Love Live!Aftertalk!

妄想をただ書き連ねる覚書。更新情報等はTwitterにてお知らせしております。

~pianoforte four hands~「Pianoforte Monologue」に寄せてのインプレッション

「Pianoforte Monologue」の話がしたい!!

そうは言うものの、Twitterでやると誰かの思考の妨げになりそう...ということで記事にしちゃいました。。

丁度1stLIVEで逢田さんが「想いよひとつになれ」を披露してから約1年となる節目の日でもありますし、今回の楽曲との関係も含めて考えてみるには良い日かもしれません。

※インプレッションなので纏まりの無い散文です。また、私の脳内妄想によって構成された記事ですので、予めご容赦くださいませ。

f:id:ishidamashii:20180225221007j:plain

・今回のソロ楽曲シリーズは、どこかキャストとキャラクターがオーバーラップしていく楽曲が多い印象だが、この楽曲はそれを特に強く感じる。

桜内梨子のソロ曲ではあるものの、彼女を演じる逢田梨香子の視点や現状とも多分に重なり合う。その境目が非常に曖昧になっていく所にとても魅力を感じる。この辺は後述できれば。

私の中 流れ出した
音がたくさんあるの
綺麗なだけじゃなくて
でもね どこか優しい音が

 ・1期1話で語られた通り彼女は音ノ木坂に在校しながら「スクールアイドル」にも「μ's」にも詳しくなかった。当時はその設定が「あり得ない」と批判されたが、今にして思えばやはり彼女の「背景」を語る上では欠かせない設定だったようにも思える。

幼少期からピアノに夢中で、そのピアノによって認められ音ノ木坂へと入学した梨子。そんな彼女にとって大事なものはピアノだけで、他の物には目もくれる理由も余裕も無かった。それだけ彼女にとって「ピアノ」というものは「絶対的な存在」だった。

ピアノを専攻する人間の多くが「クラシックピアノ」一本に挑むように、梨子もまたそうだった。それ故に彼女は他ジャンルの音楽にはそれほど詳しくない。そして彼女には「クラシックピアノ」の「音」のみが身体に流れている。それが内浦に来る前までの梨子の「状況」とも考えられる。だからこそ「スクールアイドル」の音楽にはまるで触れていない。そんな設定が生きてくるように思える。

・一つの「音」しか知らず、それのみに拘ってきたからこそ、その「音」が聞こえなくなった途端に「スランプ」に陥ってしまう。だからこそ「音」を聞くために「海に飛び込む」なんていう突飛な行動を取ろうともしてしまう。そんな梨子に「たくさんの音」を与えるきっかけになったのは、触れずにきた「スクールアイドル」の曲であり、「μ'sの曲」であった。「ユメノトビラ」との出会いによって彼女の中に流れ出した「たくさんの音」。

決して「綺麗」なだけではなく、どこか「雑多」な音だとしても、自分に「新たな気づき」と「音楽の喜び」を取り戻させてくれる音。それを総じて「優しい音」と表現するのかもしれない。

新しい 夢と涙
溶け合った コンチェルト
ずっとずっと 眠ってたの
心の熱い願い

目覚めてって あの日きっと
呼ばれてから 気がついた

 ・音ノ木坂に在校しながら「μ's」を知らないというのは、しかしどうにも「人間味」を欠く存在でもある。「ピアノ」に夢中であるあまりに失っていた人間性を、梨子は「スクールアイドル」として活動する中で獲得していく。

Aqours」としての目標は彼女に「ピアノ」以外での「新しい夢」を与え、その中で産まれる人間関係、達成、そして挫折が彼女の中に眠っていた「熱い願い」=「輝きたいという思い」を呼び起こしていく。そしてその「願い」が失っていた「音楽への渇望」と「音楽を楽しむ気持ち」を呼び起こし、結果として失っていた「ピアノを弾く喜び」をも思い出させていく。そうして梨子は救われていく。

その感情の「動き」もまた、「私の中流れ出した音」として表現されているように感じる。

一人で向かう 鍵盤だけど
感じる 一人じゃない
気持ちは いつも 繋がってるね
信じることができるから
なんでも恐れず やってみようと 決められる
強くなれるの

震えるほど 緊張しても
私を待つ 場所へ
向かおうと 息吸ってから
大きく 踏み出した

 ・歌詞ブックレットのイラストからも明らかな通り、ここからは1期11話「友情ヨーソロー」における「想いよひとつになれ」へ繋がる場面がイメージされる。それと同時にやはり1stLIVEでの「想いよひとつになれ」披露場面もクロスオーバーする。

元々ピアノ経験者では無い逢田さんが万単位の観客の前でピアノ演奏を披露するというのは、どれだけのプレッシャーか。想像も出来ないが、1日目では見事にそのプレッシャーを克服してみせた。ただし2日目ではミスタッチからバランスを崩し、演奏を止めてしまう事態に。しかしそんな時にAqoursのメンバーが声をかけ事態を収拾し、結果として逢田さんは再度ピアノに向かい、更にプレッシャーのかかる「再演奏」を達成してみせた。1stLIVEを語る上で欠かせない場面ながら、Aqoursの絆とチームとしての「強さ」を実感した場面でもあった。「信じられる繋がり」があるから「なんでも恐れずやってみよう」と思える。ここにはキャラとキャストのオーバーラップを強く感じる。

そっとそっと あやすように
指先 動かしたら
微笑んで アルペジオ
さあ自由になれる

あなたを音で 抱きしめたいの
受け取って この想い
ありがとうって声 届けたくて
弾いてるつもり このメロディー
なんて 大げさに 聞こえるかな でも本当よ
忘れないでね

 ・実際のライブでは「微笑む」シーンは無かったから、ここは梨子視点で描かれている印象が強い。「あなた」が誰なのか。複合的な見方が出来ると思う。

1期10話を文脈として捉えれば「千歌」と考えられる。梨子にとっての「ピアノの価値」をきちんと評価し、「Aqours」よりも「ピアノ」を選ぶことを支持する。そんな簡単ではない選択肢を躊躇うことなく選べる千歌は、やはり梨子にとっては恩人といえる。自分を「スクールアイドル」に引きずり込み、結果的に救ってくれた存在である千歌への感謝は必ずあるはずだ。

・とはいえ千歌だけでなく、その決定を受け入れるAqoursメンバーも、そして自分を変えるきっかけとなった「Aqours」というグループも、その根幹となる「浦の星女学院」の仲間たちも、更には「内浦の人々」も、「あなた」に含まれているように感じる。

ピアノなら 伝えられそう
みんなには 感謝してること
だから だから 何度でも弾きたい
喜びの調べを

 ・自分を救ってくれた存在全てに「ありがとう」と伝えたい。けれども梨子は多弁な人ではない。だからこそ「音」で、「ピアノ」で、「感謝」を伝える。そんな不器用さは梨子には「ピアノしかない」事実を改めて浮き彫りにするし、そんな彼女が「ピアノを失いかけていた」事実の「重要性」も伝えてくれているように感じる。「Aqours」は彼女にとって「人生そのもの」を救った救世主であり、だからこそ、梨子は多大な感謝をAqoursそのものに感じているはずだ。

・ピアノでしか「感謝」を伝えられないから、自分にとって一番大事な楽曲である「海に還るもの」を「想いよひとつになれ」という楽曲へ変えてAqoursに「渡す」。

この楽曲はそんな「楽曲に込めた心境を歌った楽曲」というちょっと複雑な構成になっている。故にこの「Pianoforte Monologue」は「モノローグ=独り言」であり、この楽曲そのものは誰の耳に届くものでもない。そしてそここそがこの楽曲の「キモ」なのだと個人的に感じている。

・ラストサビ後。後奏で、部分的だが通常の伴奏に合わせてピアノソロが加わる。それは丸で梨子の伴奏に逢田さんがピアノソロを加えているような、あるいはその逆のような印象を与える。

ここから感じるのは、ラストのみ入る歌詞に関して。

出会えて 嬉しくて 本当なの
忘れないでね

 これは「逢田さんから梨子への、そして梨子から逢田さんへのメッセージ」なのでは?ということ。

そしてその感謝の気持ちを裏付けるために互いの「気持ち=ピアノ」を重ね、「連弾」を作り出す、という演出が為されているのでは?ということ。

お互いに感謝の思いを「ピアノ」でしか伝えられないから、「ピアノの音を重ねる」。「梨子と梨香子」は「キャラ」と「中の人」ではあるが、「同一人物」でもある。多くの人への「感謝の歌」でありながら、究極的には「自分に向けて」の「感謝の歌」でもある。だからこそこの楽曲のタイトルは「モノローグ=独り言」なのでは?とも思える。

逢田さんによって息を吹き込まれたことで存在している梨子と、梨子という存在のおかげで「挑戦する」ことの価値を知った逢田さん。そんな二人の、互いにとっての「ラブソング」としても「成立」している。

いつか「ラブライブ!サンシャイン!!」という作品が終わり、二人に別れが訪れるとしても、この楽曲が互いへの「思い」を「刻み続ける」。いつでも「思い起こさせる」トリガーとなる。だからこそ「出会えて嬉しくて...本当なの 忘れないでね」と語る。

そんな「音楽のもつ力」を感じさせるのは、正しく「音楽の力」によって現状を打破しようとする「桜内梨子」というキャラクターとも繋がっていて。

故にこの楽曲が「桜内梨子」のソロ曲として非常に魅力的且つ優秀なのだとも感じる。

・3rdLIVEで恐らく披露されるであろうこの楽曲だけども、ひょっとしたらまたしても逢田さんがピアノに向かうのかもしれない。

バックに流れる梨子のピアノ演奏シーンと「Pianoforte Monologue」の伴奏に併せて、逢田さんがピアノソロを弾くとすれば、それは「桜内梨子」というキャラクターの「ソロ曲披露シーン」として、とても幸福なシーンになるように思えるのだけど。

そんな勝手な妄想をしながら、今一度1stLIVEの「想いよひとつになれ」を見返そうかなとか考えている。