Love Live!Aftertalk!

妄想をただ書き連ねる覚書。更新情報等はTwitterにてお知らせしております。

-HORIZON-

horizon

名詞可算名詞

1地平線,水平線.

2[通例複数形で] 〔思考・知識などの〕範囲,限界; 視野 〔of,in〕

 

「未体験HORIZON」に関して思ったこととかをツラツラと。

 

 

HORIZON-国木田花丸-

 

一冊の本に国木田花丸が目を落とす。

その本は不思議なことに“白紙”で、そこには文字らしきものは何も刻まれていない。

けれども花丸は、そこに何かが書かれていること知っているかのように、愛おしげに過去あった出来事を回想する。

 

一つは一番の親友の思い出。

ある打ち合わせの際に、先輩たちに遠慮して自分の意見を言えずにいる少女がいる。

心の奥底に強い意志と情熱を持っているのに。それをあからさまには表に出せない奥ゆかしいあの子。誰よりも優しいからこそ、人の思いや言葉の方を尊重してしまう子。

花丸も、本質的にはその子に似ている。

おっとりしていて、ことさら自分の意見を主張したりはしない。

けれど、その子が隠し持っている素晴らしい才能を発揮してほしいから。

思うが儘に、自由に、“好きなこと”に一生懸命に取り組むその子の姿が見たいから。

そんな風に“好き”を語る彼女が大好きだから。

ほんの少しだけ勇気を出す。

花丸らしいやり方でその子の背中をそっと押す。

すると彼女の口から、思いが、気持ちがあふれ出す。

 

花丸はそんな彼女-黒澤ルビィ-を愛おしい表情で見つめる。

 

更に回想する。

もう一つは旧知の友人の思い出。

ダンスフォーメーションの方向性が一致せず、若干険悪な雰囲気になりかける部室。

それを和ませようとしてか、一ボケ入れる友人。

きっと、今までそんなことした経験が無いからだろう。

あまりにも手馴れておらず、半ば滑りかけた空気を繋ぐように花丸がその子に突っ込みを入れる。

すると空回りしかけた空気は自然と和み、その子を中心に笑いが起きる。

花丸は、それを少しホッとしたような表情で見つめている。

確固たる自分を持っている女の子。

それなのにどこか自分自身を愛せていなくって、ここではない世界に憧れてしまう女の子。そして結果的に独りぼっちになってしまった女の子。

けれど彼女自身が孤独を愛しているわけではなくって。

むしろその反対で。

誰よりも仲間を、友達を大切に思っている、けれどもそれを素直に表現できない女の子。

花丸は彼女にも似ている。

自分の世界に閉じこもった結果、独りぼっちになってしまった自分。

だけど、そんな自分でも“悪くない”と思わせてくれたきっかけをくれたのは、「ありのままの自分でいることの価値を示してくれたこの子」だから。

だからやっぱり花丸は彼女-津島善子-の“世界”を受け入れて、そんな彼女の“世界”に突っ込みを入れることで、“世界”そのものが”消えないように”保ち続ける。

 

国木田花丸がAquorsに加入して、やってきたことは大まかにはこういうこと。

誰かの背中を押したり。

誰かと誰かをそっと繋いでみたり。

時には敢えてボケ役を引き受けてみたり。

そうやりながら、自分ではない誰かの、あるいはAqoursというチームの「物語」を紡ぐ。

それって「損な役回りじゃないか」と思う人もいると思う。

けれど、これがきっと国木田花丸のやりたかったことであり、彼女にとってのちょっとした「境界線を越える」行為だったんじゃないかな、と思える。

 

スクールアイドルになるまで。国木田花丸という少女は「物語を読む」人であって、「物語を紡ぐ」人ではなかった。

1期4話のモノローグで「本の中で空想を膨らませ」るが「読み終わった時にはちょっぴり寂し」さを感じていると話したように。

「空想」を自分自身にフィードバックさせて、「形」にしようとはせず、そのまま完結させてしまう人。

ある種意図的に、自身と「物語」の間にキッチリとした線引きをするのが花丸だった。

「物語」は一時的に同化するだけの存在であって、自らが「物語」になろうとか、「物語を作ろう」といった願いは無かった。

いや、無いというよりは意図的に線引きしているような、ルール化しているような、そんな雰囲気すらあった。

けれど、彼女は黒澤ルビィに出会って、そしてルビィ伝いにスクールアイドルに出会って、ほんの少しだけ、自分の中にあるその“無意識下ルール”を破った。

ルビィとAqoursとを引き合わせ、ルビィと姉-黒澤ダイヤ-との間にあるわだかまりを解き、ルビィにスクールアイドルとして羽ばたいてもらう。

その「物語を紡ぐ」手助けをしてしまった。

 

すると気づいてしまった。

 

自らが「物語を紡ぐ」ことの喜びを。そして、自らがその「物語の住人」となることの楽しさを。

一時はその気持ちを“無意識下ルール”に従って封じ込めようとするも、真の思いを見透かしたルビィに手を取られる形で、彼女は自分が本来望んでいたもの=「物語を紡ぐ人」へと変化していくことを選ぶに至る。

「読む人」から「紡ぐ人」へと「境界線を越える」。

そこに彼女にとっての「HORIZON」を見出せる気がしてしまう。

Aqoursに加入した時点で、国木田花丸の願いは満たされた。

だからこそ彼女は自らが「目立つ」のではなくて、Aqoursの物語を「紡いでいく」ことに活動の重点を置いた。そう思えるのだ。

もちろん妄想だけど。

 

 

-バタフライ・エフェクト-

 

未体験HORIZONのPVにおいて蝶がモチーフとして選ばれたことに関して、試聴の段階では解を出すことは出来なかったけれど、全編を通して見るなかで感じたのは、これはつまり「バタフライ・エフェクト」のメタファーなのかな、ということだ。

 

-バタフライ・エフェクト-

バタフライ効果」(バタフライこうか)とは非常に些細で小さなことが理由で、様々な出来事を引き起こし、徐々に大きな出来事に変化していくことを指す。「バタフライ・エフェクト」と呼ぶこともある。

 

「その時には意図がわからない小さなことがきっかけとなって後に大きな影響を与える」

未体験HORIZONのPVで描かれるのは、そんな「小さなこと」の断片とその連続だ。

 

「自分を天使の生まれ変わり」だと宣言する善子の言葉を、花丸が受け入れたり。

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ルビィがふと目にしていた「スクールアイドル募集」のポスターに花丸が気がついたり。

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一心にスクールアイドル特集の雑誌を眺める花丸の姿をルビィが偶然目にしたり。

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そんなちょっとしたきっかけが彼女たちの人格を形作ったり、繋がりを生んだりして。

そしてそんなちょっとした繋がりが彼女たちをスクールアイドルへと繋げ、Aqoursへと繋げていく。

更に、影響はそれだけではなくて。

自分の気持ちを上手く言葉に出来なかったルビィは、スクールアイドルになることで、自主的にライブの舞台を選定していけるような積極性を手に入れる。

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それまでずっと独りぼっちだった善子は、スクールアイドルになることで、Aqoursという得難い仲間を得て、「友人とゲームセンターで遊ぶ」という平凡だけど、なによりも叶えたかった願いを成就させることが出来る。

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そしてルビィ・善子が影響を受けたのと同じように、花丸も彼女たちの「変化」に関与したことが自分自身に影響を与えていく。

ひっそりとだが、確かに胸の中に持っていた願い。

「自分自身の手で人を感動させる物語を生み出したい」。

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その一歩目として、作詞を始めるに至る。

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全て、きっかけは「気にも留めないようなちょっとしたこと」。

けれどそんな「ちょっとしたこと」が、成長に、願いの成就に、繋がっていく。

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「どうして皆“その瞬間を逃すな”って言うの?」「人生はその“瞬間”の連続なのに。」*1

大好きな映画のセリフを思い出す。

人生は大切な「瞬間」に満ち満ちている。

そして、その「瞬間」はあらゆる場所に、時代に、偏在している、「ちょっとしたこと」に過ぎない。*2

けれども大抵の人はその「ちょっとしたこと」を見落としてしまう。

その上で「不遇だ」「恵まれていない」と人生を憂いてしまう人も少なくない。

けれども起こること一つ一つを見過ごさず、落ち込まず、それを未来へとつながる「大切な瞬間」として受け止めることができれば、ひょっとしたら人生をもっと豊かに、大らかに生きることが出来るかもしれない。

「偶然」を「運命」と捉えなおすことで、救われたあのお話のように。*3

そう考えると、クライマックスで水平線に集まった無数の蝶は、この世界に数多とある「大切な瞬間」の象徴であるように映り、その蝶が青空に向かい飛んでいくのは、「偶然」を「運命」として捉えようと決めた誰かに会うためなのかもしれない、とも思える。

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違うかもしれないけど。

 

 

 

そう思えたら、素敵じゃない?

 

 

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-HORIZON あなた-

 

ちょっとしたきっかけで世界は変わる。

僕はそれを実感として知っている。

世界は変わった。少なくとも、このブログを始めてから。

このブログが無ければ出会えなかったあなたに、今こうして言葉を伝えられている。

それだけで、割と僕は満足だし、それが全てのような気もしている。

一人ぼっちの世界から言葉を紡いで。

それが僕のことを知らない誰かに届いて。

その誰かと会って、酒を酌み交わして、くだらない話をして。

新しい遊びを思いついたら、ここで出会った仲間に声をかけて。

その遊びがもっともっと遠くまで、多くの人との繋がりに変わっていく。

文章を書く、ってのは、思った以上に面倒くさい。

書く行為は時間食いだし、内容に関する自問自答も多いし、時には心無い言葉をかけられることもある。

けど得ることのほうが多い、と思う。

その得ることに対して考えれば、書くという行為のハードルはあらゆる創作活動の中でも最も低い、と思う。

だから、もしも今もあなたが”書くこと”に迷っているのだとしたら、是非言葉を紡いでみてほしい。

少なくとも僕は、ほかでもないあなたの文章を、“気持ち”を、読んでみたい。

多少手馴れてなくっても構わない。

それよりもあなたにしか書けない、あなたの世界を読ませてほしい。

そう思って、「ラブライブログアワード」なんていう身の丈に合わない大それた名前のイベントを今年も主催している。

 

もうすぐアワード2019の締め切り。

今回はどんな新しい出会いがあるのかな、と半ば傍観者の気持ちでワクワクしてる。

世界の広さを僕も知りたい。

だから。

境界線の向こう側にあなたが来てくれる日を、今この瞬間にも待ちわびています。

 

今日も、僕の記事を読んでくださり、ありがとうございました。

*1:(6才の、僕が大人になるまで)

*2:(それを示すようにPVにはあらゆる場所で蝶にメタファーされた“瞬間”が登場する。)

*3:(2期5話「犬を拾う。」)