第4回はうかつな策士 ダイヤ様です。
■黒澤ダイヤ
「ある時は強敵 ある時は味方 そしてある時は黒幕。Aqours再結成に向けて奔走する"苦労人”」
ダイヤ様はアニメ化に際して最も※”花田マジック”の餌食になった人なのではないか。
(※ アニメ化に際して大きくキャラクター変更が強いられる脚本家花田十輝氏の手法。前作ラブライブでは、にこ・真姫・希などがマジックの対象になった印象がある)
初登場時から「うかつさ」を存分に見せつけ、「自分にも他人にも(妹含む)厳しい、苛烈な人物」という設定は影を潜めた。
とはいえ、もしもダイヤ様が元の性格のままだとしたら、「皆で進む」という「ラブライブ!サンシャイン!!」という作品の中では魅力を存分には発揮できなかったかもしれない。
前作ラブライブにおける穂乃果のような「強力なメンター」がいない、というよりも「あえて設定しない」ことを目的にした「ラブライブ!サンシャイン!!」では、何よりもメンバー間の「チームワーク」が重視された。
その中でダイヤ様が与えられた役割は「狂言回し」。
「賛否」はあって然るべきだけど、少なくとも作劇という部分おいて、この配置はハマったように感じる。
シリアスな空気になりかけた時には、得意の「ブッブッブーですわ!」で見ている我々を和ませ、Aqoursが調子に乗りそうな時には「スクールアイドルに対する深い愛情と知識」で彼女達を諭し、逆に落ち込んだ時には「自分の経験談」と「スクールアイドルの現状」を語ってロジカルに励ます。
穂乃果のような「強烈なリーダーシップ」を持つメンターではなく、あくまでも本来の「導き手としてのメンター」の役割をダイヤがこなしてくれることで、物語が止まることなく回り続ける。
また活躍はそれだけに留まらず。
「スクールアイドルを始めた」千歌を窘めながらも、巧みに叱咤激励し、その裏では「スクールアイドル再結成」をきっかけに戻ってきた鞠莉を巧みに操作。
鞠莉の行動で果南を刺激し、彼女の本音を引き出して鞠莉との和解を狙う。
最終的にはAqoursへの再加入を画策し、達成する。
まさに八面六臂の活躍っぷり。
流石に全てが「ダイヤの掌の上」すぎて、理屈が通らないところとか、矛盾しているところとか、ご都合主義的過ぎなところとか、諸々あるんだが、もはやそれほど気にならなくなってくるのは何故なのか。
それもこれもダイヤをそんな行動に走らせる原動力が、「卑近な欲望」などではなく「スクールアイドルが好きだから」という「どこまでも真っ直ぐで純粋」な一点に支えられているからだろう。