残るは4人。今回は堕天の女神です。
■津島善子
「己の性(サガ)と真っ向から向き合う。細いが強い不屈の魂」
津島善子はいわゆる「厨二病」というカテゴリーに含まれるキャラクター。
田中ロミオ氏の小説「AURA 魔竜院光我最後の戦い」をきっかけにその存在がメジャー化し、同作品にインスパイアされた「中二病でも恋がしたい」で一気にスタンダード化した「厨二病キャラ」。
実のところ「ライバル作品」(というか先輩シリーズ)に既に「同じカテゴリー」のキャラクターがいて、そちらがなかなかの人気を誇っている事もあり、「とりあえず出しておけば、一定の人気は獲得できる」という安牌な雰囲気を醸し出しているキャラクターでした。
しかしながら、ある程度のキャラクター数がいる「先輩シリーズ」の中ではそれほど目立たない「厨二病キャラ」だが、こと「ラブライブ」となると、その扱いが難しいだろうとはキャラクター発表時から感じてもいました。
しかも、アニメとなると「ストーリー重視」になる「ラブライブ」では、それが顕著になる。
果たしてどのような動き方をするのか、読めないところもありましたが、いざアニメの中ではその「個性」を活かして存分に活躍してくれた...という印象が強いですね。
主役回である5話「ヨハネ堕天」において、自らの「厨二病」を「卒業しなくてはならないもの」ではなく、「自分の一部」として受け入れた善子。
しかし、それはAqoursのメンバーが善子にとっての「ヨハネ」を「厨二病」のような「一時的な病」としてカテゴライズせず、善子の持つ「立派な個性」として「受け止め」「受け入れる」ことを認めてくれたからこそ。
善子自身そのことに強い「恩義」を感じており、それが5話以降の彼女の言動や行動にも現れていきます。
例えば8話「くやしくないの?」では、千歌を上手く励ませないメンバーを尻目に、一番最初に慰めの言葉を発するのが善子。
それまで他人を励ました経験のない善子の言葉は不器用そのもので、それを花丸にもからかわれるわけですが、そんなふとした行動からも善子の「Aqoursへの思い入れ」が伝わってくる名シーンになっていました。
あるいは最終話13話。
地区最終予選の準備中、緊張を隠せないルビィと花丸を励ますのは善子。
本来捨てるはずだった「ヨハネ」を救ってくれただけでなく、それを大きな舞台にまで導いてくれたAqoursへの感謝を、「ありがとね」という短い言葉で示すシーン。
ここにも善子の「Aqoursへの愛情」をしっかりと感じました。
善子にとっての「ヨハネ」はある種の「性(サガ)」のようなもの。
決して簡単に「捨てられるもの」ではない。
だからこそ自分が「ヨハネ」でいられる場所=Aqoursは彼女にとって非常に重要なもの。故に善子はAqoursを献身的に守ろうとするのです。
「善子=ヨハネ」のキャラクターの強固さは、Aqoursメンバーでも屈指。
どれだけシリアスなシーンでも、コミカルなシーンでも「揺らがない」のが善子。
それは恐らく今後Aqoursに降りかかるであろう「外圧」に対しても同じ。
いつか彼女の「不屈」にして「気高い精神」と、「Aqoursへの強い愛情」が、Aqoursのピンチを救う時が来るのではないかと、今は密かに期待しているのです。