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ラブライブ!ハイライト 第9話「ワンダーゾーン」

こんにちは、あるいはこんばんは。

今回は第9話「ワンダーゾーン」の考察となります。

前回いよいよ9人となったμ's。ここから彼女達の快進撃が始まる...かと思いきや、挟まれたのは南ことりに関する個人的な物語、「ワンダーゾーン」でした。一見メインストーリーとは異なるサブストーリーにも感じられるこの回。しかし実際には1期後半へと繋がる布石。更には物語の、あるいは「ラブライブ」というシリーズそのものの「思想」にも関係する結構大事な回だったりもします。今回はこの9話に潜む意味なんかを読み解きながら考察できればと考えております。それでは参りましょう「ワンダーゾーン」です。

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■第9話STORY

絵里、そしての加入によって9人となったμ's。メンバー増をきっかけにランクも急上昇。目標とするラブライブ出場もにわかに現実味を帯びていきます。練習に本腰を入れ始めるメンバー。しかしことりは「練習に参加できない旨」を伝えて学校を出て行ってしまいます。最近は特に「帰宅が早くなっている」らしいことり。どうやら事情がありそうですが...。

人気の急上昇をきっかけに、メンバーに対し「アイドル」としての自覚を持つ事を呼び掛けるにこ。少し過剰な対応策にメンバーは困惑気味?そんな中一軒のアイドルグッズショップに入るμ's。そこには目標とするA-RISEのグッズが。「いつか人気になれば自分たちのグッズもこの店頭に並ぶはず」。俄然モチベーションの上がるメンバー。しかし凛がふと手に取ったバッジ。そこには花陽そっくりの人物の写真が。というよりも、花陽その人のグッズが!?なんと既に無許可でμ'sのグッズが制作されていたのです。自分たちの人気の上昇を感じると同時に、その現実をどう受け取るか戸惑い気味です。

そんな最中グッズショップ店員に呼びかけるメイドさんが一人。「ここに私の写真があると聞いたんですけど!」。なにやら必死な様子。しかしその声は聞き覚えのあるもの。「ことりちゃん??」「ことり?なにをしているのです?」幼馴染の二人にはその正体がすぐに分かりました。自分がことりであることを認めずに逃げ惑うメイドさん。それを追いかけるメンバー。秋葉原を舞台にした壮大な追いかけっこの末、彼女は希に捕まってしまいます。その正体はなんと!というかやはり、南ことりその人なのでした。

「自分には穂乃果や海未のような取り柄がない」。スクールアイドルを始めるにあたって、思い悩んでいたことり。「自分がμ'sに存在する意義」。その答えと、ヒントを得るため秋葉原の街を歩き回っていたところ、メイド喫茶からスカウト。衣装の可愛さからなし崩し的にアルバイトを始めたのでした。しかし結果としてメイドの適性が開花秋葉原伝説のメイド」=「ミナリンスキー」として語り継がれる存在にまでなってしまったのです。とはいえ、このバイトはメンバーにも母親にも内緒の仕事。ばれないためにお客さんには「写真撮影」を禁じていたにも関わらず、イベント時に撮影された写真が流出。それを回収するために「練習を切り上げ」、秋葉原を巡回していたことが明らかになります。「メイドでいる時には、この街にいる時には、いつもと違う自分になれる」。だからこそ「ミナリンスキー」でいられる瞬間を大切にしたいことり。

「自分自身の中にある違った一面を演出し、表現すること」。それは「アイドル」として活動する上でも大事な視点のはず。次のライブ実施場所と、「ラブライブ出場」に向けて「インパクトあるライブ」をどのように演出するべきか思い悩んでいた絵里。ことりの一件をヒントに秋葉原」という場所を最大限に利用したライブ実施を思いつきます。また、そこで披露する楽曲の作詞を、ことりへと託します。

とはいえ作詞経験が無いことり。更には「詩にするべき内容」が思いつかず、ドツボへとハマっていきます。穂乃果はそんなことりを見かねて、ことりが「本来の自分を発揮できる場所」=「ミナリンスキーになれる場所」で「作詞」をすることを提案します。

「ミナリンスキー」である時には、より「自分らしさ」を発揮できると感じていることり。「この街は自分の多様性も優しく受け入れてくれる」「だからこの街が好き」。ことりの言葉から、作詩のヒントを得た穂乃果。その気づきをことりにも伝えます。「今、ここでことりちゃんが言ったことを、そのまま詩にすればいいんだよ」

生まれた曲は「ワンダーゾーン」。「本来の自分」或いは「自分の新しい一面」を「受け入れてくれる」存在へのラブソング。それはこの町を愛し、この町に救われたことりだからこそ作れた曲でもあります。

一つのカセを乗り越えて、成長を果たしたことり。それを後押ししてくれた穂乃果、海未との信頼関係はより深まります。互いの絆を実感した彼女達。「いつまでも一緒にいようね!」そう誓い合います。しかし、そんな彼女達の思いと裏腹に、一通のエアメールがことり宛に投かんされます。それはやがて物語を大きく動かす「うねり」の一因になっていくのです...。

 

■第9話での登場人物プロフィール

高坂穂乃果

9話ではことりの異変に気づきつつも、その原因を積極的に調査したりはせず。ある種ことりのことを信頼しているわけでもあるけども、反面彼女の変化に対して気付けてもいない。この辺りの「鈍感さ」が終盤の展開に対する「布石」にもなっている。とはいえ今回ことりの悩みに気付いた後には、それをしっかりとフォロー。「ことりなりの答え」を導き出すべく尽力した。

南ことり

今回の主役。穂乃果、海未へ目に見えないところで劣等感を抱えていたことが明らかに。「アイドル」として「自分に何が出来るのか」。それを探し求めた末に彼女がたどり着いた結論。その辺は後々。

園田海未

今回は目立った活躍はなし。μ'sに絵里が加わったことに一番感動していたのがハイライト。「ようやくまともなことを言ってくれる人が入ってくれた」と涙を流して感動していた。

小泉花陽星空凛西木野真姫

2年生組が軸となる回なので、1年生組は目立った活躍はなし。アイドルショップでの花陽のテンションの上がりっぷりは注目ポイントです(笑)。

 

東條希

3年生組も1年生組ほどではないが目立った活躍はなし。秋葉原を見事な脱走能力で逃げおおせたように思えたことりを見事な索敵能力で見つけ出し捕獲した。

矢澤にこ

すっかりコメディリリーバーとしての仕事が板についてきたにこ。アイドルグッズショップでμ'sのグッズが入荷されていることを知ったにこが、自分自身のグッズを探すシーンはその必死さも相まって笑いを誘う名シーンに。”中の人”のにこへの愛情をひしひしと感じるアドリブが炸裂し始めるのもこの辺りから。

絢瀬絵里

前回紆余曲折ありながらもμ'sに加入した絵里。これまでの尖りっぷりはすっかり影を潜め、μ'sを正しく導くメンターとしての役割を果たし始める。ルックス面でもμ'sの人気上昇に大きく貢献。「美人でスタイルの良い」メンバーは、やはり必須ということなのか。今回は穂乃果と共にリーダーシップを果たしていくことになる彼女の「最初の仕事」が描かれる回でもある。「お友達集団」を「アイドルチーム」へと変えていく作業。それは次回へも繋がっていく。

 

 ■第9話を読み解くポイント

☆その1 絵里加入とその意味

様々な葛藤を乗り越え、μ'sへと加入した絵里。そんな彼女がμ'sで果たす最初の役割が描かれるのがこの9話の見所でもあります。

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絵里が果たす役割とはどういった所にあるのでしょうか。一つは前回8話でも垣間見えた「ダンスのプロ」としての一面。「本気でバレリーナを目指した」絵里が指導面で果たす役割は決して小さくありません。多くのアイドルが振り付けやトレーニングにはプロの指導を要すにも関わらず、あくまでも学内の活動である「スクールアイドル」では、それをどのように補てんしているのかは明確にされていません。とはいえ、あくまでも「部活動」に近い扱いである「スクールアイドル」に、この時点でそこまで「力を入れている」学校も多くないであろうことを考えれば「プロの視点」をもった「指導者」がメンバー兼任として存在していることは大きなアドバンテージとなるように思えます。

あるいは「ダンスだけ」でなく、「精神面」の指導者としても大きな期待が持てます。生徒数が減った学校内で、消極的な理由において生徒会長として選出された...という設定もある絵里(SID出典)。とはいえ彼女が持つ指導力や人気、すなわち「カリスマ性」と総括できる要素はけっして「偽物」ではありません。海未が「ようやくまともなことを言ってくれる人が入ってくれました」と涙を流して感動するのも、けっして大げさではないのでしょう。

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彼女の指導力は今回9話、そして10話においてもしっかりと発揮されます。その後は徐々に「残念な発言」や「うっかり屋さん」っぷりを発揮して、「カリスマ性」に陰りを見せたりもするわけですが(笑)。とはいえ、大事な場面では穂乃果と並んで「決定していける」強い決断力を持った存在でもある絵里。彼女の加入がμ'sにとって大きな財産となることは、疑いようのない事実でしょう。(後に穂乃果がセリフではっきりと言うように)

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☆その2 人気の上昇とその影響

これからのSomeday」発表後あたりからじわじわと上昇していた「人気」。それが絵里と希加入後決定的に上向いてきました。

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現時点では50位。「ラブライブ予選」通過圏内の20位も見えてきました。人気の影響は様々な部分に影響を与えていきます。

にこは「アイドルである以上必須!」とメンバーに変装を促します。

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夏に差し掛かった時期にこの恰好は明らかに不振ですが。(後々このサングラスが劇場版に登場したわけですが、文脈も含めて完璧な伏線回収でしたね)

更に偶然入ったモグリのアイドルグッズショップではμ'sのグッズが販売中!!

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(本当にどうでもいいんですが、この世界の版権とかどないなってるんでしょうか?スクールアイドルに登録した時点で版権は運営に委託される契約になっている...とかなんでしょうか。それにしたって肖像権の問題はパスできていない気もしますが...)

などという野暮な突っ込みはもはやしません(している)。なんにせよ、メンバーが喜んでいるから良しとしましょうや(遠い目)。

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そんなこんなで、今やμ'sは業界の「最注目株」の一つ。故にメンバーにもより一層真剣に「アイドル」として自分を見つめ、成長していく心持ちが必要とされています。

そんな中で、その必要性を一番に感じ、思い悩んでいた人物がいました。それが南ことりです。

 

☆その3 ミナリンスキー

穂乃果が見つけた生写真。そこにはメイド姿のことりが映っています。

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時を同じくして店を訪ねてきたのは、写真と同じ姿のことり。どうやら穂乃果が見つめていた「生写真」を回収すべく秋葉原中を歩き回っているようです。

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思わぬ姿で現れたことりに驚き声をかける穂乃果たち。しかしことりは「自分自身をことり」とは認めず、逃げ出してしまいます。(その後あえなく捕獲されますが)

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彼女が逃げ出した理由は、練習を休んで「自分の都合」を優先させた後ろめたさが一点でしょうか。ただし彼女が後ろめたさを感じるのは「その一点だけ」ではありません。恐らく「メンバーに隠していた自分の一面」を見られることに気恥ずかしさを感じているように思えます。

さて、ここからは今回のメインテーマ南ことりにとってのミナリンスキーとは何なのか」を掘り下げていきたいなと思います。ことりにとっての「ミナリンスキー」とは「南ことり」の「一面」というだけでなく、「多様な意味」を持つ存在だと考えます。今回はそれらを大きく3つに分類しつつ、細かく考察してみたいと思います。お、なんだか久々に考察っぽいぞ、今回は(笑)。

 

南ことりにとっての「ミナリンスキー」とは何か。

①自らの「多様性」を「相対化」し、「肯定する」ための存在。

これは我々視聴者も誤解していた要素ですが、ことりは周囲の評価に反して、極めて自己評価の「低い」人物として描かれています。

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我々にとってのことりは「ザ・アイドル」という存在。誰が見ても一目で「可愛い」と感じるルックス。甘々ボイスにフワフワで柔らかそうな雰囲気。「女の子が憧れる女の子」を体現した存在。それが南ことりです。

反面9話においてことりが語るのは「自らがμ'sで果たす役割が見えない」という悩みであり、「穂乃果や海未に比べて自分自身には取り柄がない」という思わぬ独白でした。「誰しも自分への評価は低いもの」とは絵里の談。絵里の言う通り、大抵の人は「自分の長所」を自分自身では理解していません。

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しかしながら「アイドル」という仕事は「自己プロデュース」の側面が強い業種。どうしても「自分自身の価値」を「自己評価」し、それを「他者にどのように見せるか」を「把握する」必要があります。

それはある種「自分自身の多様性」を「理解」し、それを「相対化」する作業にも繋がります。ことりにとって「ミナリンスキーになる」ことはその「作業」を行うことでもあるはずです。

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「ミナリンスキー」と「南ことり」には、一見して「差異」は感じられませんその実両者に「差異」など存在しないのです。では「ミナリンスキー」と「南ことり」を分ける要素とは何でしょうか。それは即ち「属性」です。

一介の女子高生に過ぎないことりは、「ミナリンスキー」になることで「メイド」という「属性」を手にします(本来のメイドではなくメイド喫茶のメイドである...というのもポイントです)。人によってマチマチとは思いますが、ことりに関してはこの「属性」が「自分自身の多様性」を知る上で大きな後押しとなりました。

メイドカフェにおいて「メイド」として働く中で、「自分自身に隠されていた適性」を発揮し始めたことり。彼女の中で眠っていた「彼女本来が持つ魅力」が、あえて「メイド」として「カテゴライズ」されたことで発揮されるようになったわけです。

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またことりにとっては、この「ミナリンスキー」が「他者から一定の評価を得た」ことも「大きな自信」に繋がりました。これまで「自分には取り柄がない」と思い込んでいたことり。しかし「彼女を求めやって来るお客さん」や「彼女を必要とする店舗」の存在が、彼女に「自信」を与えたのです。他者からの「自己の評価」はすなわち「自己の相対化」にも繋がります。つまり「ミナリンスキー」としての活動は、ことりが必要としていた「アイドルとしての自己プロデュース」を意図せず「成立させていた」という事実に繋がるわけです。故にことりは「ミナリンスキー」である状況を大事にし、守りたいと願っているわけですが、反面ことり自身は「その事実」に気付いてはいません。

あくまでも「ミナリンスキーはミナリンスキー」であり、その活動が「アイドル活動」に通底するとは考えていない。故にその価値を誰かがことり自身に「理解させる」必要が出てくるのです。

 

②アイドルとしての「アイデンティティ」を確立する為に必要な存在。

「ミナリンスキー」としての活動が「μ'sとしての活動」と地続きにはなっていないことり。だとすれば、両者に「接点」を与える作業が必要になります。

ラブライブ出場に向け、インパクトのあるライブを実施する必要のあるμ's。そんな中絵里が思いついたのは、「秋葉原でライブを開催すること」でした。披露するのはその日のために用意するオリジナル楽曲。その作詞を「秋葉原のことを最も理解する」ことりへと託す絵里。

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この采配が南ことり」と「ミナリンスキー」とを結ぶ最初の「フック」となります。とはいえ、作詞を託されたものの、思うように進まないことり。真面目ゆえに、その弊害は学校生活にもおよび、いよいよ先生からもお呼び出しを受けてしまう始末です。

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ことりがここまで「作詞」に思い悩む理由とはなんなのでしょうか。それはやはり彼女が、自分自身に南ことり」という「カセ」を付けてしまっているからなのでしょう。

ことりが作詞する際に凛が言った「凛もことり先輩の甘々でフワフワな歌詞で歌いたいニャー♪」という言葉。これこそ対外的にみた「ことりに対する評価」を象徴するものです。

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周囲が期待する「自分」。それは「甘々でフワフワな女の子」。それをことさら素直に受け止め、表現しようとするあまり、「自分の本質」を描けなくなっていることり。これこそ、「ミナリンスキー」になる前のことりが抱えていた「カセ」の正体なのでしょう。

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周囲が自分に期待するキャラクターは把握している。ただしそれだけが自分の本質ではない。故にそのキャラクターでは「自分の本質を表現する必要のある」「作詞」は出来ない。だからこそことりは作詞にここまで「苦しむ」のでは?と思えるのです。

ことりの苦しみの正体を把握するのは、やはり穂乃果。彼女が提案する「一番良いやり方」が、ことりに光明を与えます。

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それは「ミナリンスキー」の状態で「作詞」をすること。一端普段の「南ことり」から彼女を切り離し、彼女が最も「活き活きしている」状態に持ち込むことで、結果的に「南ことり」という「カセ」からも彼女を解放することが出来ました。

「ミナリンスキー」の時のことりを「いつもよりも活き活きしている」と表現する穂乃果。ことりはそんな穂乃果の言葉に対し

「この服を着ていると出来る....っていうか」「この街に来ると不思議と勇気がもらえるの」「もし思い切って自分を変えようとしたら、この街ならきっと受け入れてくれる気がする。そんな気持ちにさせてくれるんだ。」「だから、好き!」

と答えます。

その言葉に対し「今ことりちゃんが言ったことをそのまま歌詞にすれば良いんだよ!」と答える穂乃果。彼女のこの言葉は無意識に発せられたものではありますが、その実南ことり」と「ミナリンスキー」を直接的に「結びつける」きっかけとなる言葉になりました。

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これまで無意識に分けられていた「南ことり」と「ミナリンスキー」。しかし穂乃果のこの言葉をきっかけに両者は結び付き、「一体化」することになります。それは結果としてこれまでは「秋葉原」という場所限定にしか存在しなかった「ミナリンスキー」という人格を、ことり自身が「南ことり」の一部として受け入れ、「肯定する」ことにも繋がります。

果たして「自己肯定」が出来るようになったことりは、「ミナリンスキー」としての自分の「個性」を「南ことり」の中に受け入れることで、「ミナリンスキー」が持つ「アイドル性」をも同化させるに至ります。要するにここに至って遂に南ことり「スクールアイドル」としての「アイデンティティ」を確立するに至るわけです。その成果として披露されるのが「ミナリンスキー」の恰好のまま「μ's」として披露する楽曲「ワンダーゾーン」なわけですね。

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ワンダーゾーンの歌詞で歌われるのは「強い私へとなれるミライ」です。この表現は「現状を肯定」したうえでそれを「強化」した表現となっています。決して「新しい私」ではないのです。そんな部分にも、この物語の本質が表現されているように思えます。

 

③「カミングアウト」する存在としての「ミナリンスキー」

ここはかなり穿った見方ですが...。

これまで自分に自信がもてなかったことり。そんな彼女がしっかりとした「アイデンティティ」を確立する。それがこの第9話のメインテーマです。その中で必須となったのは「他者からの承認」でした。自分自身の中ではどうしても「一体化」することが出来なかった「ミナリンスキーとしての自分」と「南ことりとしての自分」。その両方とも「南ことりなのだ」と承認してくれたのは、ほかならぬ穂乃果です。

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困ったときには思わず「ホノカチャーン」と弱音を吐くことでおなじみのことり。彼女にとって穂乃果はとても「大切な存在」です。そんな彼女に対してすら明かしていなかった「ミナリンスキー」としての自分。とはいえ、「ミナリンスキー」はしょせんただの「メイドさん」です。そこまでひた隠しにするような「要素」とは思えません。とすれば「ミナリンスキー」にはもう少し「深い存在意義」が隠されているようにも思えます。 

ラブライブにおいて大切な要素の一つとしてあるのは、「多様性を容認する環境」を是とする...というポイントです。本作が米国ドラマ「Glee」の影響を強く受けているのは明白。

そう考えれば「自分の本質を理解し、公表すること」。更には「それを受け入れる社会と環境の重要性」をメインテーマとして捉える同シリーズのテーマ性にも強い影響を受けているのでは?と考えてしまうのも自然です。

ともすれば「ミナリンスキー」は「セクシャルマイノリティ」ひいてはそれに準ずるものの「メタファー」として用意されているようにも思えてきます。そうでなければことほど左様に「受け入れる場所」や「大切な人からの承認」といった要素を強調する必要性を感じないからです。

また、これが「ラブライブ」シリーズのテーマとして受け継がれているように感じるのは、同じテーマがサンシャイン5話「ヨハネ堕天」でもリブートされているからです。「ラブライブ」の訴求層を考えて「セクシャルマイノリティ」としては描かれないこれらの要素ですが、深い部分ではそれらに対する視点が共有されているように思えるのです。まぁこれはかなり尖った考え方なので、参考にしないでいただいて大丈夫ですが(笑)。

 

☆その4 秋葉原

ミナリンスキーとしてのことりを受け入れ、「ワンダーゾーン」を披露したμ'sをも受け入れた街秋葉原。絵里はこの町を「次々新しいものを受け入れて 日々変化していく場所」「この街はどんなものでも受け入れてくれる」と表現しました。

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いわば「多様性」の象徴として、この後も何度か登場する秋葉原。この絵里の言葉は実は「劇場版」にまで引き継がれていきます。ラブライブを語る上で絶対にはずせない「劇場版」。そのストーリーに強く影響を与えている回の一つが、今回の「ワンダーゾーン」です。故に冒頭ラブライブ」シリーズそのものの「思想」にも関係している...と書かせていただいたわけなのでした。

 

☆その5 ずっと一緒

今回の一件を乗り越え、更に強くなった2年生3人の絆。3人横並びに立って思い出すのは、あの「ファーストライブ」です。

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「始まり」を思うことは同時に「終わり」を思うこと。ことりはやがて「終わってしまう」「スクールアイドル」としての日々に憂いを滲ませます。

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そんなことりの不安を吹き飛ばすために穂乃果は「大丈夫、ことりちゃんと海未ちゃんとずっと一緒にいる」と宣言します。その言葉に安心そうに微笑むことり、海未。

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f:id:ishidamashii:20170619020538j:plainしかしそんなやり取りの裏では、一通のエアメールが届けられようとしています。これが彼女達の関係性をも揺るがす、大きな出来事の発端となることを、この時の彼女達はまだ知る由もないのです。

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今回語られた「ずっと一緒」という言葉。これが「ラブライブ」という物語における「メインテーマ」に直結する言葉にもなっていきます。

この世に決して存在しない「永遠」という概念。だとすれば、そこに近づくために「何をすれば良いのか」。その答えを追い求め、一旦の答えを示したのが「ラブライブ」という「シリーズ」でした。物語はいよいよ佳境へと移っていきます。このお話はその時まで取っておきましょう。

 

というわけで、9話考察でした。

今回はすこーし分かり辛い内容になっていると思いますので、また適宜加筆修正していくと思います。申し訳ございませんが、何卒ご了承くださいませm(__)m

さて、次回は真姫と希のお話。こちらも重要っちゃあ重要なので、引き続きよろしくご愛顧願います。

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