Love Live!Aftertalk!

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ちょっとした「変化」が大きく世界を「変えていく」 ラブライブ!虹ケ咲スクールアイドル同好会 第1話「はじまりのトキメキ」感想

皆様こんにちはorこんばんは。

今回から虹ケ咲のアニメ、通称アニガサキに関しての「妄想」記事を綴っていくことにしました。

皆様と同じ時間軸で同じものを追いかけて、色々な感動を重ねていけることを嬉しく思います。

また、今回もしょうもない「妄想記事」ばかりになるかと思いますが、何卒ご容赦いただけますようよろしくお願いいたします。

さて、今回のアニメ版「虹ケ咲学園スクールアイドル同好会」ですが、これまでのラブライブ!アニメ2作(ラブライブ!ラブライブ!サンシャイン!!)とは製作体制が異なる初めてのラブライブ!アニメということもあり、どういう作品になっていくのか、楽しみとドキドキが同居していました。

実際に放映された本編では、そんな期待や不安が良い意味で裏切られた印象があります。(まだ1話しか放映されてませんが...)

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今回の第1話では、主人公格となるであろう上原歩夢・高咲侑(アニメオリジナルキャラ)の二名に焦点を当てた物語が繰り広げられ、その中で今後の物語の土台となっていくべき"基礎"が描かれたような印象があります。

とはいえ大きな事件が起こるわけではなく、ミニマムな心の動きみたいなものを中心とした物語となっており、
なおかつその導線みたいなものは言葉にされていないものも多いので、今回は描かれていない部分を想像で補いつつ、1話内における歩夢と侑、この二人の心の動きと関係性の変遷に関して考えてみたいなと思います。

■物語開始時点での歩夢と侑の関係性に関して

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物語開始直後、二人のなんでもない買い物風景から、ディスプレイされた服を巡る過去の会話に。

ゲームではやたらと過去のお話を出してくるのは歩夢、という印象でしたがこちらではそれを切り出すのは侑です。

※ゲームにおける「あなた」と本作の侑は「別人」という設定になってはいるようですが...。

交わされるのはかつて「可愛い服」を着ていた歩夢の思い出と、それを今も着たらいいのに~という侑の願望。

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なんてことない雑談ではありますが、歩夢が「またそんな適当なこと」と言っているように、この会話自体は二人の間では繰り返されてきたもののように思えます。

過去から幾度となく繰り返されてきた侑による歩夢への「肯定」。

これは実は1話において結構大事な伏線になっているようにも思えます。

ただ、二人の関係性というものだけで見てみると、あくまでも主導権を握っているのは侑の側である、ということも何となく見えてきます。

二人で買おうと考えていたパスケースを最終的にどうすべきか、その判断をゆだねられるのも侑ですし、会話の主導権においても主に侑がメインで喋っているように思えます。

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とはいえこれは侑が意図的に主導権を握ろうとしている...というよりも歩夢の性格も反映されたもののようにも見えます。

行動するとき、決断するとき、常に侑の意見を聞く歩夢。(決定権を常に侑に委ねるシーンが序盤では多く描かれています)

控え目な性格で決断することが苦手な面がある歩夢にとって、自分の迷いに答えを出し、方向性を定めてくれる侑は、彼女の精神面においても重要な存在になっていることがこの一連のシーンと会話からも感じ取れるように思えます。

またここから、「侑に付随する(いわば依存している)形に近い歩夢」がどのように「変化」するのか、ということが第1話における主題となっていくように思えるわけです。

さて、そんな関係性である二人ですが、侑が行動の決定権を持っていることで「あるもの」に出会うことになります。それは「スクールアイドル」です。

 

■優木せつ菜=スクールアイドルとの出会いとそれが二人に与える影響

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「行ってみようか」

侑の提案で、歓声がする方向へ駆け寄る二人。そこでは一人の少女が歌って踊っていました。

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彼女の圧倒的なパフォーマンスが侑の心を動かし、これが物語の「動機」として機能していくことになります。

ラブライブ!シリーズの第1話にとってとても大事な「出会い」の表現。

μ’sの穂乃果がA-RISEと、Aqoursの千歌がμ’sと出会ったように、

侑と歩夢も優木せつ菜という存在を通して「スクールアイドル」に邂逅することになりました。

◆その人の目にしか映らない景色とそれを通した感動表現

せつ菜が披露する「CHACE!」とそれを受け止める侑の表現は、第1話における白眉と呼べるシーンになったと思います。

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「心の動き」と「映像」がシームレスに連動するのがラブライブ!の特徴の一つだと思うのですが、その「ラブライブ!仕草」を序盤で登場させるこの一連の表現は、我々のようなうるさ型に対する「安心してください!これラブライブ!ですよ!」というポーズであるというだけでなく、せつ菜のパフォーマンスの圧倒的な迫力と、それを受け止める侑の感動とを視聴者にしっかりと印象付ける役割を果たしてくれました。

個人的にとても「良いなぁ」と思うのは、この景色は侑が「個人的」に見ているものでしかなく、その場にいる全ての人が同じビジョンを共有しているわけではない、という点です。

侑には「赤く燃える炎」が見えているわけですが、ひょっとしたら歩夢には全く違う景色が見えているかもしれない。

あくまでもその人「個人」の、音楽との「出会い」と「感動」を映像で表現し、それを見せてもらえるという事実は、なんだかとてもゴージャスな体験をさせてもらえているような、そんな感覚を与えてくれます。

ちょっと、というかかなり脱線しますが、僕の大好きな映画「はじまりのうた」でも似たようなシーンがあります。


映画「はじまりのうた」予告編 #Begin Again #movie

売れないミュージシャンであり、彼氏にフラれたばかりでやさぐれた状態のヒロインが、完全アウェーのライブハウスで自分の音楽を披露する。

そしてそれを偶然その場にいたうだつのあがらない音楽プロデューサーが耳にする。
主人公となる二人にとっての「出会い」を描く大事なシーンなのですが、ここではこのプロデューサーにしか見えない「景色」と「音」が表現されます。

普通の観客にはちょっと地味に聞こえている曲が、このプロデューサーの脳内では見事な編曲によってとてもゴージャスな楽曲として聞こえている。

同じ空間で同じ楽曲を聞いている人でも、それぞれ全く別の景色が見えているということ。

そしてそれ以上に、その人にしか見えていない「景色」があるということ。

そんな事実が映像として共有されると、いやでも「感動」してしまいます。

また、そんな「個人」的な出会いや体験を大切に描いている、という事実もこの作品の方向性を端的に表してくれているようにも思えるのです。

 

そして二人が見た景色、受け取ったものがほんの少しだけ「違う」ということが、1話後半では重要な要素になっていきます。


■侑の「告白」と歩夢の「決意」

せつ菜との出会いを通じて「スクールアイドル」に夢中になる侑。夜通し「スクールアイドル」の動画を漁り尽くした彼女は、すっかり「推し」となった優木せつ菜に会うために校内のスクールアイドル同好会へと赴きます。

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マンモス校故になかなか見つからない部室。それを探す最中でこれからの「仲間」に出会う、というオツな演出も挟みつつ(この辺りのキャラの掘り下げみたいのは今回私の記事では割愛させていただきます。多分触れている方も多いはずですので)、ようやくスクールアイドル同好会へとたどり着く二人。

しかしそこに現れた生徒会長中川菜々によって、スクールアイドル同好会の活動停止が報告されます。

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とはいえ、これまでの歴代作品のような、生徒会による強権発動や学校都合とは少し趣が異なるようですが...。

掛かり始めたエンジンが、キーを差し込む手前で止まってしまった侑。

がっかりした感情を隠せない中で、慰めの言葉をかける歩夢に対して一つの「告白」をします。

やっぱり難しいのかな、夢 追いかけるのって

アイドルやるってそういうことでしょ?

自分の夢はまだ無いけどさ。

夢を追いかけている人を応援できたら、

私も何かがはじまる。

そんな気がしたんだけどな。

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フワっとした言葉で告げられる思いは、その実彼女にとっては結構重要な悩みでもあります。

「夢が無い」から「夢を追いかけている人を応援する」、そうしたら自分にとっての「夢」が見つかるかもしれない。

これは我々にとっても結構身近な話題だと思います。

 ハッキリとした夢を持って、それを目指して日々を過ごしていける人、なんていうのはかなり限られています。

大抵の人は自分の「夢」がなんなのかわからない。

それを探し続けるモラトリアムを体験するものです。

でもそんな最中「夢」を見つけるきっかけになるのが、何かを「好き」になることだったりします。

「好きなもの」ないしは「何かを真剣に好きでいる人」の影響を受けて、何かを始めてみる。そうするとそれをきっかけにして自分の「夢」に気づいたり、出会ったり出来るものです。

だからこそ侑にとってスクールアイドル優木せつ菜の存在は、本人が思っている以上に重要な存在だったはずなのです。

にも拘わらず、彼女は活動を休止してしまった。

登ろうとしたはしごのその一番最初の段で、そのはしごそのものを外されてしまった状態に、侑は陥ってしまっているわけです。

本人はまだその深刻さに気付いていないかもしれませんが、親友であるところの歩夢にとっては見過ごすことの出来ない「告白」。

だからこそ歩夢は一歩踏み出す「決意」を固めるのかな?と思えるのです。


■歩夢の独り立ち、ほんの少しだけ更新される二人の関係

 結局いつもと同じ「日常」へと回帰していこうとする侑。

反面歩夢はなにかを言いたげです。

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別れ際、「日常」と「変化」の分水嶺に立ち、歩夢は「変化」へと舵を切ります。

二人で....二人で始めようよ侑ちゃん。
私も見てたの、動画...スクールアイドルの....。
せつ菜さんのだけじゃなくて。たくさん。
本当にすごいと思ったよ。
自分の気持ちをあんなに真っすぐ伝えられるなんて。
スクールアイドルって本当にすごい。
私もあんな風に出来たらなんて素敵だろうって。
ごめんね最初に言えなくって。
本当は私もせつ菜さんに会ってみたかった。
けど会っちゃったら、自分の気持ちが止まらなくなりそうで怖かったの。
それでも動き始めたなら、止めちゃいけない。
我慢しちゃいけない。

 

私...好きなの!
ピンクとか、可愛い服とか今でも好きだし、
着てみたいって思う!
自分に素直になりたい。
だから見ててほしい。
私はッ....!
スクールアイドル!
やってみたい!!!

 

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実のところ、侑と歩夢とでせつ菜から受け取っていたものが「異なる」ことがこの歩夢の告白によって明らかになります。

侑はせつ菜をスクールアイドルを「応援する」対象として捉えていましたが、歩夢はせつ菜との出会いを通して「スクールアイドルをやってみたい」と思っていた。

けれどもその踏ん切りがなかなかつかないでいた。

そんな最中、侑の告白が彼女に踏み出す勇気を与えてくれたのではないかな、と思えます。

「夢が見つからない」親友にとって「その夢を見つけるために必要な存在」つまり「応援対象=優木せつ菜」がいなくなってしまったからこそ、自分がそれに代わる存在となりたい。

そんな侑への思いが、臆病故に踏み出せない現状から一歩踏み出す勇気を与えてくれたのではないかな?と私には思えるのです。

決意を胸に舞台=階段へと駆け上がる歩夢。

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階段を舞台として選んだのは、二人にとっての初めてのスクールアイドル体験=ときめき体験を得た場所が、優木せつ菜による階段上でのパフォーマンスだったからに他ならないでしょう。*1

彼女の心が動いた瞬間、世界もそれに応え、色を変えていく。

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序盤でせつ菜が見せたものを、歩夢もまた侑に見せることで、彼女がこの一瞬でスクールアイドルとしてまごうことなく覚醒した事実を、言葉ではなく映像を用いて伝える。

この映像が持つパワーと説得力をどこまでも信じ切った演出が、どこからどう切り取っても「ラブライブ!」そのものであり、我々ラブライブ!を大好きな人間であればこそ、きっとこのシーンに感動してしまうと思います。

披露される楽曲「Dream with You」では、歩夢の感謝の気持ちが歌詞として描かれていますが、それは「侑」と「スクールアイドル」という二つの「大切な出会い」にダブルミーニングとして掛かっている感謝の言葉のようにも聞こえてきます。

舞台から降りる歩夢。

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今はまだ.....勇気も自信も全然だから.........。

これが精いっぱい。

私の夢を....一緒に見てくれる?

 おずおずと差し出されるのは、あの日侑が「ときめきが足りない」と言って購入を見送ったパスケース。

侑が決めたレールに従っていく自分から外れて、二人で並んで進んでいくことを決めた歩夢の、侑に対するちょっとしたメッセージ。

そしてせつ菜に比べれば魅力も自信もまだまだなはずの自分自身が、侑にとっての「新たな夢」になることの決意を込めた贈り物。

一つのセリフ、一つの行為に様々なメッセージが込められているからこそ、この一つのシーンだけでも芳醇な味わいがあります。

そんな歩夢の思いを理解したうえで、それに答える侑。

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もちろん!

いつだって私は歩夢の”隣”にいるよ。

 それは「不変」の誓い。

でも実は、これまでとはほんの少しだけ変わっていくこともあるのです。

それは、これまでは歩夢の手を引っ張っていた侑が、歩夢の隣で一緒に歩いていくことを受け入れたということ。

二人の関係性はほんの少しだけしか変わりませんが、それによって二人が進んでいく道ははっきりと「変化」していく。

それを丁寧に、そして繊細に描き切った見事な「第1話」だったなと改めて感じました。

 

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ということで、第1話の感想でした。

ストーリー構成に無駄がなく、余分な要素が少ないからこそ、色々な部分で読み解ける余地もあるという非常に優れた作品だなと本当に思います。

今後の展開がとにかく楽しみですね!

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あとEDの一枚絵良すぎんか...................???

 

ということで来週(というか今日)も楽しみましょう!

ご一読ありがとうございました~!

 

 

*1:もちろん実際の虹ケ咲がはじめて9人でパフォーマンスをした場所=始まりの場所こそがせつ菜が歌い踊った階段である、というトリプルミーニングでもあるのでしょうが。