里と自分たちの関係は決して良好とはいえません。まず「引き受けてくれる」とは考えづらいからです。とはいえ自分たちをもう1グレード「高める」ためには彼女の力が必要。そう考えるからこそ、無理を承知で海未はメンバーに提案をします。海未の発案を受け入れたのは、やはり穂乃果。「自分たちの身の回りに凄い人がいるのなら、ダメ元でお願いしてみよう」。彼女のポジティブな思考が、μ'sと絵里とを近づけていきます。

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また、「オープンキャンパス」と「ラブライブ」という二つの「イベント」を通して、初めて自分たちを「相対化」して見る事の重要性を感じた海未。彼女の発想がμ'sだけでなく、絵里を救っていくことにもなります。

初期PVでは絵里との関係性が強いように見える描写が多かった海未。プロジェクトが進むにつれて徐々にオミットされていったその要素を、「精神性の類似性」という形で復活させ、後々のシーンへも滞りなく繋げていく...という脚本バランスは、最終シーンへと「滞りなく繋げていくため」の準備にもなっています。またそういった形で「初期PV」の要素をアニメ本編へ加えていくのは、「プロジェクト発足当時」から応援しているファンに対しての「目配せ」という意味でも非常に「上手い演出」だなと感じました。

 

☆その8「絵里」の「やりたいこと」

自分なりの「オープンキャンパスイベント」を考えていく絵里。しかしその内容は決して「面白いもの」とはいえない内容です。

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絵里が示す内容にはっきりと「拒否」を示す亜里沙

「これが本当にお姉ちゃんのやりたいことなの?」

「お姉ちゃんが本当にやりたいことって何?」

自分にとっての「やりたいこと」が「学校を存続させること」なのだと言い張る絵里、それを否定する亜里沙亜里沙の指摘は的確で、それ故に絵里は心を揺さぶられます。

「やるべきこと」と「やりたいこと」は本来別のはず。にも関わらず絵里の中ではそれが「混在」してしまっています。絵里自身も「分かっていなかった」問題の本質が、二人の会話をきっかけに「浮き彫り」になります。

「やりたいこと」を見失っている絵里。そんな彼女のもとにやってくるμ's。彼女達は絵里に「ダンスレッスンの指導」を直訴します。

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反目しているはずの相手からの意外な呼びかけに驚く絵里。しかし「自分のやりたいこと」を見失っていることを自覚している絵里は、「自分に欠けている要素」をしっかりと持ち、周囲から一定の評価も得始めたμ'sを自らの目で「見極めたい」と考えたのでしょうか。この申し出を受けることになります。

希がつぶやく「星が動き始めた」という言葉の通り、幸運に向かう星の流れが、ようやく「生まれた」瞬間となりました。

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☆その9 絵里の教え

ダンスに関する基礎を叩きこむ絵里。彼女の言葉は厳しいながらも、至極まっとうなものばかりです。

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「クオリティに差が出るのは基礎が出来ていないから」

柔軟とバランス訓練に重点を置く絵里の指導は、確かに今までμ'sに欠けていた要素の一つです。

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「鬼教官」も「アイドルの先生」も教えられなかったことを「教えてくれる存在」。それはμ'sにとって貴重な存在となります。だからこそ、いかに厳しくとも彼女たちは絵里に「感謝」の念を伝えます。そしてそんな彼女達の姿勢が、絵里の頑なな心を次第に溶かしていきます。

 

☆その10 「元気をくれる存在」

その日の夜。改めて亜里沙にμ'sの魅力を聞き出そうとする絵里。亜里沙が何度も見ている「これからのSomeday」のPVを「まるでなっていない」と切り捨てます。

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亜里沙は「お姉ちゃんに比べればそうだけど...」と前置きしたうえで、「でも元気がもらえるんだ」とμ'sを総括します。

例えダンスのクオリティがアベレージ以下だとしても、強烈なインプレッションを与えることが出来る。それは「アイドル」ならではの「独自性」かもしれません。絵里の中に欠けていた「視点」を補完する亜里沙。彼女の言葉が絵里の視野を広げる要因になりました。

また、この見ている人に「元気を与える」=「笑顔にする」という「目標」は、にこがμ'sに「一番最初にあたえた命題」でもあります。即ち「アイドルの先生」である「にこの視点」はしっかりμ'sの「土台」として根付き、それが亜里沙にも影響を与えたということ。それがハッキリと分かる描写になっているわけです。

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「絵里の視点」や「考え」が「μ'sに影響を与える」だけでなく、これまでの経緯から「μ'sが生み出してきた要素」が「絵里にも影響を与える」という視点は、物語構造としてもしっかりと配慮された構成だなぁと感じます。

 

☆その11 絵里の迷いと惑い

翌日屋上を自ら訪れる絵里。自分に真っ直ぐな視線をぶつけてくる穂乃果に、思わず「上手くなるとは限らないのに練習を続けて辛くないのか?」と本音をぶつけます。

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それに対する穂乃果の回答は「やりたいから」というシンプルなもの。「やりたいことだから辛くても耐えられる」。その真っ直ぐでぶれない答えが、絵里に動揺を与えます。思わず屋上から出ていく絵里。

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「自分のやりたいこと」とは何なのか。それを自問自答する絵里。ふと現れた希が語るのは「絵里の本当にやりたいこと」が分からないということ。「いつも誰かのためばっかり」に活動して「自分のためには何もしていない」。

そして「廃校阻止」という「行動」も「生徒会長としての義務感」からの行動で、決して「絵里自身がやりたいこと」ではないということ。だからこそ、理事長は「絵里の活動を制止したのではないか」という問いかけ。

そして問われる「エリチの本当にやりたいことは?」という問いかけに、いよいよ絵里も爆発してしまいます。

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「私だって好きなことだけやって、それでなんとなるんだったらそうしたいわよ!」

思わず溢れ出す涙。これまで「鉄の生徒会長」という印象を与えてきた絵里。そんな彼女がこぼす涙だからこそ、視聴者の胸にも響きます。

「自分が不器用なのは分かってる...!」「でもっ...!今更アイドルを始めようなんて、私が言えると思う...?」

かつては「好きなことだけ」をやって、それで「なんとかなる」と信じていた絵里。しかしその思いは「挫折」という体験の前に裏切られてしまいました。それ以来、何をおいても「自分の為」には頑張れなくなってしまった絵里。彼女が抱える「鬱屈した思い」と、それ故に「ひねくれてしまった心」は、既に彼女自身でも制御できないものになってしまっています。

そんな彼女の心を解きほぐし、救えるのは、とてもシンプルに、彼女の思いを「受け入れる場所」です。

 

☆その12「本当にやりたいことはいつもこんな風に始まる」

空き教室で頬杖をつく絵里。いつかどこかで見たことのあるシーンに、旧来のファンの期待値は嫌が応にも高まります。

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手を差し伸べる穂乃果。後ろにはμ'sのメンバーが勢ぞろいしています。

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「絵里先輩!μ'sに入って下さい」

思わぬ場面で希に対して溢れ出した「本当にやりたいこと」という「本音」。その「本音」とは「スクールアイドルになる」ことでした。この期に及んでもなお、自分の「本音」を否定する絵里。「やりたいこと」への「理由付け」に拘る彼女に希が告げた言葉。それは「スクールアイドル」における考え方の「基礎」となるもの。

「別に理由なんて必要ない」「やりたいからやってみる」「本当にやりたいことって、いつもそんな感じで始まるんやない?」

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「始める」ことに対して何かと「理由付け」を必要とする「現代」。そんな時代において、「まずはやりたいならやってみるべき」という考え方を頒布するのが、「ラブライブ」が作品としてもつ「テーマ」の一つ。ともすれば、希のこの言葉は「ラブライブ」という作品を理解するうえで「ポイント」となる言葉でもあります。

「考える前に飛び込め」という思想は、TVシリーズだけでなく、「劇場版」そして「サンシャイン」へと引き継がれていく「ラブライブ」にとって普遍的なテーマ。だからこそ、このシーンと台詞が作品全体に置いて持つ重要性は高いと、個人的には考えています。

希の言葉に導かれるように、穂乃果の手を握り返す絵里。かくして絵里を加えたμ'sは8人になりました。

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すると即座に9人目のメンバーとして加入を表明する希。彼女は最初からこのグループは9人となった時真価を発揮する...と考えていたことを明かします。

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「9人になる」ことを見越していたからこそ「9人の芸術の女神=ミューズ」という名前をグループに提案したことを明かす希。なんと彼女がグループの名付け親なのでした。

かくして9人となったμ's。遂に、真の意味での「μ's」が完成しました。

 

☆その13「僕らのLIVE 君とのLIFE」

遂に9人となったμ's。彼女達が「オープンキャンパス」で披露するのは、「スタートの曲」です。

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披露されるのは僕らのLIVE 君とのLIFE

まだ彼女達が「海のものとも山のものともつかなかった時代」。彼女達がまだ「μ's」では「なかった頃」のデビュー曲。コミケでひっそりと披露され、発売された曲。それが、3年の時を経て、TVアニメに登場し、なおかつ「リブート」される。昔から応援してきたファンにとって、これ以上のご褒美はないでしょう。


【ラブライブ!】「僕らのLIVE 君とのLIFE」PV(ショートサイズver.)

歌詞の内容もまた、今回の物語と一致するもの。

 「無茶に挑むこと」を肯定し、「挑み続ける姿勢」を称賛する。「やりたいことに真っ直ぐに挑むこと」を讃える。そんなラブライブ」の「全て」が詰まった楽曲。その真っ直ぐな歌詞は、まさに彼女達の「スタートの曲」と呼んでふさわしいものです。

 

☆その14 歌うように生きてよい。

μ'sと出会うことで、再び「夢に真っ直ぐに向き合えるようになった」絵里。彼女の頑なになっていた心もまた「ぼららら」によって救われたように思えます。

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「僕らのLIVE 君とのLIFE」というタイトル。

これは「LIVE(ライブ)」=「歌う事」と「LIVE(リブ)」=「生きる事」をダブルミーニングで表現した上で、さらにそこに「LIFE」=「生活」を掛け合わせたタイトル構造になっています。

そこから感じるのは、「歌うように生き、歌うように生活してほしい」という思想です。人は「歌うこと」でストレスをかなり発散できるという検証結果もあるように、「歌うこと」は人間にとっての「喜び」にも繋がっていきます。

ともすれば「ストレス」を抱えがちな現代社会において、もしも「歌いながら」あるいは「歌うように」生きることが出来れば、多くの人がもっと幸せになれるのでは?この楽曲からはそんな「問いかけ」をも感じるのです。

「同じ出来事」でも「自分の捉え方次第で良い方向に変わる」というのは、劇場版ラブライブでは繰り返し描かれたテーマでした。この楽曲からも同じような思想を感じると共に、ラブライブに一環して流れる「イデオロギー」があることも実感できますね。

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太陽を眩しげに、それでいて心地よく見つめる絵里。この瞬間、彼女の耳には「SUNNY DAY SONG」が聞こえていたのでは?そんな風に思います。

 

というわけで7話8話考察でした。考察というよりも、ストーリーの流れ説明みたいな記事でしたが、いかがだったでしょうかw

さて、9人となったμ's。次回はこれまでピックアップされなかった南ことりに迫った異色回「ワンダーゾーン」です。

恐らく「サブストーリー」として受け取られがちな回だと思うのですが、こちらも「ラブライブ」という作品を考える上では非常に重要な、普遍的なテーマを抱えた回だと思いますので、しっかりと考察していきたいと思います。

それではまた来週くらいにお会いしましょう♪

 

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ラブライブ!ハイライト 第6話「センターは誰だ?」

おこんばんは。

更新時、5月にも関わらず謎に実施された花火大会の影響で上空がめちゃくちゃウルサイです。。まぁそれはいいんですけど。。

さて、今回は第6話「センターは誰だ?」です。唯一の7人編成の楽曲「これからのSomeday」が登場した回として印象深い回だとは思いますが、それ以上に1期の中では結構重要な回だったりします。

とはいえ、お話自体はスーパーシンプル。なにも解説や考察する部分も無いのですが...。前回と同じく、ストーリーの流れを追いつつ、必要な部分だけ解説させていただくスタイルで行こうと思います。どうぞお気楽にお付き合いくださいませ。

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■第6話STORY

にこが加わり7人となり、正式に部活としても承認。いよいよ音ノ木坂学院オフィシャルの「スクールアイドル」として活動していくことが可能になったμ's。そんなμ'sを生徒会も支援。副会長の希は部活紹介VTRを作成するため、μ'sへの密着取材を敢行します。取材の中で見えてくるメンバーそれぞれの個性、そして現在地。普段はどこか「ふざけている」ように見えるμ'sのメンバー。しかし練習となると力が入ります。その様子を見つめる希はどこか満足気。しかしそんな中で希は「一つの疑問」にたどり着きます。それは「μ'sのリーダーとは誰なのか」そして「何故穂乃果がリーダーなのか」というものでした。発起人故に「仮リーダー」となっていた穂乃果。しかし全会一致で選ばれた存在というわけではありません。新たな「リーダー」決定を、にこが旗振り役となって進めようとしますが、メンバーの温度感はイマイチ。「リーダー=μ'sの中心=センター」という構図が頭の中で出来上がっているにこ。リーダー就任に意欲を見せますが、周りのメンバーはにこのリーダー就任には消極的。となれば、実力で半ば強引に「リーダー」の座をつかみ取ろうと、メンバー同士での「実力テスト」を実施します。歌、ダンス、チラシ配り(人気)の3種目で争われた競争は、一長一短。決定的な差が出ません。議論は再び元に戻る中で、穂乃果が提案したのは「全員がセンターで良い」というもの。「誰かが目立つ」のではなく「全員が目立って」「全員がセンター」それが「μ'sらしさ」だと説く穂乃果。少し強引ではありますが、穂乃果の考え方がある種の落としどころかもしれないと納得するメンバー。μ’sはその「考え方」を反映した楽曲「これからのSomeday」を作成し、新曲として発表します。結局決まらなかったリーダー。しかし固定のリーダーがいなかったとしても、μ'sの「アイデンティティ」を作り出しているのは穂乃果。彼女の「なににもとらわれないで、一番やりたいこと、一番面白そうなものにひるまずにまっすぐ向かっていく」姿勢であることは確か。ここにμ'sの「スクールアイドル」としての「基本姿勢」が確定します。

時を別として、絵里をμ'sに招き入れようと画策する希。彼女は絵里の「リーダーシップ」がμ'sに必要だと説きますが...。

また場所を移して廊下をあわただしく駆け抜けていく花陽の姿。遂に花陽の口からラブライブという単語がこぼれ出します...!

 

■第6話での登場人物プロフィール

高坂穂乃果

相変わらずマイペースな穂乃果。今回はそんな彼女の「マイペース」っぷりがやり玉にあげられる恰好に。ついにμ'sの「リーダー権」をはく奪されそうになるも、本人には「どうでもいいこと」らしく。。最終的には穂乃果の持つ「考え」がμ'sの基本姿勢となり、その後の彼女たちの活動の「根幹」にも関わっていきます。

南ことり

生徒会の密着取材時には、緊張する1年生を和ませようとおどけて見せるなど、これまた新しい一面を見せてくれた。穂乃果の「リーダーはく奪」には断固として反対。最後まで「穂乃果がリーダー」を推進し続けた。メンバーの意外なプライベートを探そうとした穂乃果に鞄を覗かれた際には珍しく動揺。鞄の中には不思議な写真が入っていたけども...?

園田海未

「新リーダー」候補として、最多得票を得た海未。ただ目立つのが嫌いな海未は断固拒否。練習時には率先してメンバーを指導。アイドルをよく知るにこにもその指導は容赦がない。結局変更のなかった「リーダー=穂乃果」だが、海未はその真価を最も早く理解していた。流石穂乃果の最大の理解者でもある。

小泉花陽

にこと同じくリーダーの必要性は感じている様子。ただ変更には消極的で、にこの就任にも消極的。本編で目立つシーンはそれほどなかったが、最終シーンでの彼女の言葉から、物語は第2章へと突入していく。

星空凛

部活紹介VTR作成では、なぜかVTR撮影係を任せられることに。「運動は得意だけどダンスは苦手」と発言するも、初挑戦のリズムゲームで余裕の高得点と、能力の高さを見せつけた。にこの部活就任への色気を最後まで徹底的に無視。基本矢澤先輩のことは舐めがちである。。

西木野真姫

μ’s加入後も一匹狼的な立ち位置がめだつ真姫。紹介VTRの取材にも素直に応じてくれない。リーダー交代には同意。真姫は徹頭徹尾「海未推し」であった。

 

東條希

μ'sの部活昇格を契機に、一機に活動に協力的に。今回は物語を動かす大事な発言をするなど、目立つ動き方。一匹狼な真姫をどこか気にかけている節があり?絵里をμ'sに加入させたがっているが。

矢澤にこ

リーダーへの「野望」を隠さない女。恐らく...というか間違いなく、こういうことを繰り返した結果一人になったんだろうと思わせる。そういうとこだぞ~矢澤。全勝を期して臨んだ「実力3本勝負」では決定的な差を示せず。最終的には穂乃果の考えに賛同を示す。

絢瀬絵里

希からはμ'sを手助けするべきと言われるも、頑なに拒否する。彼女が頑なになっている理由は次回明かされる...。

 ■第6話を読み解くポイント

 ☆その1 部活紹介VTR

正式に部活へと昇格した(というか統合した)「アイドル研究部」。学校の活動を紹介する一環として生徒会が企画した「部活紹介VTR」へも登場することになりました。

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VTR作成のためμ'sへの密着取材を敢行する希。いよいよμ'sに直接的な接触を図ってくるようになりました。彼女の狙いまではまだ判然とはしないのですが...。

このパートでは「希」と「取材」という「他者」のフィルターを通すことで、目に見えないμ'sの「現状」を視覚化する狙いがあります。

表向きは上手くいっているように見えるμ's。しかし、「他者」の視点を通すことで、顕在化していない「問題」が表出化するわけですね。

例えば真姫

 はじめて積極的に自分たちの活動を取り上げてもらえるにも関わらず、取材には「非協力的」です。

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その理由には複合的な要素があるわけですが....。少なくともこの時点では真姫の「一匹狼」な性質が、μ'sというチームにおいては「浮いてしまっている」ことが表面化しています。幸いそれを追求する人がいないことで問題化していませんが、やがて火だねになりかねない性質でもあります。それを見抜いて、彼女を「イジる」ことで、チームへ馴染ませようと試みるのは、

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どうやら希は真姫の性質に、対して何らかの「シンパシー」を頂いている様子ですが...。この辺はもう少し後で明らかになります。

あるいはにこ

部活紹介VTRを撮影するということで慌てて部室に駆け込んできます。

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これまでピックアップされてこなかった自分の活動。それがいよいよ注目を集めるということで気合の入るにこ。いつも以上に作り込んだ「キャラ」で取材を受けようとします。

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しかし、それを「普段の様子が撮りたいから」と制す希。するとにこは今度は「普段Ver」の「キャラ」を見せてきます。

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前回にこが協調した「キャラクター作り」の重要性。そしてそれを実践していることを感じさせるシーンです。ただし、これもまたにこが抱える「問題」ではあります。

「アイドル」への思い入れの強さ故に、自分の「普段」の姿まで作り込んでいる...というのは少し歪です。。(もちろんプロで同じようなことをされている方はたくさんいらっしゃるでしょうが)

希が...そして一般のファンが欲しがる「スクールアイドル」の「日常」とは、このように「作り込まれた姿」ではないはず。にこの姿勢はとても立派ですが、同時に「スクールアイドル」に対するニーズを「理解できていない」ことを表出させているようにも思えます。

このようなにこの「野心」は、「アイドル」としては「正しいもの」なのかもしれませんが、こと「スクールアイドル」においても同じと呼べるのか?

ここは後半反復されるテーマでもあります。

 

そして、今回最も「問題」が炙り出されるのは穂乃果です。

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彼女が「リーダー」である以上、その生活への密着を進める希。しかし取材の中で希はひとつの疑問にたどり着きます。それは「穂乃果のμ'sでの役割とは何なのか」そして「なぜ穂乃果がリーダーなのか」という根本的なものでした。

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作詞とダンスの振り付けを担当している海未、衣装デザインを担当していることり。作曲の担当は真姫。と、なると穂乃果には明確な「役割」はありません。

強いて言うなら「リーダー」が彼女の役割ではありますが、そうなるとなぜ「穂乃果がリーダーなのか」という疑問が湧いてきます。

この根本的な問題に触れることが、今回の「メインテーマ」にもなっていきます。

 

☆その2 ことりと希の「伏線」

部活紹介VTR作成の中でちょっとした今後への「伏線」となるシーンもありましたね。

分かりやすいところでは鞄を覗かれ動揺することり。

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「ナンデモナイノヨナンデモ」という普段ののんびりしたことりからは考えられない「早口」まで飛び出します。相当な動揺っぷりですが...。

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(鞄の中には怪しげな写真...。)

また、希からは「うちに出来るのは、誰かを支えてあげる事だけ」という意味深な言葉も飛び出します。

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この辺りの希の発言の真意は、「2期」で明らかになるので、相当長い伏線といえますが...。

 

☆その3 練習でのにこの表情

細かい部分で恐縮ですが、7人でのダンスレッスンも今回が初出でした。

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海未の指導は先輩が相手でも関係ありません。遅れていればきっちりと指摘します。ピックアップしたいのは、指摘を受けた際のにこの表情です。

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本来プライドの高いにこならば、怒り出しそうではありますが、このなんとも嬉しそうな表情。今まで自分だけが「アイドル」への高い要求をもって取り組んできたにこにとって、「同じ目線」をもってアイドル活動をしてくれる同志の存在が嬉しくて仕方ないのでしょう。ほんの数秒のにこの表情から、それを表現している良いシーンだなと感じました。

 

☆その4 にこの「リーダー論」とそれ故の「失敗」

「穂乃果がなぜリーダーなのか」から「本当のリーダーは誰にすべきか」にまでテーマを進化させたにこ。彼女は高らかに「リーダー交代」とアイドルにおける「リーダー論」を語ります。

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にこの語る「リーダー」とは一般的な「アイドル」におけるもの。もちろん間違ったことは言っていません。ただし「スクールアイドル」という尺度で考えると、ややハードルが高すぎる要求のようにも思えます。

ことりが花陽に語った通り「スクールアイドル」は本来の「アイドル」であれば「失格」になってしまう子でも「目標をもって取り組める」存在。通常の「アイドル」の尺度とは少し違った感覚で取り組むべきものでもあります。

またにこが発する「野心」も、「スクールアイドル」の取り組みの中では「浮いてしまう」もの。それをメンバーは敏感に感じているからこそ、にこに「イニシアチブ」を取らせようとはしません。

しかしにこはそんな「空気」にはまるで動じません。あくまでも自分自身の「野心」を叶えるため、貪欲に邁進します。

そんな彼女の姿勢からは、彼女の「アイドル」への思い入れの強さと同時に、彼女が「失敗」した理由も明確に感じられます。

そんなにこの姿勢へ「クエスチョン」を投げかけると同時に、「ではスクールアイドルの正解とは何なのか」という物を示すのが、今回の物語の「メインテーマ」なのでしょう。

☆その5 にこと穂乃果 イデオロギーの違い

センターの座を奪われそうにも関わらず暢気な穂乃果。「センターじゃなくなるかもしれない」という花陽の言葉には、平然と「でも、皆でやるのには変わらないでしょ」と返します。

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この辺に「穂乃果の哲学」の全てが含まれているように思います。彼女にとって「アイドル」は「皆と一緒に」「楽しむため」にやるもの。だから、その中で「抜きんでたり」「センターで歌う」ことには大きなこだわりがありません。それは彼女が本来は「アイドルファンではない」からなのかもしれません。元々「アイドルファン」で「アイドルを目指した」にこと違い、「学校を救うため」「A-RISEの姿に衝撃を受けて」「スクールアイドルを目指した」穂乃果とでは、根本的な考え方が異なるわけです。

また、穂乃果がこういった性質の持ち主だからこそ、彼女は後々「スクールアイドルの価値観」を決定化するほどの存在に上り詰めるのかもしれません。

彼女は生まれついての「スクールアイドル」なのですから。

 

☆その6 対決の行方

にこが設定した3種目での戦い。これらは本来設定した人物に「圧倒的有利」な種目のはず。しかし、この戦いでは「大きな差」が生まれません。

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「時代が変わった」とにこは独りごちましたが、「時代」のせいというよりも、にこ自身がμ'sメンバーを侮っていた...という側面の方が大きい気がします。カラオケ時の発言にあったように「スクールアイドル」として活動する中での日々の練習が「しっかりと成果を出して」いるわけです。

「歌唱対決」では全員が90点以上を記録。また「ダンスゲーム対決」では「運動神経には自信あるけどダンスが苦手」と語った凛が初見で高得点をたたき出せるなど、明確に「ダンスの技術が上昇していた」ことが証明されました。これも普段の「練習」故でしょう。

「チラシ配り」の技術でことりが圧倒したのには、また「別の理由」があるわけですが....まま、それは置いておいて(笑)

全員が「それぞれに影響を与える」ことで、お互いを「成長させる」という作用が働いていた「スクールアイドル」としての活動。

ここも「個人」ではなく「チーム」として「成長」していく...「スクールアイドル」ならではの「特長」が表現されている場面と呼べるのではないでしょうか。

 

☆その7 「リーダーは決めない」という結論

一長一短で差が出なかった対決の結果。問答は振出しに戻りかけます。そんな中穂乃果が提案したのは、「敢えてセンターは設定せず」「全員がセンターで歌う曲を作る」というもの。

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一見日和っただけの結論にも聞こえますが、穂乃果の中では「理屈」の通った結論。もともと「皆一緒に」「楽しくやる」ことを「第1目標」としている穂乃果にとって、「センター」へのこだわりも「リーダー」へのこだわりも全くありません。もしも、それが原因で揉めるようならば、「全員がセンターで良い」。これは非常に穂乃果らしい結論でもあります。

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穂乃果の竹を割ったような、率直な結論はにこからも「毒気」を抜き去りました。「私のソロパートは目立たせなさいよ」それは彼女にとっては最大の譲歩にして、大きな前進となる一言です。なぜなら「自分以外がセンターを張る事」を暗に許容している発言でもあるからです。

「アイドル」への情熱故に硬直化していたにこの心をも変えた、穂乃果の柔軟性。こんなところからも彼女の重要性は伝わってきます。

 

☆その8 穂乃果のアイデンティティとμ'sのアイデンティティ

結論としてうやむやになった「リーダー交代問題」。しかし海未は本当の意味での「リーダー」が穂乃果であることが、今回の一件で分かったと語ります。

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海未が語る穂乃果の特性。それは

「なんにもとらわれないで、一番やりたいこと、一番面白そうなものにひるまずまっすぐに向かっていく。」「それは穂乃果にしかないもの」

です。

今回もにこの語る「アイドル」の固定概念に「とらわれず」、自分の考えの中から「やりたこと」にまっすぐに向かう方法を考え、それを実践しました。そしてそれが結果的に「答え」としてμ'sのメンバーに共有されることになりました。これは穂乃果が「リーダーへの向き不向き」を置いておいても、「μ'sのアイデンティティ」確立において、重要な役割をもった存在であることの証明でもあります。

「何にもとらわれないで、やりたいことに、ひるまずに向かっていく」

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これは、この後「μ'sのアイデンティティとして確立されていきます。「未知」に「挑戦」すること。それはμ'sの歴史といっても過言ではありません。

そしてそんなμ'sの姿勢は、「サンシャイン」12話でAqoursへも引き継がれていきます。そういう意味では、この回で初めてその「アイデンティティ」が確立されたわけで、シリーズ内では非常に重要な回とも言えると思います。

 

☆その9 「これからのSomeday

劇中曲として3曲目のオリジナル曲となったこれからのSomeday

「アリス」に因んだ衣装に身を包んだμ'sのメンバーが歌う、明るいテンポのポップナンバーです。

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前述の通り、全員にソロパートのある楽曲に仕上がっているのはもちろん、歌詞にも今回のストーリーで得た気づきが散りばめられています。

「苦しいこと」や「分からない事」を「ポジティブ」に捉えなおして、「ひるまず」に「挑戦する」ことの意味を捉えた歌詞。

そしてその考えをメンバー全員が「同じ目線」で歌う事。そこには、今回の物語を通してのμ'sの成長がハッキリと刻み込まれています。

そしてその「立ち位置」はμ'sの嘘偽りない「現在地」。

ここからどこに向かうのかは「迷って」ばかり。それでも「楽しみ」が「まだまだこれから」増え続けることを「確信」したうえで「ひたすらに進む」。

彼女達の覚悟をハッキリと示した、物語中盤を飾るのにピッタリなナンバーに仕上がっていますね。

 

☆その10 絵里の現在地...そして「ラブライブ

密着取材を通じて、改めてμ'sの魅力と、そこに「足りないもの」を実感した希。彼女は絵里に「μ'sへ力を貸す」ことを要請します。「希が力を貸せばよい」と突っぱねる絵里に「あの子たちにはエリチの力が必要」と粘る希。

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f:id:ishidamashii:20170528004455j:plain引いたタロットカードは星の正位置。

複数の意味がありますが、一般的には「希望」への転機を指し示すもの。

tarot-tankyu.xii.jp

それでも絵里は頑なに「協力」を拒みます。

なぜそこまで頑なに拒むのかは、次回明らかになるわけですが...。

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場面は切り替わって校内の廊下。

花陽が焦った様子で部室へと走っていきます。

f:id:ishidamashii:20170528004845j:plain彼女の口から発せられたのは「ラブライブ」という単語。これまで作品タイトルになっていながら、その「意味」までは確定していなかった「ラブライブ」。

それが次回いよいよ明らかになります。

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1クールの半分を超え、いよいよ物語は急展開。次回から後半戦へと突入していきます。

というわけで第6話考察でした。

考察と呼ぶには軽い内容ですみません。もし個別に質問等ございましたら、コメント欄かリプライ頂ければ幸いです。分かればお答えさせていただきますw

さて、今回の記事は少し余力があるので、可能なら明日別blogにて「Fate」の記事書こうかなぁと思っております。

気が向いたら読んでやってください。

それでは今回も長々とおつきあい有難うございました。

 

 

 

ラブライブ!ハイライト 第5話「にこ襲来」

こんにちは。あるいはこんばんは。

前置きで書くネタもそれほど無いですし、そもそも「この前置きそんなに必要か?」という疑念が消えませんので、今回はサッサカ進めて行こうと思います(笑)。

さて、第5話「にこ襲来」です。μ'sにとってのキーマンであり、「スクールアイドルとは何なのか」を体現する、作品にとっても重要な存在である矢澤にこ。そんな彼女の過去と現在が描かれるこの回は、1期を語るうえでは外せない回となります。

物語構成自体は非常にシンプルで分かりやすく、考察する余地はそれほどありません。ですので本考察は個人的に「思う所」などを書き加えつつ、シンプルにまとめようと考えております。ストーリーの振り返り等にご使用頂ければと思いますm(__)m

※注:本文は矢澤にこに思い入れが深い人によっては「不快」に感じるかもしれない記載がございます。予めご了承のうえお読み頂ければ幸いです。

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■第5話STORY

6人へとメンバーを増やしたμ's。活動を活発化させるためにも、練習に力が入ります。しかしそんなμ'sに忍び寄る黒い影...。その正体は矢澤にこ。穂乃果にケンシロウばりのデコピンをかました彼女は去り際「μ's」に解散」を要求します。とはいえ、その程度のプレッシャーには負けないμ's。次なるライブに向けて練習を再開しますが、屋上を主な練習場所にしている彼女達にとって「雨」は天敵。梅雨入りしたこともあって、満足な練習量をこなせません。雨天時の練習場所という意味も含めて「部室の確保」が至上命題になってきたμ's。その様子を眺めるのは。「あの子ら諦めないみたいやで、にこっち?」その会話相手は”矢澤にこ”その人でした。どうやら二人は知り合いのようですが...。

放課後ファーストフード店で作戦会議を行うμ's。部室確保のため、「部としての申請」を行う必要がある...という話題に。「部の申請には最低5人必要」と話しながら周りを見渡すと現在のメンバーは6人....。気付かぬうちにメンバーは規定人数を超えていました。花陽ら1年生の加入から2週間も経っていながら、すっかり「規定人数」のことを忘れていた2年生組。真姫に呆れられつつ、いよいよ部活申請を決意します。ファーストフード店では再びにこと鉢合わせ。再度「μ's解散」の要求を受けます。ここまでμ'sに固執するにこの狙いとはどこにあるのでしょうか?

翌日生徒会に届けを出す穂乃果たち。しかしそこで絵里から告げられたのは、校内に既に「アイドル研究部」が存在しているという事実。「同様の部活を校内に2つ設置するわけにはいかない」と語る絵里。そのまま話を終わらせようとする絵里を遮るのは希。「アイドル研究部と話をつけてきて」とアドバイスを送ります。「アイドル研究部」に赴くμ's。そこで鉢合わせしたのは、なんとにこ。にこが「アイドル研究部」の部長にして、唯一の部員であることが明らかになります。「自分たちはアイドル研究部を乗っ取るつもりはない」「ただ活動の拠点として部室は欲しい」。精いっぱい譲歩したつもりのμ'sでしたが、にこはその申し出を受けいれません「あんたたちはアイドルを冒涜している」。にこの主張が理解できないμ's。にこは実践をもって「今のμ'sに足りない」「要素」を伝えます。にこの見せる迫力に気圧されるμ's。にこは話し合いもほどほどにμ'sを部室から追い出します。追い出されたμ'sを待ち受けているのは希。にこの持つ悲しい過去の一端を教えてくれます。

1年生時には友人と共に「スクールアイドル」を結成していたにこ。しかし彼女の「アイドルに対する気持ち」と「求める要求」に周りは付いていけず、いつしか「アイドル研究部」はにこ一人の部活になってしまったのです。そんなトラウマから、「スクールアイドル」と素直に向き合えなくなってしまったにこ。にも関わらずしつこくμ'sに絡んでくるのは、「興味の裏返しなのでは?」と希は分析します。にこの事情を知ったことで、更に彼女を説得することに難しさを感じることりと海未。反面、穂乃果は「ある経験」から「にこの攻略法」を思いつきます

放課後、友人のいないにこは、一人「アイドル研究部」の部室へと向かいます。後ろでは楽しそうに「放課後の予定」を話し合う同級生の姿...。悲しい気持ちで部室に入ると、明かりが点灯。なんとμ'sのメンバーがにこを待ち構えていました。驚き唖然とするにこ。そんなにこを気にもせず「アイドルに対する心得」や「楽曲」「衣装」などの意見を聞きまくるμ'sメンバーたち。「こんなことで説得できるつもり?」と問いかけるにこ。穂乃果は「にこ先輩を7人目のメンバーに加えたい」と語ります。μ'sの登場によって、自分にとっての「最後の聖域」すら奪われるのでは?と懸念していたにこ。彼女にとって自分を「仲間に加えたい」というμ'sの申し出は意外なものでした。一度は失い、諦めていた「スクールアイドルへの夢」。しかしそれはにこの中で燻り続けてていたもの。にこにとって「μ's加入の申し出」を断る理由はありません。「厳しくなるわよ...」。こうしてにこを加えたμ'sは7人になります。

 

■第5話での登場人物プロフィール

高坂穂乃果

6人となったμ'sに興奮しきり。その感動を2週間継続。凛にある意味尊敬されている。その割には「5人で申請可能」な部活申請を忘れているなど、相変わらずうっかりさんである。にことはポテトを巡って論争を繰り広げるなど、子供っぽさは相変わらず。ただし締めるところはきっちり締める。流石主人公。

南ことり

今回出番は決して多くない。初めて入ったアイドル研究部の部室でみつけた「アキバのカリスマメイド=ミナリンスキー」のサインを凝視。どうやらなにか思う所があるようだけども...(という伏線)。

園田海未

幼少期には「恥ずかしがり屋さん」。穂乃果たちになかなか話しかけられず、一緒に遊ぶタイミングが掴めずにいたところを穂乃果が「仲間に招き入れた」ことで、今の関係がある...という過去が明らかになった。穂乃果はその時の経験をもとに、にこの説得を行うことに。

小泉花陽

アイドル研究部部室では新たな一面を披露。「伝説のアイドル伝説」DVD-BOXには思わず我を忘れて狂喜乱舞。「アイドルの話になるとテンションがおかしくなる」。これ以降花陽は「物静か」なキャラから「テンションの上下が激しい」キャラへ方向転換していくことに。図らずも中の人に近づいていく...。

星空凛

この5話から急に己の存在を誇示し始めるキャラ1号。詳しくは後述!

西木野真姫

ダメな先輩たちへのツッコミ役。まだツンツンが抜けないお年頃。とはいえにこ説得時には「作曲への意見」を聴くなど、最大限の努力をみせる姿も。

絢瀬絵里

部活申請に訪れた穂乃果を「アイドル研究部」の存在をタテに追い返そうとするも、希に阻止される。彼女がスクールアイドルを認めないのにも、なんらかの理由がありそうだけども...?

東條希

今回の隠れたキーマン。にことμ'sの間に入って、両者を結びつける役割を能動的に果たす。にことは昔からの知り合いのようだけど...。

矢澤にこ

今回の主役。「失ったスクールアイドルの夢」に傷付きながら、それでもその「夢」を諦められないし、諦めるつもりもない「めんどくさい人」。「理想の高いだめっ子動物」にして「最強の凡人」。今回はそんな彼女が「救い」「救われる」お話。改めて、にこって魅力的なキャラクターですよね...って話は後程。

 ■第5話を読み解くポイント

☆その1 6人のμ's

前回、遂に6人となったμ's。

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今回はそんな「6人のμ's」「お披露目回」でもあります。

メンバー増によって序盤からテンションが高い穂乃果。「いつか神シックスとか仏シックスとか言われるのかな」と浮かれています。どうやら2週間この状態が継続しているらしく、そんな穂乃果の浮かれっぷりに呆れ顔なメンバー。凛には「毎日同じことで感動できるなんて羨ましいにゃー」とサラッと毒舌を吐かれています(笑)。

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これまで「幼馴染3人ユニット」という印象の強かったμ'sですが、1年生3人の加入によって、にわかに「グループアイドル」感が増した印象があります。また、彼女達1年生と2年生組が会話をすることで、既に「出来上がっている関係性」とは「別の関係性」が生まれるのも大切なポイント。新たな組み合わせによる会話から、これまで「隠されていた」各キャラクターの個性も表出してきます。

真姫にダンスのステップを「かっこ悪い」と弄られた海未がいじけたり、

f:id:ishidamashii:20170520224058j:plain穂乃果と凛が「おバカコンビ」としての片りんを見せるなど...

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既存のキャラクターの新たな一面が見られるようになる...ことで、我々のキャラクターに対する思い入れが増すような仕掛けが為されています。

 

☆その2 個性を発揮しまくる凛

1年生が遂に個性を発揮しはじめるこの回。その中でも極端に露出が増えたのはでしょうか。

f:id:ishidamashii:20170520234529j:plainボーイッシュな花陽のお友達...くらいの認識しか視聴者に与えていなかった凛。そんな彼女がやたらと語尾に「にゃー」を付け始めたり、凄まじい運動神経をアピールしたり、穂乃果と共に「おバカキャラ」として動き出したり...と、この第5話では出色の活躍を見せます。

彼女の身体能力の高さを表現するのに、アニメーションはうってつけ。また、アニメーション的にグリグリ動かせるキャラというのは、使いやすいのでしょう。ここから何かと凛は「よく動かされるキャラ」として固定化されていきます(笑)。

f:id:ishidamashii:20170520235147j:plain身体面での特徴だけでなく、彼女自身のキャラクターもここから初めて明らかになって行きます。

人懐っこく、それでいて他人に対する遠慮がなく(笑)、しかしながらそこに嫌味を感じさせない。時にその遠慮のなさは先輩であるにこや穂乃果に対しても発揮されますが、「嫌な感じをさせない」のは彼女自身の特性ともいえます。

とはいえ、現段階の凛は「元気キャラ」そのもの。そんな凛が抱える「複雑な悩み」が明らかになるのは、2期になってからです(片鱗はチラチラと見せてはいますが)。そのお話はその時にでもするとしましょう。

 

☆その3 「停滞」の雨

雨が「停滞」を示す記号として使用されている....というのは、これまで何度もお話させていただきました。今回も雨は「停滞」の象徴として使用されています。

室内に練習場所が確保できないμ'sは、屋上を練習場所として使用していますが、その立地上課題になってくるのは「天候」問題。カンカン照りの真夏日にも外で練習しなければなりませんし、冬場には雪などが降る可能性もあります。更に慢性的に起こり得るのが「雨」です。

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雨の中はしゃぎ回る穂乃果と凛のおかげで「ギャグシーン」として表現されてはいますが、この大雨では満足な練習は不可能。いよいよ6人となり上り調子なμ'sにとって「練習が出来ない」というのは明確な「停滞」に当たります。

f:id:ishidamashii:20170521001000j:plain「雨天時の練習場所の確保」が必至な状況のμ's。これが今回の物語における物理的な「カセ」であることが暗に示されています。

 

☆その4 希とにこ

そんなμ'sの様子を覗き見しているのは。常にμ'sの動向を気にしているのは、なんらかの意図があるからでしょうが、その真意はまだ掴めません。

希のそばにはもう一人。それは神田明神で穂乃果に一撃を浴びせた人物。

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3年生の矢澤にこです。

希に「にこっち」と呼ばれるなど、どうやら希とは因縁浅からぬ間柄のようですが...。なにはともあれ、μ'sが「雨で練習場所を確保できないこと」への対処法として、彼女の存在が深く関与していくことが、ここで匂わされます。

 

☆その5 にこと「ファッション」と「自己矛盾」

放課後、バーガーショップで今後の作戦会議を練るμ's。その様子も横からにこが監視しています。

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とはいえ、ひっそり監視するには、目立ち過ぎな恰好ですが...。

矢澤にこを語る上で外せない「ファッション」。元々の設定ではμ'sで随一「ファッションに詳しい」という設定もあったにこ。しかしアニメ化に際してその設定はそれほどピックアップされなくなりました。物語が進むにつれ徐々に普通の恰好に落ち着いていくにこにとって、今回のこの衣装は劇中で着用した衣装の中で、最も「奇抜な衣装」とも言えます。

(子供にはうんち頭と弄られていましたが...)

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さて、この「ド派手な恰好」「監視活動」というのは、この時のにこ自身が抱えるカルマとも関係しているように思えます。

校内で最初に「スクールアイドル」を志ながら、その夢に「破れた」状態であるにこ。彼女は「自分こそが元祖:音ノ木坂学院スクールアイドルである」と自負しているはずです。しかし、そんな彼女の存在は音ノ木坂学院校内では「無視」されています。

それは、彼女が過去に「自らが目指すアイドルへの思いの強さ」故に仲間を失い、「一人ぼっちになってしまった過去」と関係しているわけですが、その経験がにこに明確な「トラウマ」を与えてしまっています。また、それが彼女自身の「カルマ」となってしまってるわけです。

本来は「一緒に」「スクールアイドルを志す仲間」を欲しているにこ。しかし「トラウマ」が彼女に「仲間を求める行為」を拒否させます。そういった彼女自身の内面に起きている自己矛盾が、「姿」や「行動」にも表出している。この「ド派手な恰好」で「監視活動」する姿には、そんな彼女の「自己矛盾」が反映されているように思えます。

f:id:ishidamashii:20170521132810j:plain横から穂乃果のフードを盗み食いする行為も、その意図は明確ではありません。(単純におなかが減っていたか、思いついた嫌がらせがそのレベルだっただけ...かもしれませんがw)

あえて自分の存在をμ'sに知らしめるような示威行為もまた、彼女が抱える「自己矛盾」の表出の一環という気もします。

にこの抱える自己矛盾。これを解決することが今回の物語のキモであることも、この1連のシーンから分かるよう作劇されています。とはいえ以上のように読み解けば、にこ攻略のカギは「意外とシンプル」であることも分かってきますね。

f:id:ishidamashii:20170521133315j:plain彼女が欲しいのは「仲間」なのですから。

 

☆その6 「練習場所」と「部活承認」

にこの妨害を受けつつも、「連取場所」の確保に悩む穂乃果。「5人いたら部活の申請が出来るのに~」。

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その言葉に思わず顔を見合わせるμ's。どうみても「6人」メンバーいますけど。

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そうです、メンバーが増えたことに感動し、この2週間「5人以上で部活申請できる」という案件を忘れていたのです。このリーダーダメです。

ということで早速「部活申請」に赴く2年生メンバー。そこで絵里と希から明かされたのは、校内に既に「アイドル研究部」が存在しているという事実でした。

f:id:ishidamashii:20170521133901j:plain「校内に同じ目的の部活を2つ認められない」という理由で、穂乃果の申し出を却下しようとする絵里。しかし希は「アイドル研究部の部長と話をつけて」「一つの部活として統合してほしい」と穂乃果に助け舟を出します。

f:id:ishidamashii:20170521134030j:plainまたしても穂乃果たちのサポートをする希と、その意図が汲み取れない絵里。希の目的がどこにあるのかは、まだまだ分からないままです。

早速「アイドル研究部」へと赴く穂乃果たち。そこで遭遇したのは、なんと矢澤にこでした。彼女が唯一の「アイドル研究部」部員にして「部長」であることが、ここで明らかになります。f:id:ishidamashii:20170521134350j:plain

 

☆その7 「凛の身体能力」と「にこのへっぽこっぷり」

穂乃果たちから逃げ出すにこ。彼女を追跡するのは、凛です。

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ネコ科動物特有(ちがう)のスピードでにこを追いかける凛。しかし、凛の能力以前に、にこは「体力不足」。あっけなく追いつかれてしまいます。

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凛のスキをついて再度逃げ出すも、今度は方向転換に失敗し、アルパカ小屋へ突っ込み失神。身体能力の低さを露呈してしまいます。

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一連のギャグパートでもあるこのシーンですが、別の視点で見れば「にこの身体能力の低さ」を示すためのシーンでもあります。後にA-RISEから「スクールアイドル離れした身体能力」と評価される凛が相手とはいえ、にこの「身体能力」はかなり「低い水準」にあるように見えます。これは「アイドルへの愛情と知識」に関しては際立っているものの、「アイドル」としては「極めて普通の水準」でしかない「矢澤にこ」という人物のパーソナリティを示すためのシーンであるように思えるのです。

f:id:ishidamashii:20170521135715j:plain「アイドルが大好き」だけど「アイドルとしては普通」

「好きなもの」と「才能」の乖離。これもまたにこが背負うカルマの一つ。とはいえ、これは生きていれば誰もが抱える普遍的な悩みだとも思えます。「好きなもの」と「才能」が一致し、それで生きていける人はほんの一握り。では「好き」な物に対して「どのような距離感」をもって接すれば良いのか。「才能」がなければ「好き」に進めないのか?

矢澤にこ」という人は常にその迷いの中にたたずみ、それでも「進むこと」を止められない性質を抱えた人物です。そしてそれは多くの視聴者に「共感を呼ぶキャラクター」なのではないかな?とも思います。「自分の限界」を把握したうえで、それでも「あきらめきれないこと」なんて誰にでもありますから。プロジェクト開始から常に人気上位に位置し、その地位を落とすことなく愛されてきたにこ。その要因は彼女を支える大勢の「矢澤にこ的な人々」の支援があるからでは?とも思えますね。

 

☆その8 アイドルの先生=矢澤にこ

アイドル研究部部室で交渉を受けるにこ。しかしその態度は頑なです。穂乃果にはっきりと「プロ意識の低さ」を指摘するにこ。彼女にとって「アイドルを理解せず」「アイドルの真似事をしているだけ」にしか見えないμ'sは不満の対象です。

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「アイドルとしての基礎能力」という面では今一つ物足りないにこ。そんな彼女がアドバンテージとして持っているのは「アイドルへの理解」と「その見せ方」です。自分を「どのように見せ」「どのようなキャラ付けをする」か。それもまた「アイドル」には必要な要素ではあります。にこが見本として見せた「アイドルの在り方」

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その「独特な世界観」は「普通の女の子」でしかないμ'sのメンバーには「受け入れづらい」もの。ただし「アイドルとしては正解」でもあります。

にこが見せた例は「極端」ではありますが、根底に立ち返ればアイドルに必須な要素。すなわち「愛嬌」に関する理論でもあります。

2話で海未が穂乃果に語った「笑顔で腕立て伏せすることの意味」とも通じる理論。常に「笑顔」で歌い、踊り、お客さんが「楽しむ」ために奉仕する姿勢。それはどれだけ激しいパフォーマンスをこなし、体力的に厳しくても、崩してはいけない「アイドルとしての矜持」でもあります。

「自分が楽しむのではなく、お客さんを楽しませるのがアイドル」。

にこの哲学でもあるこの理論は、この時点のμ'sには共有されていない価値観。故ににこの教えを通じてμ'sは新たな視点を手に入れ、成長する必要があります。

この回以降、にこは常にμ'sに「アイドルを教える先生」として活躍していくことになります。

 

☆その9 「でんでんでん」と「ミナリンスキー」

アイドル研究部に押し入ったμ'sメンバー(笑)。ここでのやりとりもまた、後々の伏線やキャラクターの新たな一面を見せるシーンとして使用されています。

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「伝説のアイドル伝説」(通称:伝説の伝説の伝説=でんでんでん)を発見した花陽はテンションが「おかしく」なります(笑)それまで物静かなキャラで固定されていた花陽が異様に早口でアイドル知識をひけらかすシーンは、ここを発端にこの後度々登場するようになります。

テンションが不安定に上下する様子は「中の人」にどことなく寄せられている印象もあり(笑)、アニメ放送当時で既に3年が経過していた長期プロジェクトならではの遊び心を感じるシーンでもありますね。

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アキバのカリスマメイド「ミナリンスキー」のサイン色紙を見つめることり。にこが「サインの存在だけ」を知っていて、本人がどんな人物なのかは把握していないことを知り、ホッとします。非常に分かりやすい伏線ですね。

 

☆その10 にこの「孤独」、穂乃果の「仲間を作る方法」

穂乃果たちと打ち解け始めたものの、いざ「部活統合」の話題になると、それを頑なに拒否するにこ。穂乃果たちを無理やり部室から締め出します。

f:id:ishidamashii:20170521145428j:plain希が穂乃果たちに語るのは、「にこの過去」

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友人と共に始めたスクールアイドル。しかしにこの「理想の高さ」と「そこに追いつかない現実」に耐え切れなくなり、仲間は一人二人と去り。やがて一人ぼっちになってしまったこと。

恐らくその孤立は「日常」にまで波及していて。普段の生活でも、にこは「一人ぼっち」でいることに。

にこの現状を知り、彼女を仲間に迎え入れる事に難しさを感じる海未とことり。反面穂乃果はその事実を知ったことで、問題が意外とシンプルに解決出来るのではないか?と思い立ちます。

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雨が「停滞」の象徴であることは、前述した通り。ここでは更に「赤信号」というモチーフまで登場して「停滞」を現しています。

f:id:ishidamashii:20170521152414j:plainとはいえ、ここで停滞しているのは、穂乃果ではなくにこです。自分の「トラウマ」と「本当の願い」に挟まれ、進めなくなっているにこは、正しく「停滞」している存在です。放課後仲良く下校する穂乃果たちを「羨ましげにみつめる」にこ。その姿を見つけた穂乃果はいよいよ彼女が「欲しているもの」に確証を得ます。

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ヒントは「海未と友達になった日」の自身の行動のようですが...。

別の日。

放課後の予定を話し合う同級生を尻目に、一人部室へと向かうにこ。(外は相変わらず曇り空です)

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クラスでも完全に孤立している様子。劇中では詳しく描かれませんでしたが、恐らく3年生にもなって未だに真剣に「アイドルを目指す」にこは、「イタイやつ」としてクラス内で認知されているはずです。放課後「アイドル研究部」で趣味に没頭するのは、そんな辛い現実から逃れるためでもあるのでしょう。

f:id:ishidamashii:20170521153846j:plainそう考えると、にこが頑なに「部活統合」の申し出に頷かなかった理由も分かってきます。

「アイドル研究部」は孤独なにこの、唯一の心の拠り所。「辛い現実から逃れるための避難所」=「自分自身の聖域」として設定されています。「部活統合」となった場合には、そんな唯一の「心の拠り所」まで「奪われてしまう」。そう考えるから、頑なにμ'sを拒否したのでは?と思えるのです。

そもそもにこは過去のトラウマから、グループアイドル=μ'sの中に自分の居場所があるとは考えていないでしょう。)

そんなにこの考えを裏切ったμ's。どういった手段かは分かりませんが、部室の中でにこを待ち受けていました。

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唖然とするにこを尻目に、次々とにこへ「アイドル活動に関するアドバイス」を求めるメンバー。穂乃果が選んだにこへの対処はとてもシンプル。にこを自分から「仲間へ迎え入れる」ことでした。

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ヒントを与えたのは幼少期の海未。極度の人見知り故に「友達になりたい」のにそれを言い出せずにいた海未。そんな彼女の心情を即座に理解した幼少期の穂乃果。自分から「一緒に遊ぶ」ことを提案することで「海未と友達」になったのでした。

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にこもこの時の海未と同じ。「一緒にアイドルをやりたい」のに、それを自分からは言い出せない。だから、「自分からお願いして入ってもらう」ことで、にこの心の「カセ」を取り除いてあげる。

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何かと唯我独尊なイメージもある穂乃果。しかし彼女の長所とは、「自分のペースに他人を巻き込み」ながら、その相手を決して「不幸にしない」神通力を発揮する部分にあるようにも思えます。(とはいえ、この神通力が通じない場面が、1期の後半では出てきますが)

μ'sの中に自分の居場所はないと考えていたにこにとって、この申し出は意外なもの。そして断る理由の無いものでもあります。

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「終わりかけていたアイドルの夢」を繋げることになったにこ。彼女がμ'sの中で求められているのは「アイドルの先生」としての役割です。それを即座に理解したからこそ、にこはメンバーに「厳しいわよ」と語りかけます。

「アイドルってのは笑顔を見せる仕事じゃない。笑顔にさせる仕事なの。」

f:id:ishidamashii:20170521162016j:plainラブライブ屈指の名台詞と共にメンバーとなったにこ。遂にμ'sは7人となりました。

 

☆その11 雨あがる

薄曇りから射す日差し。雨は止み、雲間からは「太陽の光」がこぼれ出します。それはまるで悩みを乗り越えたにこの心を反映するかのようです。

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屋上で繰り返される「にっこにこにー」の練習。どのような効果があるのかは分かりませんが、少なくとも「アイドルの先生」の指導には従う必要があります。

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f:id:ishidamashii:20170521162806j:plain厳しい指導にも付いてくるμ'sの仲間たち。それはにこがずっと求め続けた「仲間=同志」でもあります。

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「笑顔にさせる」そして「誰かの心を照らす」のがアイドルの仕事。だとしたらμ'sは既に一人の心を照らしたことになるのではないでしょうか。

雨は止み、「太陽」が空に輝きます。「希望」が生まれる場所に。「SUNNY DAY」に。必ず鳴り響く”あの歌”が、この日にこの耳にも聞こえたのではないでしょうか。

「未来」から「過去」を振り返る今は、そんな風に思えるのです。

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...というわけで、第5話「にこ襲来」でした。

シンプルではありますが、とても大事な回だけに時間がかかりました。

さて、次回は第6話ですが、これまた大事な回なので、気を引き締めてまいります。感想等頂けると非常にモチベーションになりますので(過剰なDISはご容赦を頂きたいですが)、気軽にコメントやリプ頂けると幸いです。

 

ラブライブ!ハイライト 第4話「まきりんぱな」

こんにちは、あるいは、こんばんは。

読んでも毒にも薬にもならないブログ「Love Live After talk」でございます。

今回もアナタの人生に特に彩を与えない考察を書いていきたいと思います。

通勤・通学電車の中。またはお昼休みに。あるいは「定時まであと1時間か。。適当に仕事してるふりするか~」という場面などなど..適宜読んでいただけたら幸いです。

さて、今回は第4話「まきりんぱな」。前回手痛い「敗戦」を経験したμ's。しかし彼女達はめげずにスクールアイドル活動継続を宣言します。

この第4話はそんな彼女達の「第2章」スタートを描いた回。それだけに非常に大切な要素が詰まった回でもあります。なるべく手短にまとめられるよう留意しますが、長くなったらゴメンナサイ...。

f:id:ishidamashii:20170429192427j:plain■第4話STORY

失敗に終わったファーストライブ。しかしライブから得た手応えと、「歌って踊る事」そのものの楽しさを実感したμ'sは活動継続を宣言。「いつか講堂を満員にする」ことを宣言します。チラシ配りを中心とした地道な活動を続けつつ、まずは「部」としての承認を得られる「部員5名」を目指すμ's。そんな中ライブに唯一駆け付けてくれた1年生=小泉花陽と遭遇。穂乃果は彼女をグループに誘いますが、花陽は同じ一年生の真姫を代わりに推薦し、逃げてしまいます。とはいえ、本当は「スクールアイドル」に興味津々な花陽。スクールアイドルをやりたいはずなのに、煮え切らない様子の花陽を心配するのは親友である凛。彼女を「スクールアイドル部」へ加入させようと試みますが、花陽は凛に「私がスクールアイドルになったら一緒にやってくれる?」と問いかけます。そんな花陽の誘いに動揺する凛。どうやら彼女も「複雑な内面」を抱えているようですが...。もやもやを抱える中、放課後廊下の一点を見つめる真姫の姿を目撃する花陽。彼女が立ち去ったあとを見ると、そこにはスクールアイドル募集のチラシと彼女の「落し物」が。落し物は真姫の学生証。それを届けるべく真姫の家に立ち寄る花陽。そこで真姫に「自分は真姫の歌のファンで、真姫の歌を聴くために放課後よく音楽室を通りかかっていた事」を告白する花陽。真姫はその事実を照れくさく受け止めつつも、どこか冷めた様子。「私、大学は医学部って決まってるの」「私の音楽は終わってるってわけ」そんな言葉と共に、ふと遠くを見つめる真姫。その瞳はなんとなく寂しげです。互いの境遇を話し合うことでなんとなく心を通わせた二人。真姫は「花陽がスクールアイドルになれるよう、ちょっとだけなら応援する」と語ります。帰り道偶然立ち寄った和菓子屋。そこは穂乃果の実家”穂むら”でした。そこでなしくずしに現μ'sメンバーと雑談をすることになった花陽。ことりが見せてくれたμ'sのライブ動画を食い入るように見つめる花陽。その真剣さはμ'sのメンバーにも伝わります。穂乃果たちの再びの誘いを「私向いてないので...」と断る花陽。しかし穂乃果、ことり、海未は、それぞれ自分たちが「アイドルとしての欠点を持っていること」を語ります。その上で「普通のアイドルなら私たちは失格」「でもスクールアイドルならやりたい気持ちがあれば出来る」と説得。その言葉は花陽に勇気を与えます。翌日、いよいよ決意を固めた花陽。しかし授業中の失敗で気持ちまたも元通り。そんな様子を見かねた真姫は、彼女に自信を与えようと、音楽家らしく「発声」のアドバイスを送ります。時を同じくして花陽を穂乃果たちのもとへ連れて行こうとする凛。花陽の対処を巡って争う二人は、結局同時に花陽を屋上に連れて行く形で決着。改めて花陽がいかに「アイドルに向いているか」を本人に語る真姫と凛。「やってみたいのなら、やって見た方が良い」二人の熱い思いを受け止めた花陽はようやく一歩踏み出します。自分のこと、そしてアイドルへの思い...。いつもの弱弱しい口調ではなく、ハッキリとした強い口調で自分の気持ちを話す花陽は、自らに課していたカセを乗り越えたように見えます。花陽の熱い気持ちを受け止めた穂乃果。二人はガッチリと握手を交わし、新たなμ'sが誕生します。花陽の加入を自分のことのように喜ぶ凛と真姫。穂乃果たちはそんな二人もメンバーへと誘います。顔を見合わせる凛と真姫...。紆余曲折ありましたが、花陽、真姫、凛の3人が加わったμ'sは6人に。ファーストライブ以降のリスタートは順風満帆。しかしそれを良く思わない影が一つ。さて彼女の正体は何者なのでしょうか...。

 

■第4話での登場人物プロフィール

高坂穂乃果

ファーストライブのショックはほぼなし。部員を増やすべく、まずは花陽に声をかける。スクールアイドルに対して積極的になれない花陽を無理に誘うのではなく、彼女の判断を待つことにする。結果4話では穂乃果は能動的に動かず。今回は穂乃果が中心にならない...という意味で「ラブライブ」の中でも珍しいエピソードかもしれない。

南ことり

唐突にアルパカに夢中に(笑)。しかしそんなことりの「新しい趣味」が花陽とμ'sとを再び引き合わせる。今回は穂乃果と同じく2年生組は主体的には動かない。しかし花陽に「スクールアイドルとはなんぞや」を語ることで、花陽の「アイドル」に対する「恐れ」を無くす役割を果たす。

園田海未

穂乃果・ことりと同じく今回はそれほど目立つ活躍はなし。穂乃果の部屋で一人「アイドル自主練」を繰り返すなど、やはりアスリートとして自己鍛錬は怠らない。それを花陽に目撃されたのは痛恨だったが(笑)。

小泉花陽

第4話での実質的な主人公。花陽が動くことで物語が動き、「花陽の決意」によってμ'sの第2章、そして「スクールアイドルの伝説」が始まる。詳しくは本文にて。

星空凛

花陽の幼馴染に相応しく、彼女が本音を言えない時に出す「クセ」を熟知。それをきっかけに「花陽の本音」に気付く。一人では穂乃果のもとに行けない気弱な花陽のサポートを申し出るも、「私がやったら凛ちゃんも一緒にスクールアイドルやってくれる?」という問いかけには狼狽する。彼女が抱えるカルマは実は1期では解決せず、2期まで持越しとなる。凛の話はその時にでも。

西木野真姫

花陽、凛と同じく、今回のメインキャスト。彼女自身が自分に言い聞かせるように語る「終わった」はずの音楽の夢。ただしそれに本当の意味で「納得」出来ているのか...?というのが彼女の課題。

絢瀬絵里

μ'sのライブ活動が無意味では?と理事長に問いかける。「学生の行動を学校が阻止するわけにはいかない」という理事長の言葉尻を取って、「生徒会も独自の活動がしたい」と申し出るも、そちらは否定されてしまう。理事長から見せられたμ'sのライブ動画に動揺。これ、誰が撮ってたんすかねぇ...。

東條希

登場シーンは絵里と同じシーンのみ。μ'sのライブ動画に動揺する絵里の姿に、何か思う所がある様子...?

矢澤にこ

出番はラストシーンのみ。不敵な笑みを浮かべ、μ'sのページにアンチコメントを書き残す不穏な存在。因みにAAを手打ちしていた。職人かよ。

 

■第4話を読み解くポイント

☆その1 主人公=花陽

 冒頭登場するのは1年生の花陽。そしてスクールアイドルメンバー募集のチラシ。

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花陽の脳内を駆け巡るのは過去の回想。幼少期からアイドルに憧れ、「いつかアイドルになりたい」と願い続けてきた花陽。

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故に「スクールアイドル」も追いかけてきた彼女にとって、校内に「スクールアイドル」が誕生し、メンバーを募集しているという状況は「渡りに船」。しかし、どうしても一歩が踏み出せません。その理由は...。

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声が小さく、人見知りで、アガリ症であること。そしてその事実が彼女自身から「自信」を失わせている事。「ダメだよね、こんなんじゃ...。」

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「願い」を、「夢」を持ちながら、どうしても自分の「可能性」に制限をつけて大事な一歩が踏み出せない花陽。今回はそんな花陽を主人公とし、彼女の「葛藤」と「成長」を描く物語です。

そしてそれは同時に「ラブライブ」というシリーズそのものが持つ普遍的な「テーマ」をも示す物語にもなっています。自分を「過小評価」し、「夢」へと踏み込めない花陽。今回は彼女が辿る物語を追いかけていきましょう。

 

☆その2 小泉花陽の葛藤

花陽には「夢」があります。それは「アイドル」になること。小学生の頃からアイドルに憧れ、「振り付け」も「歌」も完璧に覚えていた...という花陽。しかし成長するにつれ「夢」と「自分の現状」の「差」に苦しむことになります。

声が小さく、引っ込み思案。大勢の前で話せないアガリ症。そういった自分の「現状」を見つめる度に「アイドルに必要とされる要素」とのギャップを感じてしまう花陽。彼女にとって次第にその「現状」が足枷となり、「夢」を語れなくなりました。

4話冒頭、穂乃果から直接「μ's」への勧誘を受ける花陽。しかし彼女は同じ1年生の真姫を推薦する形で穂乃果から逃げてしまいます。

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自分の夢を叶えるためには「渡りに船」といえる穂乃果の誘い。しかしそんな「もってこいのお誘い」にも乗れない花陽。彼女の抱える悩みは深刻です。

この4話では花陽が抱えるこの「葛藤」をいかにして「花陽本人」が乗り越えていくか...がキーポイントになっていきます。

花陽に必要なのは、自分の価値を認めてくれる「他者」と、それをきっかけにして起こる「自己肯定」ならびに「自己の再評価」です。

とはいえ、花陽にはもとから一人、絶対的に「自分の価値を認めてくれる他者」がいます。それは幼馴染にして親友の星空凛です。

 

☆その3 星空凛の現状

部活を決めかねている花陽を心配する凛。幼い頃からある「本音を隠す際に見せるクセ」を通して、花陽の本音を見抜きます。

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「大丈夫!かよちん可愛いから人気出るよ」

一見軽口のように聞こえる凛の花陽への評価。しかしこの評価は紛うことなき「凛の本音」です。

実は星空凛という人は、「適当なこと」が言えないキャラクターです。彼女は、にこと初めて遭遇した日、メンバーがにこのご機嫌を取ろうとする中で、唯一彼女の自己紹介を「ちょっとサムい気がするにゃー」と言ってしまう率直さがあります(笑)。

とはいえ、思ったこと、感じたことを率直に話し、相手に伝える実直さは凛の特長でもあります。恐らく凛は幼少期から「花陽は可愛い」と言い続けているのでしょう。それだけ凛の花陽に対する評価は確固たるもの。...なはずなのですが、反面「凛からしかその評価を得ていない」花陽は、評価そのものに対しての「慣れ」があり、どこかそれを信じられなくなっているのでしょう。

故に終盤「凛から花陽への評価」が「再度」行われるわけですが、そのあたりは後程触れるようにします。

...花陽の性格を熟知する凛は、花陽を半ば強引に穂乃果のもとへ連れて行こうとします。しかしそれを拒否する花陽。その際花陽は凛に対して一つ「お願い」をします。

「私がスクールアイドルになったら、凛ちゃんも一緒にやってくれる?」

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この「お願い」は凛にとっては「予想外」のものでした。明らかに狼狽する凛。「凛にアイドルは似合わないよ、男の子っぽいし、髪だってこんなに短いし...」と一転「自分がアイドルに向かない理由」を言い訳し始めます。

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「ほら、あの時だって...」と語り始めるのは幼少期の思い出。

いつもズボンでボーイッシュな印象のあった凛。珍しくスカートで登校した際に男子に囃し立てられ、それが元で着替えに戻ったこと。

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f:id:ishidamashii:20170430121512j:plain※劇中はマイルドな表現になっていましたが、実際はもっと口汚く罵られたに決まっています!小学生男子の遠慮の無さ足るやないですからね!おのれ、凛ちゃんにトラウマを与えるとは許すまじ....!!!(気持ち悪い文章)

後から振り返れば「なんでそんなことをいつまでも」と思うかもしれませんが、幼少時に得た心の傷というのはなかなか癒えないものです。それが「差別」であれば、より深刻なもの。

また、この回想を以て、初めて星空凛という人も「複雑な内面」を抱えたキャラクターであることが視聴者には明らかにされます。そして彼女抱えるカルマもまた「自分を過小評価」し、「自分のやりたいこと」にまっすぐに向かえない...という「花陽と同じもの」であることが分かるわけです。

今回の第4話、確かに主人公は花陽ではあるのですが、「花陽が葛藤を乗り越える」ことは同時に「凛が葛藤を乗り越える」ことにも繋がっていきます。故にタイトルには「りん」の名前も入っているのでしょう。

さて、となると気になるのはタイトルに入っているもう一人のこと。

 

☆その4 西木野真姫の現状

真姫の生徒手帳を拾ったことで西木野家を訪れることになる花陽。

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訪れた家は大豪邸。思わず慄きます。

大豪邸の理由は「真姫が病院経営者の一人娘だから」という事情。そこで真姫の母親から告げられる「あの娘、うちの病院を継ぐことになってるから」という無邪気な「将来の確定」

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2話考察でも少しだけ触れた「真姫の現状」。彼女がどこか孤独なのは、既に「確定された未来」が彼女の心の「カセ」になっているからなのでしょう。

人を寄せ付けない雰囲気を持つ真姫と、人見知りの花陽。同じクラスでありながらこれまでほとんど会話を交わしたこと無い二人。しかし花陽は意を決して、一つの告白をします。それは自分が「真姫の歌のファン」であること。

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放課後、音楽室から聞こえてくる「真姫の歌」を聞くために、そっと音楽室を通りがかっていたこと。真姫にとっては、穂乃果に次いで二人目の「自分の音楽の発見者」にして「ファン」となった花陽。その率直なラブコールに少し照れながらも、しかし表情はどこか冷めています

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「私ね、大学は医学部って決まってるの」「だから私の音楽はもう終わってる...ってわけ」

そう告げ、どこか遠くを見つめる真姫。その瞳には簡単に読み取れない様々な感情が渦巻いています。

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凛と同じく、思った以上に「複雑」なキャラクター造形をもつ真姫。彼女は両親を「尊敬」し「敬愛」しています。故に「病院を継ぐ」ことにも大きな異議があるわけではありません。しかし、だからこそ行き場を無くしている「一つの思い」があります。それは「音楽に対する思い」です。

自分に課せられている「役割」や、「期待」には「満足」しているし、それには「応えたい」。その反面、自分が「本当にやりたいこと」に対する思いの行き場所を失っている真姫。

それをどう消化すれば良いのか分からないから、彼女は放課後、一人音楽室でピアノを弾き語る。誰に聞いてほしいわけでもなく、思いの行き場所をそこにぶつけるしかないから。だけど、もしかしたら、それを「誰か」に見つけてほしいのかもしれない。「病院を継ぐ」以外の、「音楽」を中心とした自分の「未来」がどこかにあるかもしれない。その「可能性」を、「未練」を捨てきれない...そんなモヤモヤが真姫というキャラクターの中には渦巻いています。

ここから真姫もまた「やりたいこと」に真っ直ぐに向かえない「葛藤」を抱えた人物であることが明らかになります。すなわち「真姫・凛・花陽」はそれぞれ同じ「葛藤」を抱えた人物である...ということになるわけです。

「やりたいならやればいいじゃない」「私も少しは応援してあげる」

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自らの現状を話したことで、少しだけ心が近づいた二人。またその現状を通じてシンパシーを得たことで、真姫は「花陽を応援する」と宣言します。

また「自分がやりたくっても、どうにもできない人」がいることを知ることで、花陽は「自分は恵まれているのかも」と考え直すきっかけを得ました。

そして真姫もまた「花陽を応援する」中で、改めて「自分」と「音楽」、ひいては「スクールアイドル」に対する思いを見つめ直すことになります。

「やりたいならやってみればいい」その言葉は自分にも跳ね返ってくるわけです。

 

☆その5 教育者としての理事長の矜持

さて、お話を一旦「まきりんぱな」の3人から外しましょう。

時を同じくして理事長室には生徒会長と副会長、すなわち絵里と希の二人がいます。二人が理事長に語っているのは「μ'sのファーストライブ」に関する報告。

f:id:ishidamashii:20170430130928j:plain「客が全く来なかった」ことを引き合いに「スクールアイドル活動」が無意味であることを語る絵里。「活動を止めさせるべき」と進言します。

しかし理事長はその訴えを拒否。

f:id:ishidamashii:20170430131057j:plain「生徒の活動を学校の一存で制限できない」と。

しかし、絵里が引き出したかったのは「スクールアイドル活動の制限」ではなく「この一言」でした。

「だとすれば、生徒会も独自に廃校阻止のための活動をさせてほしい」

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理事長の発言を見越したうえで、それを利用する...。ちょっとズルいですが、クレバーな交渉術を見せる絵里。しかしその訴えは「あっさりと否定」されます。

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とはいえ、絵里の言う通り「スクールアイドル活動」が認可されているのであれば、理屈上は「生徒会も独自に活動」しても良いはず。にも拘わらず理事長がそれを否定する理由はどこにあるのでしょうか。そこもちょろっと考察してみましょう。

出発点としては「廃校阻止」のため、「学校に生徒を集めるため」にスタートした「スクールアイドル活動」。しかし前回の敗戦をきっかけに彼女達がスクールアイドルを続ける理由と目的は変化しました。

スクールアイドル活動そのものに「充実感」を得て、「続けたい」と思ったからこそ、継続を宣言した穂乃果。そしていつか観客が0だった講堂を、自分たちのお客さんで「一杯」にしたい。そこには「廃校阻止」とは別の「目的」が生まれました。

だからこそ、理事長は彼女達の活動を「制限しよう」とは考えないのではないでしょうか。

反面絵里が主張するのは、あくまでも「廃校阻止」を「目的」とした活動の許可。そこには「それ以外の意味」や「価値」がありません。それは本来「教育を受けるべき」立場の「生徒」が行う活動ではない。だからこそ「それはダメよ」とニベもなく断るのでしょう。

f:id:ishidamashii:20170430132734j:plainこと、魂消るほど「バカな大人」が登場するアニメ作品(に限らず日本映画)が多いなかで、この理事長はしっかりと「大人」としての矜持を発揮するだけでなく、「教育者」としての矜持も発揮してくれました。

「生徒の自主性」や「成長」に重きをおき、「学校のために生徒を利用しない」。こういった視点を「正」として描くことが出来るからこそ、「ラブライブ!」は「NHK教育」で放送するに値する作品として認められたのかなぁ...とふと考えてしまいます。

(故に劇場版で理事長が教育者に相応しくない発言をするのには参りましたがw)

食い下がる絵里の視点を半ば強制的に変えるべく「それにそんなに人気が無いわけでもないみたいですよ」とμ'sの「ファーストライブ」の動画を見せる理事長。何者かが「配信」させた、その動画に一瞬怯む絵里。

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ほとんど観客のいなかったあのライブを、いったい誰が「撮影」していたのか?

そしてどういった意図を以て「配信」したのか?

目的は分かりませんが、希は絵里の動揺の理由に思い当る節があるようですね....。

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☆その6 穂むらでの雑談。「スクールアイドル」とは。

西木野家からの帰り道、偶然立ち寄った和菓子屋。そこは穂乃果の実家「穂むら」でした。

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図らずもμ'sと雑談をすることになった花陽。ことりが持ってきたPCを通して、μ'sの「ファーストライブ」を見ることに。ライブを真剣に見つめる花陽。穂乃果たちが話かけてもその声は耳に入りません。

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花陽の「アイドル」への思いの強さを知った穂乃果たち。改めて花陽をメンバーへと誘います。しかし、未だ自分の「カセ」を乗り越えられない花陽。「私、向いていないので」とまたしても逃げてしまいます。そんな花陽に対してことりたちが語ったのは、自分たちもいかに「アイドルとしては未熟か」ということでした。

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「プロのアイドルなら私たちはすぐに失格。でもスクールアイドルならやりたいって気持ちをもって、自分たちの目標を持ってやってみることが出来る!」
「それがスクールアイドルだと思います。」
「だからやりたいと思ったらやってみよう!」

穂乃果たちが抱える「課題」は、「自分に自信を持てない」花陽の心を軽くするもの。また、「スクールアイドルに関する定義」は花陽がアイドルに対して持っていた「ハードル」を少しだけ下げる効果をもたらしました。

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「やりたいならやってみればいい」

真姫と同じ言葉が穂乃果からも飛び出します。

「やりたいならやってみる」というのは1期通してのキーワードとなる言葉。またそのキーワードを通して穂乃果たちが語る「スクールアイドルとはなんぞや」という定義もシリーズを通じて大切になる考え方。この4話が序盤のキーとなっている所以はこんなところにも表れています。

しかし穂乃果はこの段階で花陽に決断を急かしません。

「ゆっくり考えて答え聞かせて」「私たちはいつでも待ってる」

花陽が「自分の意志」で決めることの意味を見出した3人。その決定を花陽に委ねます。

作劇上の意図として「何故花陽自身の言葉」を重視するのか?というと、これが花陽にとっての「通過儀礼」になっているから...と考えられます。

ラブライブサンシャイン考察でも登場した「通過儀礼」という概念。その意義は「自分自身に課しているカセを自分自身の努力をもってクリアする」ことで「人間的に大きな成長を遂げる」という部分にあります。花陽にとっての通過儀礼は「自らの言葉」で「μ'sへの加入」を直訴すること。この「通過儀礼」を超えない限り、花陽はいつまでたっても「現状を打破」することができません。

いよいよ覚悟を決める花陽。

時を同じくして、自らの殻を破りたい...と願いながら行動に移せない二人が映ります。それは真姫と凛です。

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μ'sの動画を見て思い悩む真姫は「音楽への未練」を。

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外では決して着ない「可愛い服」に身を包む凛は「女の子らしく可愛い自分を表現したい」という「それぞれのカセ」を抱えています。

彼女達もまた花陽と同じように「自らに課しているカセ」を乗り越える必要があることを、短い1シーンによって表現していますね。

 

☆その7 背中を押す存在

「やりたいと思ったらやってみる...そうだよね。」いよいよ「スクールアイドル」を始めることを決意する花陽。

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しかしその日の授業で張り切って教科書を読んだ結果、噛んでしまい、周囲に笑われてしまいます。それをきっかけに再び膨らみかけていた希望がしぼんでしまう花陽。その様子を心配そうに見つめる二人。

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二人はそれぞれの方法で花陽の背中を押します。

花陽の声が小さかったり、言葉を噛んだりするのは発声方法に課題があるから...。そう睨んだ真姫は、正しい発音方法を花陽に教えます。

凛は改めて花陽がいかに「アイドルに向いているか」を本人に力説します。

二人は花陽に足りないもの、そして花陽を花開かさせるために必要な「外的要素」を補てんする存在でもあります。

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花陽に足りなかったものの一つ。それは自分の価値を認めてくれる「他者」の存在。ここで凛・真姫の二人はその「評価」を与えます。

二人が花陽を評価する点はそれぞれバラバラですが、他者からの真剣な「自分に対する評価」は花陽の心にも沁み渡ります。「他者の自分への評価」を聞く事によって、「自己肯定」ひいては「自己の再評価」を出来るようになった花陽。「自分を制限していた最大のカセ」=「自己評価の低さ」を覆すことが出来たからこそ、花陽は穂乃果たちに、自らの言葉で「スクールアイドル加入の意志」を示すことが出来るようになるわけです。

※ちなみに凛と真姫が半ば強引に花陽を屋上に連れて行くのは、「花陽が自らの力でカセをクリアする」という描写にとっては足枷になってしまっているようにも思えます。ただし作劇上の意図としては、凛と真姫が花陽と共に屋上にいる必要があり、様々な可能性を模索したうえで、一番違和感のない移動方法として「二人が花陽を屋上に連れて行く」という描写に落ち着いたのでは...と想像しております。

 

☆その8 花陽の決意

自分のこと、夢、アイドルへの思い。今まで自分自身の言葉を発する事が無かった物静かな花陽。そんな彼女が淡々と、それでいて切に伝える言葉は、拙いながらも聴く者の心を打ちます。

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「1年生で、背も小さくて...声も小さくて、人見知りで....。

 得意なものも何もないです!

 でも....でも! アイドルへの思いだけは誰にも負けないつもりです!!

 だから....μ'sのメンバーにしてください!!!」

元より花陽の加入はウェルカムだった穂乃果たち。もちろん断る理由はありません。彼女の手を穂乃果が握ることで、μ'sに新たなメンバーが加わります。ただし、それはメンバーが増える...という以上の大きな意味をもたらしているようにも思えます。

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☆その9 幼少期の花陽

物語中盤、アルバムを見つめる花陽。そこには幼少期、アイドルを夢見る自分自身が映っています。

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面白いのは、幼少期の花陽が穂乃果と同じ位置に、黄色いリボンをしている...ということ。

穂乃果の特性とは、「自分の夢ややりたいこと」に「ためらわずにまっすぐ進む」こと。幼少期の花陽は、現在の穂乃果と同じく、自分の「夢」に「ためらわず」「真っ直ぐに進んでいた」はず。となると、穂乃果の象徴である「黄色いリボン」「夢」を象徴する「アイテム」として使用されているような気もしてきます。

花陽のアイコンである「クローバー」が「希望」「信仰」「愛情」を象徴するもの...であることは前回考察でもお話させていただいた通り。

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となれば穂乃果と花陽が手をつなぐことは、「夢」と「希望」とが結びつくことを表現したメタファー...とも捉えられます。

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「普通」と「希望」を象徴する花陽が、「夢」を象徴する穂乃果と手を繋ぐこと。

それは「普通の少女」でも「希望」を以て取り組むことで「夢」を手にすることが出来る...という思想を象徴するもの。そしてそれが「スクールアイドル」が持つ普遍的な願い。

だからこそ、μ'sは穂乃果と花陽が手を繋ぐことで、「スクールアイドル」としての確かなアイデンティティを手にする。故にこの二人の握手には「大きな意味がある」ように思えるのです。

 

ちょっと脱線しますが、「ラブライブ!サンシャイン!!」の主人公、千歌に両者を象徴するアイテムである「黄色いリボン」と「クローバー」がデザインされているのは、穂乃果と花陽が「μ's」ひいては「スクールアイドル」を語る文脈の中では「キーマン」になると制作陣が考えているからでは?と前回考察させていただきました。

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これまた面白いことに、幼少期の千歌は「黄色いリボン」をしていないことが、作中の描写から明らかになっています。

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幼少期には何事にも真剣になれず、臆病な性格だった千歌。そんな彼女がスクールアイドルと出会うことで、「積極性」を手にする。

千歌に穂乃果と花陽の要素が散りばめられているのは、この二人が出会うことで産まれた「スクールアイドル」の価値観を、千歌が引き継いでいることを象徴させるためなのでは?とも思えます。まま、ここは考えすぎなんでしょうけどもw

 

☆その10 二人はどうする?

花陽の決意を見終えた凛と真姫。その姿に感銘を受け、思わず涙ぐみます。涙の理由はもちろん花陽の必死な姿に感動したから...でもありますが、同時に花陽の姿に「自分を投影したから」かもしれません。

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「自分のやりたいこと」「なりたい自分」そんな自己実現を叶えたいと願っているのは、凛も真姫も同じ。花陽を通して「やりたいことをやってみる」ことの意義を感じ、「自分もやってみたい」と思い始めた二人。そんな二人の思いを読み取ったかのようにことりは「二人はどうする?」と凛と真姫もメンバーへと誘います。

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「まだまだメンバーは募集中ですよ!」

顔を見合わせる二人。答えは自ずと決まっていました。

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凛と真姫を加えたμ'sは一気に6人の大所帯に。

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早朝練習に不満を漏らす凛。そんなことでは恐らく陸上部は務まらなかったでしょうなw

練習場に真っ先にいるのは花陽。なんとメガネを外しています。

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メガネは「自分を縛り付けていた過去」を象徴するもの...なのかもしれません。メガネをはずした花陽の表情はどこか穏やかです。

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真姫から飛び出すのは「メガネをはずしたついでに下の名前で呼んでよ」という謎理論w

なにはともあれ、初めて校内に同世代の友人を手に入れた真姫も、どこか嬉しそうです。

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同じような課題を抱え、同じタイミングでμ'sに加入することとなった3人。彼女達が今後μ'sでどのような活躍を見せるのか?それは次回からのお楽しみです。

 

☆その11 にこ襲来?

順調にメンバーを増やしていくμ's。そんなμ'sを良く思わない人影が。

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真っ暗な部屋でμ'sへのアンチコメを書きつける謎の3年生。そういえばμ'sのファーストライブへも顔を出していた謎のツインテール少女。次回はいよいよ彼女がそのベールを脱ぎます。

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果たして彼女の狙いとは、そして彼女の登場によってどんな悲劇がμ'sに起きるのかー(棒読み)

それはまた次回の講釈ということで。

 

...というわけで4話考察でした。

久々に1万字超えましたね。。しかし、「ラブライブ」シリーズを語る上でも欠かせない回だけに仕方ないかと。。

恐らくここと12話13話が1期考察では一番物量割く部分だろうと思っていたので予想通りではあります。

さて次回は矢澤回。ラブライブの「赤木」でお馴染みにこパイセン主役回だけに、気合入れていきますよ。

まずは、ここまでお読み頂きありがとうございました!

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ラブライブ!ハイライト 第3話「ファーストライブ」

お久しぶりでございます。

今回からまた「ラブライブ!」考察へと戻っていきたいなと思います。

その前に前回「HPT」記事をお読み頂いた皆様に感謝を

インプレッションにも関わらず好意的な感想を多数頂戴し、感謝の気持ちでいっぱいでございます。と同時に、「ラブライブ!サンシャイン!!」を取り巻く環境が「良い意味で」変化してきていることも実感し、初期から作品を応援してきた身としても嬉しい気持ちになりました。

当ブログに関しましては...今後とも妄想をもとにしたと駄文ばかりと思いますが、引き続きご愛顧頂ければと思いますm(__)m

 

...さて、今回は第3話「ファーストライブ」です。

度々ブログやTwiiterでも発言しています通り、私が他人に「ラブライブ」を進める際には「とにかくこの3話までは見て!」とお願いしています。理由としては、この「3話」を機に物語に躍動感が生まれるから...でもあります。(逆にここで乗れない方には、厳しいかな...とも思いますが)

それだけに大事な回!

...ではあるのですが、正直ストーリーが分かりやすく、それほど考察する要素がありません(笑)。ストーリーが分かりやすいだけでなく、台詞で説明する部分もあったり、見ていれば大体何がどういう意図で起きているのかは分かる回なので...(そういう意味ではよく出来た回とも言えますね)。

とはいえ、なんでもねちっこく「考察」するのが売りの当ブログではありますので、今回も出来る限りきっちりやって行こうと思います。よろしくお願いいたします!

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 ■第3話STORY

 新入生向け「部活発表会」でのファーストライブに向け練習に励むμ's。オリジナル楽曲も手に入れ、練習にも力が入ります。とはいえ未だ校内での知名度もほとんど無い彼女たちにとって大切なのは「集客」。校内・校外での「チラシ配り」も開始。またことり製作の衣装も完成。ところが「恥ずかしがり屋」の海未にとってはどちらも「ハードル」の高いもの。とはいえ「人前」に出るのが基本のアイドル稼業。この程度の「ハードル」はクリアしなければなりません。穂乃果の「この3人」で「やり遂げたい」という強い思いを受けた海未もいよいよ覚悟を決め、ライブ前に3名の結束も強まります。当日にもぬかりなくチラシ配りを続けますが、反応は芳しくありません。とはいえやってきたことに自信を持つ3人。ライブへも一定の自信を以て臨みますが....。なんと観客は0。あまりにも「残酷」すぎる「現実」がμ'sに突きつけられます。穂乃果は「世の中そんなに甘くない」と必死で現実を受け入れようとしますが、その「現実」の重さは一人の少女が受け止めるにはあまりにも「辛すぎる」もの。崩れかけた穂乃果とμ'sを救ったのは、花陽。自分たちのライブを求めてくれる「たった一人の観客」を得たことで、今一度「なんのために練習をしてきたのか」の意味を問い直した穂乃果。ライブ継続を宣言します。披露する楽曲は「START=DASH!」。会場には次第に人が集まり始めます。花陽に釣られてやってきた凛。なんとなくμ'sが気になって仕方ない真姫。影から見守る希。スクールアイドルに対して思惑があるらしい、にこ。そして生徒会長の絵里。後にμ'sとして活動することになる9人が、「完敗」の「ファーストライブ」に集結しています。自分たちの現状と不思議なほどにマッチする楽曲は、この日ライブを見た人々の心にも「なんらかの影響」を与えます。厳しい環境の中で見事1曲をやりきったμ's。「これ以上続けてどうするの?」という絵里の厳しい追及にも「続けます!」と毅然と答えます。「続ける」理由は、ライブをすることで改めて自分の中に「スクールアイドルを続ける意味」「やりがい」を見出したから。「いつか私たち...必ずここを満員にしてみせます!」。「廃校阻止」をきっかけに始まったμ'sの活動。そんな彼女たちに新たに生まれた「願い」「目標」「完敗からのスタート」は、同時に彼女達の「新たな物語の始まり」を予感させます。

 

■第3話での登場人物プロフィール

高坂穂乃果

前回では1回登るだけでばてていた階段登りや、ダンスレッスンも順調にこなすなど、成長を見せる。チラシ配りを恥ずかしがる海未には、海未がトレーニングで自分に課した課題を引き合いに出してやる気を喚起するなど、「無意識のモチベーター」としての才能も発揮する。「観客0」には打ちのめされるものの、花陽の存在に救われ「μ'sの継続」を決意。「いつかこの会場を満員にする!」。彼女には新たな願いが生まれ、それがμ'sを力強く導いていくことになる。

南ことり

ことりデザインの衣装は抜群のかわいさ。服飾デザインの実力を早くも見せつける形に。海未から「スカートはひざ下」と脅迫されていたものの、頑なにミニスカートデザインを通すなど、我の強さも見せる。またチラシ配りでも以外な実力を発揮。この辺りは後々の伏線。

園田海未

前回は「鬼軍曹」としての実力を見せつけるも、今回は防戦一方の展開。「アイドル」とは「恥ずかしさ」との戦いであることを改めて認識させられる形に。彼女にとってはこの「恥ずかしさ」との戦いはシリーズ全編を通しての「テーマ」にもなる。

小泉花陽

相変わらず「スクールアイドル」への憧れを胸に秘めながらもそれを表には出せない日々。μ'sファーストライブに行くことを真っ先に宣言するも、凛に「陸上部」へ連行されたせいでライブ開始に間に合わない事態に。とはいえ彼女がギリギリ駆け付けたおかげでμ'sは活動を継続するわけで、花陽の存在はμ'sそのものにとって非常に重要であることが明らかになる回となった。

星空凛

花陽の悩みには未だ気付かず。「かよちん運動してみたいって言ってたじゃん」と花陽を陸上部に連行する(笑)。陸上部の見学を切り上げた花陽に釣られるようにやってきた講堂でμ'sのファーストライブを見ることに。アイドルへの理解も知識も無かったが、μ'sの渾身のパフォーマンスには素直に拍手を送っていた。

東條希

今回目立った活躍はないものの、「μ'sの活動」をなんとなく気にしている絵里が「ライブを見に行きやすいよう」に自分は「帰ったふり」をする...という地味なアシストを行う。未だになぜμ'sを支援しているのか...の明確な理由は明らかにならず。

絢瀬絵里

μ'sのライブはなんだかんだ気になって見に行くことに。なぜAP部屋に行ったのか...という理由は後に明らかに。ツンデレにもほどがあるぜ、エリチさん。

西木野真姫

μ'sの練習をこっそり見に行って穂乃果に捕獲される...などやはり脇の甘さを見せる。そこが可愛いのだが。ライブもこっそり見に行く。見事3人でのパフォーマンスを見せたμ'sには素直にリスペクトの拍手を送る。

矢澤にこ

今回も出番はほとんどなし。ライブにはこっそりと潜入し、μ'sの様子を見届ける。今のところ最大の「謎の人物」。

■第3話を読み解くポイント

☆その1「努力の過程」

前回、海未の指摘によってアイドルでありながら「体力作り」をする意味を悟った穂乃果たち。努力の成果は具体的な「動き」で表現されます。

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苦労していた「階段のぼり」や「ダンスレッスン」を順調にこなしている姿を見せることで、「具体的な練習過程」を省略しつつ成長を表現することが出来ます。またその様子は常に希が確認済み。

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希は彼女達の努力をきちんと把握しています。

μ'sの努力と成長を主観的にあるいは客観的に見せる必要があるのは、今回の物語が「努力」に対する「成果」のお話だからでもあります。

「努力」した結果が正しく「結果」に結びついてくれれば、そりゃ一番良いんですが、世の中そう「単純」ではありません。

ただ「努力」が「無」に終わることばかりか...と言われると、そちらもそう「単純」ではない。そういうお話。

 

☆その2「μ'sミュージックスタート!」

練習を「こっそり」見学に来た真姫を目ざとく見つけた穂乃果。

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自分が「START=DASH!」の作曲者であることを頑なに否定するものの、μ'sメンバーには完全に正体を見抜かれております。そりゃ、他にμ'sの活動を知っている人自体いませんしねぇ。

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やはり「他人のために初めて曲を作った」以上、真姫にとってμ'sはもはや無視できない存在。ただし、自分からは相手に対して積極的に行けない「人見知り」な真姫を半ば強引に「自分たちの仲間」に引きずり込む穂乃果。

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穂乃果のちょっと強引なパーソナリティは、奥手な真姫にとっては丁度良いバランス。「μ'sが歌ったバージョン」の「START=DASH!」を真姫に聞かせる穂乃果。再生ボタンを押すのと同時に発する掛け声は「μ'sミュージックスタート!」。

ライブで使われ続けていたフレーズがTVアニメで初めて登場した瞬間。文字通りアニメの中ではμ'sの音楽が「動き出す」瞬間に使用されました。アニメ化するまでに3年以上の月日がかかった「ラブライブ!」。それだけに、アニメ化以前から存在した「フレーズ」や「シーン」などが多数ある作品でもあります。しかしTVアニメ「ラブライブ!」はそういった「フレーズ」や「シーン」への配慮を忘れません。長くファンに親しまれてきたものこそ「文脈」としてしっかり「再利用」する。この精神も、1期2期通して貫かれるものの一つですね。

(ここからOPテーマに突入する演出も白眉でしたね~)

 

☆その3 海未の「弱点」

前回、アイドルを「舐めていた」穂乃果とことりに、「アイドルが持つアスリートとしての一面」を伝えることでその襟を正した海未。彼女の指摘があったからこそ、穂乃果は真姫の説得に成功するなど、早くもμ'sにとってなくてはならない人物になりました。

しかし今回はそんな海未の弱点が明らかに。それは極度の「人見知り」とそこから来る「恥ずかしがり屋」な一面でした。

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他者から「評価」され、「相対化」されるのは「アイドル」に限らず「表現者」ならば当たり前のこと。しかし常に「自分」と向き合い「頂点」を目指してきた「アスリート」である海未にとっては、畑違いの場所でもあります。

前回は「アイドル」のもつ「アスリート」の一面を伝える役割を果たした海未。しかし、今回は「アイドル」が「アイドルたる所以(ゆえん)」を穂乃果とことりに「教わる」ことになる。ここには2話と3話を対比させつつ、セットで見る事で「アイドルとはなんぞや?」ということを理解させようとする作り手側の狙いを感じます。

また穂乃果・ことりの後押しを通じて「苦手」を克服していく海未の姿は、前回との対比になるもの。前回のお話を通して「海未がμ'sになぜ必要な存在なのか」を示したように、今回は「穂乃果とことりがなぜμ'sに必要なのか」を端的に表現していることにもなります。

更に3人がお互いをそれぞれリスペクトしつつ、励ましあって成長していく過程は「チームもの」の作品からは切っても切れないもの。元から強かった3人の絆が「スクールアイドル活動」を通じてより強くなっていくことで、視聴者もこの「3人」を自然と応援したくなる。そんなシナリオ構成が上手に組まれているな...と改めて感じました。

また「評価」とそれに付随する周囲の「応援」。

このあたりも、「ラブライブ」においてはひとつ重要な「モチーフ」になっていきますね(特に2期以降)。

 

☆その4 やるべきことはやった....からこそ。

いよいよライブ当日。当日朝までぬかりなくチラシを配り続けるμ's。そこには苦手なチラシ配りを克服した海未の姿もあります。

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ダンスレッスンも、基礎体力作りも、オリジナル楽曲も全て怠らず準備した。集客のための努力も最後まで頑張った。「神頼み」もした。努力は人一倍した。あとは目に見える「結果」だけ。

彼女達がその「結果」をいじらしいほどに求めるほど、視聴者も彼女達に感情移入せざるを得ません。

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ここまでの布石があるからこそ、この後の展開が残酷に映るわけでもありますが。

 

☆その5「観客0」から「1」へ...。

大きな期待と自信を以て臨んだファーストライブ。しかし彼女達に突きつけられた現実は「残酷」なものでした。

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広い講堂で彼女達を待ち構えていた観客は「0」。今年の新入生が全員で「クラス1つ分」しかいない....という事実があるにせよ、あまりにも残酷な仕打ち。

高校2年生の少女3人組にとっては、あまりにも「キツい」出来事です。

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この状況を受け止めきれないことりと海未に「世の中そんなに甘くない!」と必死に答える穂乃果。しかしそんな彼女の脳裏にはこれまでの「努力」がフラッシュバックします。

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今日、この日のために積んできた様々な「努力」。それも全てはこの日のライブで「素晴らしいパフォーマンス」を見せるため。しかし、その「パフォーマンス」を見せる「相手」がいなければ全ては「無意味」...。

ゆっくりと、しかし確実に現状を「理解」した穂乃果。

気丈に振舞っていた彼女もまた、いよいよ限界を迎える...その刹那

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(このギリギリの瞬間の表情がとても素晴らしいです)

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ライブ会場へと駆け込んでくる一人の「お客さん」。それは唯一「μ'sのライブを見に行く」と宣言してくれた花陽でした。

f:id:ishidamashii:20170424002659j:plain自分以外の観客が「一人もいない」異常事態にも関わらず、そちらではなく「ライブが行われていないこと」に疑問を投げかける花陽。

彼女にとっては「他のお客」など関係なく「μ'sのライブ」だけが大事なのです。

「自分たちのライブを見るために駆け付けてくれた人」を認識した穂乃果。

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崩れかけた自分の心の弱さを振り払うように、「やろう!」と二人に宣言します。その理由は「今日、この日のために頑張ってきたから」。

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「廃校を阻止するため」でも「部活の仲間を増やすため」でもなく、「自分たちの努力を無駄にしないため」そして「自分たちがやりたいことをやるため」に、ライブ実行を決意する穂乃果。彼女の中で「テーマ」が切り替わった瞬間であり、そのきっかけを与えたのは花陽でもあります。

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ラブライブ!サンシャイン!!」では大テーマとなった「0から1へ」ですが、「ラブライブ!」でも「0だった観客」が「1」になることで物語が大きな展開を見せる...と言う意味で非常に大切な「モチーフ」になっています。

 

☆その6 小泉花陽と「クローバー」

3話で大きな役割を果たす花陽。彼女自身のモチーフとなっている花は「シロツメクサ」、別名「クローバー」ですね。

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日本では三つ葉のクローバーの花言葉「希望」「信仰」「愛情」の3つと言われます。まさしく第3話では花陽のアイドルへの「信仰」と「愛情」がμ'sにとっての「希望」となりました。もしあそこで花陽が駆け込んでこなければ、μ'sはどうなっていたのか分からないわけですから。故に花陽はμ'sにとってとても大切な人物である...と個人的に思っていたりします。

μ'sの中ではいわゆる個性の薄い「普通の子」的な立ち位置になりやすい花陽。しかし彼女のアイドルへの「深い愛情」や、そこを原点とする「強い意志」はμ'sにとっての核となるもの。それゆえ花陽は穂乃果と同じくらい「μ's」や「スクールアイドル」を語る上で「大事な存在」として設定されている気もするのです。

その影響は続編となる「ラブライブ!サンシャイン!!」でも生かされていて。

主人公である千歌に花陽のモチーフである「クローバー」と、穂乃果のモチーフである「リボン」がデザインされているのは、そんな「思想」が影響しているからでは?というのは割と真剣に思っていることの一つだったりします。

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...すみません、極論なうえに脱線しましたね(笑)。

花陽に関しては、次回また深く触れていきたいと思います。

 

☆その7 「1」から「9」へ

花陽に引っ張られる形で講堂へとやってくる凛をはじめ、それぞれ別の思惑を持ちながらも、この「ファーストライブ」にμ’sのメンバー全員が集合している....というのは、分かりやすいながらも、グッとくるシチュエーションだな...と思います。

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それぞれがそれぞれの「思い」をもって受け取った「ファーストライブ」。彼女達がそれぞれ「どんな思い」を抱え、それをどう「解決して」μ'sに加わるのか。楽曲を聞かせながら、4話以降の流れをぼんやりと匂わす...という部分に、登場人物を全員集める...という表現の意図があるように思えます。

 

☆その8 「START=DASH!」

前回は真姫が歌う1コーラスのみが披露された「START=DASH!」。今回ようやくその全貌が明らかになります。

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明日への希望を持ちながら、それを上手く表現できない。でも、「希望」を持った以上、走り出さずにはいられない。そんな「焦燥感」と「希望を持つ事の意味」を讃えた歌詞。「START」することは、同時に「DASH(走る)」ことでもある...からこそ、「START」と「DASH」の間には=(イコール)が入る。

この楽曲の持つ「切実」さは、まさしくμ'sの「現状」と「リンク」するもの。そして真姫の現状とも「リンク」するものでもあります。

1期の「メインテーマ」ともなるこの楽曲。それにふさわしい存在感をもった楽曲として仕上がっています。

また、この楽曲が持つ一つの「仕掛け」が、最終回で効果を発揮することにもなるわけですが、それはその機会に振れることにしましょう。

 

☆その9 新たな「カセ」の登場。

物語において、特に「ハリウッド映画文脈」において重要になる「敗北」とそこから発生する「カセ=枷」の存在。今回の第3話は、それを設定するために「用意」された回でもあります。

第1話では主人公たちが「スクールアイドル活動」をするきっかけとして登場した「カセ=廃校問題」ではありますが、この3話の時点で「カセ」そのものが「変化」していることが分かります。

ライブ終了後、絵里から告げられる

「これからどうするつもり」「これ以上続けても意味があるとは思えないけれど」

という容赦ない一言に対して穂乃果が返す「続けます」という言葉。

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その理由は、「やりたいから」

「廃校を阻止するため」でもなく「学校に生徒を増やすため」でもなく、

「自分がやりたいから、やる」

この時点で実は穂乃果が「スクールアイドルを続ける動機」が変化していることに気付きます。

「誰かの為」ではなく「やりたいからやる」。

その真理に(無自覚ながら)いち早く気付く穂乃果は流石です。

穂乃果の「目標」が変化したことで、物語内での「新たな目標設定」も行われます。それは「いつかこの場所を満員にする」というもの。

この発言が出た時点で、物語の最終回に「満員になった講堂」が登場すること...までが予想できます。

とはいえ、「いつか〇〇を満員にする!」というのは、アイドル文脈では「グッとくる」発言そのもの。

モーニング娘も、AKB48も、同じ文脈で伝説を作り上げたように、「アイドルファン」にとっては「分かっていても」「グッときてしまう」舞台設定でもあります。

また、この「テーマ設定」の変更を通して、「廃校問題」がいわゆる「マクガフィン」であることも「勘の良い人」であれば気づきます。そう考えれば「廃校問題」の急な「収束」もそれほど「意外ではない」と思えるかもしれませんね。


「このまま誰も見向きもしてくれないかもしれない。

 応援なんて全然もらえないかもしれない。
 でも一生懸命頑張って....私たちがとにかく頑張って届けたい。
 今私たちがここにいる この想いを。
 いつか...いつか私たち。
 必ず....ここを満員にしてみせます!」

 

「完敗からのスタートか...」

 

穂乃果の宣言希のモノローグを通して、第3話の意図が分かりやすく説明され、物語は次回へと続いていきます。

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果たしてμ'sはいつ9人になるのか?

穂乃果と絵里の関係はどうなるのか?

希の真の狙いとはなんなのか?

それは「次の講釈で!」

といった感じできれいに終わる第3話。

今回の考察もここまで...でしょうか。

次回からは「仲間集め編」のスタート!

特に4話は何度見ても泣ける神回!

次回もしっかりやってまいります。引き続きよろしくお願いいたします♪

ラブライブ!  2  <特装限定版> [Blu-ray]

「HAPPY PARTY TRAIN」について私が考えた二、三の事柄(という駄文)

おひさしぶりの「ラブライブ!サンシャイン!!」無駄話です。

今回は一旦「ラブライブ!」考察をお休みして、インプレッションをば。

と、いうのもAqoursの3rdシングル「HAPPY PARTY TRAIN」(以下HPT)が発売され、なおかつこれが良曲だったから。

とはいえ今回はがっつり考察...というよりも「これはこうかもなぁ」みたいな、ぼんやりとした感想と言いますか、インプレッションとしてまとめておこうという趣旨ですので、どうか肩ひじ張らずにお読みいただければと思います。

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■果南にとっての「終わり」の季節。

PVの始まりはガランとした教室から。「祭りのあと」を思わせる教室で、果南はひとりぼんやりとしています。

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色づく山々、焼き芋を作る花丸、などの描写から季節は秋から冬への変わり目。と、なるとこの教室は「文化祭」の名残?という感じにも見えます。

春先の今リリースされたCDの舞台設定になぜ「秋」が選ばれたのか?というのは不思議な感じではあります。ただし「秋」に2期のスタートが予告されている以上、決して無関係とはいえないようにも思えますね。

ベランダから景色を眺める果南。その表情はどこか寂しげです。f:id:ishidamashii:20170409114043j:plain

3年生の果南にとって、「秋」は「次の進路」へと向かう季節。そしてそれは同時に「自分」と「Aqours」の「別れ」を意識せざるを得ない季節でもあります。

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場面は切り替わって三島駅のホーム。内浦へと戻る果南の胸に去来するのは「別れ」とそれに伴う変化への「恐れ」そして「寂しさ」です。

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(浦の星の教室にいたように見えた果南が、なぜ三島駅から電車に乗っているのか?に関してはこのPVからだけでは分かりかねます....。)

この一連の流れから、「終わり」という物が、このPV内で一つ重要なテーマとして設定されているように思えます。「別れ」やそれに伴い起きる「寂しさ」や「切なさ」をどのように「受け入れる」か。というのが一つ大きな「メインテーマ」なのかな?と。

 

■「豊後森機関庫」と「国鉄9600形蒸気機関車」の文脈

PV内で重要な舞台装置として登場する豊後森機関庫」国鉄9600形蒸気機関車

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これがどこにあるのか?というとなんと大分県

ラブライブ」とは縁もゆかりもないこの場所がなぜ選ばれたのか...というのは気になるところ。

「テーマが電車と決まった時点で、電車好きのスタッフにロケーション選定をしてもらったら、ここがピックアップされてすごく良かったから!」という身もふたもない理由かもしれませんが(笑)

とはいえ、当ブログはなんでもかんでも「こじつけて」考察するのが趣味のブログなので、ここの文脈もちょっと考察してみました。

そこで見つけたちょっと面白い符号は「日付」

豊後森機関庫は元々1934年に完成するも、1971年には役目を終えた存在になっていた場所。そこを2001年から地元有志の方々が保存を目的に署名活動を開始。1万人の署名を目標に活動を開始しましたが、結果的に目標を大きく超える22,437名分の署名を集め、無事2012年8月13日に国の登録有形文化財として登録されました。

豊後森機関庫 - Wikipedia

ここで気になるのはこの8月13日という日付。

奇しくも2010年の8月13日は、μ'sのファーストシングル「僕らのLIVE君とのLIFE」が夏コミで先行販売された日。その日付と同じなんですね。

僕らのLIVE 君とのLIFE」(ぼくらのライブ きみとのライフ)は、μ'sの楽曲。同グループ1枚目のシングルとして2010年8月13日コミックマーケット78で夏コミ限定版が先行発売 

僕らのLIVE 君とのLIFE - Wikipedia

あの「全く売れず」徳井家に「事務所が買ったCDが大量にあった」(3rdLIVEでの徳井青空MCより)ことでお馴染みの「コミケ先行版」が発売された日...。そんな日付と奇妙な一致を見せるわけです。(年号が違うのでロジックとしてはちょっと弱いんですけどねw)

ただしそんな「ぼららら」との関連性を知ると、「HPT」の帯コメント『新しいみんなで叶える物語』が、「ぼららら」の帯コメント『皆で叶える新しい物語』に「寄せて」作られている理由としてもしっくり来るんですよね。

※余談ですが。「みんなで叶える物語」をテーマにスタートした「プロジェクトラブライブ」にとって大事な記念日となったこの日に、「豊後森機関庫」保存を目標とした有志は「機関庫の登録有形文化財登録」という「物語」を「みんなで叶えた」わけで。これはこれでとても面白い一致ですよね。

 

更に「HAPPY PARTY TRAIN」のモデルそのものである国鉄9600型蒸気機関車に関しても、面白い日付ネタが。

実は改修費用の高さ故に解体される予定だったこの蒸気機関車は、譲渡される形で2015年6月12日豊後森機関庫に設置されました。

この2015年6月12日は、「劇場版ラブライブ!The School Idol Movie」公開の「前日」にあたる日でもあります。

ラブライブ!The School Idol Movie』(ラブライブ ザ・スクールアイドルムービー)は、サンライズ制作による日本アニメーション映画メディアミックスプロジェクト『ラブライブ!』の一作品。テレビアニメラブライブ!』の続編で、廃校寸前の母校を救うために結成された架空のスクールアイドルグループμ's(ミューズ)」の奮闘と成長を描いた物語の完結編である。2015年6月13日公開。

ラブライブ!The School Idol Movie - Wikipedia

「μ's」と「プロジェクトラブライブ」の一旦の「終わりを告げる物語=劇場版ラブライブ!」の公開前日に、「第2の生=始まり」を得た国鉄9600型蒸気機関車

μ'sにとっての「始まり」と「終わり」を象徴する日は、「豊後森機関庫」と「国鉄9600型蒸気機関車」にとっても大事な日付と不思議な近似性を持っていることが分かるわけです。

またこの文脈を理解すると「HPT」の最初の歌詞、「開いた花の香りから 受け取ったよ次の夢を さぁどこに行こうかな 跳ねるように行こうかな」という歌詞が、「劇場版ラブライブ!」のラストシーンに関連付けられているのがなんとなく理解できます。

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また、注目したいのは「豊後森機関庫」「国鉄9600型蒸気機関車」共に、現代では本来の役目を一旦「終えていた」というところ。それにも関わらず有志の手によって「新しい生」を与えられた。即ち二つにとっても、「本来の役割の終わり」と「新しい役割の始まり」、すなわち「死」と「生」が同居する場所になっているわけです。

今回の楽曲のテーマの一つは「終わり」であり、それをどのように「受け入れるか」ではないか?と先ほど書かせて頂きました。

とすればこれらの舞台装置が文脈として提示しているのは、「終わり」を「新しい始まり」として受け入れられないか?という「提案」なのかな?とも思えます。

 

■「終わり」と「始まり」

「終わり」を「新しい始まり」と捉えた楽曲を考えるとμ'sのファイナルシングル「MOMENT RING」を思い起こさせます。

「思い出だけじゃないからね 新しい夢が生まれてくると 僕たちは知ってるよ」

と彼女達が「最後」のシングルで語った通り、「終わり」は「始まり」のきっかけになるもの。

「終わる」ことは確かに寂しいことだけれど、そこから「新しい何か」が「始まる」ことを楽しんでほしい。

「HPT」はそんなμ'sの「最後のメッセージ」を反映されて作られた楽曲かもしれません。

 

■「電車」というメタファー

「電車」が何を象徴しているのか?というのを改めて解説するのは気恥ずかしいですが。一般的には「運命」を象徴するものとして起用されがちですね。

電車は一度乗ったら目的地まで「自分の意志」が反映されない乗り物です。自分で電車そのものの行先は変えられないし、スピードを速めたり、遅くしたりも出来ない。それは「抗えない運命」に似ています。

※電車を「運命」のメタファーとして多用する作家としてすぐ思い浮かぶのは「君の名は。」でお馴染み新海誠監督ですね。

「運命」をもっと広義のものとして見てみると、例えば「時間」や「時代」。あるいは「季節」もそこに含まれるように思えます。全てはただ流れていき、人には操作できない要素。それこそが「運命」です。

人はどうやってもある種の「運命」には逆らえないもの。とすればその「運命」とどのように付き合っていくか?というのが人生においては大切になってくるわけです。

そこで重要になるのが「視点の変化」。これは「劇場版ラブライブ」の考察でも触れた通り、「ラブライブ」を語る上では欠かせない重要な要素ですね。

「降り始めた雨」を「嫌だなぁ」とネガティブに受け止める穂乃果に「大丈夫にゃー!」と告げ、雨の中歌い踊ることで雨を「星空」へと変えた凛が象徴するように。

一見「ネガティブ」な要素も、自分自身の「捉え方」で「ポジティブ」に変えること。その重要性と意義を「ラブライブ」は何度も強調してきた作品です。だからこそ「HPT」でもその思想は受け継がれ、表現されていきます。

 

■「視点の変化」と「視覚の変化」

「HPT」の歌詞では「変化」することを「楽しむ」ことの重要性が歌われています。

歌詞内の「ポジティブ」な「視点の変化」は、ダイレクトに「視覚」へも影響します。この辺は実にMV(ミュージックビデオ)的な手法ですね。

例えばスタート時には「寂しげ」な「秋」の風景ですが...

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花丸の「ステキな旅に出よう 人生ってさ....たくさんの場所へ続いてる?ワクワクだらけさ!」という言葉をきっかけに

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秋の枯草は新緑へと変わります。

2番冒頭ではいきなり「冬景色」に。

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しかしそんな寒々しい景色も、「終わらない旅をしよう 人生ってば....ためいきもたまに出ちゃうよ ハラハラし放題!」という言葉が新緑へと変えていきます。

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「人生」という「決して楽しいだけではない」物を、自分自身の「ポジティブ」な「視点変化」で「楽しみ」へと変えていくことで、「寂しい景色」や「寒々しい景色」も「暖かな景色」へと変化させることができる...。

それは「運命」に関しても同じ。

一見「苦しかったり」「難しかったり」する、自分ではどうしようも出来ないような、それこそ「運命」と呼ぶしかできないような局面でも、自分自身の視点を「変化」させることで乗り切ることができる...というポジティブなメッセージ。

そんな「分かりやすいメッセージ」がこの「視覚変化」では表現されていますね。

また変化していく景色の中で、唯一「変わらない存在」として踊り続けるAqoursは、「Angelic Angel」におけるμ'sを思い出させます。

Angelic Angel」PVにおいて場面の転換に影響を受けず踊り続けるμ's。

彼女達が場面転換に影響を受けないのは「時代」や「時間」が変化しようとも「変わらないもの」=「希望」を象徴しているから。

「HPT」PV内のAqoursもまた同じような意図をもって機能しているように思えます。

そこからは「運命」に左右されるのではなく逆に「運命」を「乗りこなしてみれば?」という「ポジティブな視点変化」の提案を感じます。

その提案が「空を飛んでいく機関車」という表現に集約されているのではとも思えるのです。

 

■空飛ぶ「HAPPY PARTY TRAIN」

思い悩みながら電車に揺られる果南に手を差し伸べるのは、「子供時代の果南」です。この辺の解釈は難しいのですが...。

「劇場版ラブライブ」に影響を受けていることを鑑みれば、「子供時代」の「自分」は、「何事にもためらわず挑戦」し「全てを楽しめる」象徴と捉えるのが自然なのかもしれません。

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「劇場版ラブライブ」では、自分たちの「これから」に思い悩む穂乃果が幼少期のように「ためらわず」「全てを楽しむ」視点を取り戻すことで、再び「自分の決意の正しさ」を認めることができるようになる....という描写が為されました。

サンシャイン12話でも、「希望」や「勇気」を表現する存在として「穂乃果のような少女」を象徴的に登場させ、彼女の姿をAqours全員が見つめることで、「ためらわず自由に走る事」の大切さを理解しました。

このように「ラブライブ」の文脈において「子供」は「ためらわない」「自由」の「象徴」として使用されることが多いように思います。

従って自分の「これから」に思い悩む果南もまた「幼少期の自分」と「手をつなぐ」ことで「未来を恐れず」「ためらわず進むこと」の大切さを「取り戻した」のかな?とも思えます。

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「幼少期の自分」と「手をつなぐこと」で「未来」を「恐れず」「楽しめる」ようになった果南。これから起こる「未知」を「恐れる」のではなく「楽しむ」ことが出来るようになれば、「運命」さえも自分で「乗りこなせる」ようになるはずです。

故に「HAPPY PARTY TRAIN」は「機関車」でありながら、「自由」な「宇宙」へと飛び立っていきます。その下には線路はありません。

「楽しいこと」も「辛いこと」も、「起きる事全てを楽しみたい」。13話「サンシャイン!!」で千歌が語った通り、「起きる事を全て楽しむ」というのはAqoursが手にした自分たちの「スローガン」です。「HPT」もまた、その「スローガン」に倣って作られた楽曲なのではないかな?と思えるのです。

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■「変わらない」もの。

果南が恐れているものの一つは「変化していく人間関係」でしょうか。「卒業」して「次の進路」へと進めば自ずと元々の友人とは「疎遠」になっていきます。環境が変われば、それぞれ「一番大切なもの」は変わっていきますし、それによって価値観も変わっていく。それは仕方のないことです。ただ、仮に疎遠になってしまったとしても「仲が悪くなる」わけではない。必ず目に見えないところで「繋がっている」。それが「人間同士」の「繋がり」でもあります。

伊豆長岡駅に降り立った果南にドンピシャで「おかえり」と告げる千歌。「よくわかったね?」と問いかける果南に「なんとなくね」と笑顔で答えます。

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千歌の「おかえり」は、「離れていた時間」を「埋める」ためのキーアイテム。東京へと旅立っていた梨子も「同じ言葉」で迎え入れたように、いつだって「おかえり」が全ての「空白」を埋めていきます。

それはたとえ今後、何年・何十年「Aqoursのメンバーが揃うことがなくなる」としても変わらない儀式。「おかえり」があれば、いつだって「元の関係性に戻れる」ことを実感したからこそ、果南はホッとした笑顔を浮かべるのではないでしょうか。

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・・・というわけで「HPT」の個人的なインプレッションでした。

インプレッションなのに長すぎィィィ!

とはいえこれでもちょっと書き足りないくらいなので、また追加するかもしれませんw

相変わらず凄い情報量だこと。

また、これはあくまでも私個人の「感想」であって、正解ではございませんので、悪しからずご容赦願いますm(__)m

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