Love Live!Aftertalk!

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ラブライブ!サンシャインハイライト 第6話「PVを作ろう」

いやぁ、9話最高でしたね(しみじみ)。

そんな「もはや何周遅れか計算するのすら億劫」になってきた分析ブログがこちらです(白目)。

さて、もはや”遠い昔”のような気すらしてくる第6話「PVを作ろう」を振り返りましょう。

この回はいつもよりはコンパクトに行けそうです??

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■「統廃合」という課題。

前回5話のラストシークエンスは鞠莉に詰め寄るダイヤ、という不穏な形で終わりました。その内容に関して様々な憶測がありましたが、おおよその予想通り「廃校」に関してでしたね。

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生徒会長であるダイヤはもちろん知っていたようですが。

それだけでなく、彼女たちが1年生の時からほぼ「確定事項」としてあったことが、二人の会話からうかがい知れます。

となればμ'sを崇拝するダイヤであれば「スクールアイドルになって学校を廃校から救おうとした」というストーリーラインも容易に想像が出来てしまいますね。

ではなぜその計画が「頓挫したのか?」というのがこの後の重要なストーリーラインとなっていくのでしょう。

 

さて、「統廃合」というのは前作「ラブライブ!」の「廃校」をどうしても意識してしまう設定です。

個人的には「今回(サンシャイン)では廃校プロットは使えないと思うけど、どう物語を展開するのかな?」と思っていたので、このプロットには少しがっかりしたところもありました(もちろん前回と違う活用法をして、物語を豊かに展開していただけるのであれば、なにも不満はありませんが)。

とはいえ、「沼津の内浦の女子高」が「統廃合の危機に陥る」というのは、「都内の国立の女子高の廃校」よりもずっと説得力があります

余談ですが、この間休暇を利用して内浦を訪ねさせていただきました。

非常に豊かで良い場所であるのはもちろんなのですが、やはり「沼津市に高校があった場合」の対抗馬としては厳しい場所という感覚は否めません。

それこそ千歌のように「家が近い」などの理由の子しか通わなくなるのでしょう。

実際、物語上では入学希望者自体が年々凄まじい勢いで落ちています。

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「人口減少に伴う学校の統廃合」というのは、地方では実際に起きている現象なので、「物語を陳腐にしない」効果も生まれています。

 

それでは前作「ラブライブ!」では「廃校問題」がどのように扱われたかを改めて振り返っておきましょう。

ラブライブ!」では「学校の廃校危機」を知った穂乃果が

「スクールアイドルになって活躍し、学校の知名度を上げる」=「学校を廃校から救う」

ことを目標とする、ことから物語がスタートします。

すなわち「廃校危機」は「スクールアイドルを始める動機」として機能しました(物語序盤)。

しかし、μ'sが順調に知名度を上げ、最後まで「スクールアイドル活動を通じての廃校阻止」に「反対」していた絵里をメンバーに迎えると、唐突に「廃校は中止」となります。

「何故廃校が中止になったのか」に関して物語上では具体的な説明が為されません。(μ'sの活躍によって入学志望者が増えたという旨の説明はあった気がしますが)

「ここで物語が終わってしまった場合」には現代作劇で嫌われる「デウスエクスマキナ」に当たる為悪手となります。

しかし「ラブライブ!」の場合ここで話が終わりません

 

物語は「これまでμ'sを引っ張ってきた穂乃果の脱落」から「ことりの留学」というプロットを通じて、「本当に語りたいテーマ」に移行していきます。

ここで挟まれる「ことり留学」プロットに関しては、「ラブライブを受け入れられる人」と「拒絶する人」を図る試金石になるくらい、物語上の「ノイズ」となってしまっています。

※この記事は「サンシャイン9話」放映後に書いているので、「ことり留学プロット」の意図に関してはTwitterで説明させていただきました。詳しい内容は是非そちらを読んでいただけるとありがたいです。(全部貼り付けると9話のネタバレも含んでしまうので…)

「ことり留学」プロットの目的とは何か。

端的に説明しますと、「留学」という事象を通して「不変なものなど無いこと」を端的に表現すること。

その出来事を通して「今を大切にする」という「本当に語りたいテーマ」を表現することでした。

すなわち「最初は物語の主軸」として登場しながら、結果として

「メインテーマを描くための目くらまし」として「廃校問題」があった

ことが分かるわけです。

※これをマクガフィンと呼びます。

この辺の作劇に関しても説明している方が少ないので、ピンと来ていない方も多い気がしますが…。

何はともあれ、このようにラブライブ1期作劇場の重要なトリック」として使用されていたため、「サンシャインでは同じものは使えない」と私は思っていたわけです。

実際この「廃校問題」を「ラブライブ!」と同じような扱い方をしてしまうと、物語自体が陳腐になってしまいます。

何故なら視聴者である我々は「どうせそれは免れるんだろ?」と心のどこかで思ってしまっているからです。

その理由は「ラブライブ!」で同じストーリーをやってしまっているから。

観客である我々はその「緊張」を心の底から信じることはできません。

では、「サンシャイン」では「廃校」をどのように扱ったのでしょうか。

■「廃校」の客観化。

「統廃合」の噂を聞きつけたのはルビィでした。

彼女の情報を聞かされるスクールアイドル部の面々は俯き悲しげ…

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かと思いきや、

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千歌は嬉しげです。

それは「動機」を得たから。

これまで「μ'sに憧れ」てスクールアイドルを始めた彼女には、「憧れ」以外に「スクールアイドルをやる」具体的な動機がありませんでした。

しかし「廃校」という問題は、彼女が憧れる「μ's」の物語をなぞること。

千歌は「μ'sのフォロワー」として、その事実に無邪気に喜んでいるわけです。

 

新入生である1年生勢も

「都会」に無邪気な憧れを抱く花丸は「統廃合」に賛成。

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元々沼津市内から内浦に通っている善子も、特に困ることはないようです。

(中学の友達には会いたくないそうですが)

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…と、こういった表現から分かるように彼女たちは「統廃合」をことさら「重要な出来事」とは捉えていません

ラブライブ!」での穂乃果の場合、第1話で学校を隅々まで周り、改めて「この学校が好きだ」ということを自覚し、「廃校阻止」に向けて気持ちを固めましたが、今回Aqoursの面々にはそういった描写もありませんでした

ここから感じるのは、今回は「廃校」を前作と同じアプローチでは使わないよ、という製作者サイドの意志表示です。

今後「統廃合」がどのように物語に絡んでくるのか分かりませんが、個人的には「もはや覆らない決定事項」として機能する可能性を感じています。

彼女たちが「今は」無邪気にはしゃぐ道具にしている「統廃合」。

しかしそれが「現実」として眼前に迫るとき、彼女たちはどんな反応をするのでしょうか。

けいおん」以降様々な形の「青春」を描き続けている花田十輝氏ならではの「胸を締め付けられるような」シナリオに今から期待が膨らみます。

■PVを作ろう!

ラブライブ!」1期6話と同じく、今回は自分たちの「PVを作る」というお話でした。

Aqoursが「PVを作ろう」としたきっかけは「廃校阻止を達成したμ'sが一番最初にしたこと」だったから。

やはりここにも「μ'sのフォロワー」としての側面が出てきます。

ただしμ'sがあくまでも「学校」をアピールするため「これからのSomeday」を校内で撮影したのとは違い、Aqoursは「内浦」をどのようにしてアピールするか、を思い悩みます。

この「学校という狭いエリア」でなく「地域を巻き込む」という視点が今作「サンシャイン」独自のポイントでしょうか。

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内浦のアピールを試みるも、やはり「あるもの以上」のものは出せず、さっそく手詰まりに。

そこで「内浦近郊」まで範囲を広げてアピールを試みますが、

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伝わるのは「田舎」故の不便さや大変さばかり。

「都会」に憧れる彼女たち(梨子を除き)は、地元「内浦」の魅力を今一つ理解出来ていません。

結果として地方自治体が作った観光PRビデオのような内容になってしまい、

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思わず理事長もウトウトするくらい「退屈」な内容に。

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あまりの不甲斐ない内容に鞠莉も「このトゥエイタラークですか!」と失望。

思わず反論するメンバーには「努力の量と結果は比例しまセーン!」というごもっともなご指摘

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鞠莉がこの内容に怒っている理由は千歌たちが「内浦の魅力」を「理解出来ていないから」

今回のテーマとは千歌たちが「内浦を知る」ことであることがここから分かりますね。

内浦の魅力とはなんなのか?鞠莉は答えを知っているようですが、敢えて千歌はそれを聞きませんでした。

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千歌宅で答えを探るAqours

しかし話し合いではその結論が出ません。

そんな中、内浦の海開きが行われます。

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近隣の人々が皆「海開き」という目的のために、早起きし、提灯を持って海岸の整備をする。

都会育ちの梨子には、その「田舎ならではのコミュニティ」が新鮮に映ります。

そして朝の闇の中、無数に灯る提灯の暖かな光に梨子は「可能性」を見出します。

「これなんじゃないかな? この町や学校の良いところって」

そんな言葉に千歌もようやく気づきます。

「海」「空」それを照らす「無数の光」

それは無意識に排除していた「内浦の持つ魅力」でした。

「ここには何もない」「誰か助けて」

そんな思いが千歌の目を曇らせ、「内浦が本来持っていた魅力」を隠していたのです。

そしてその魅力に梨子が気付けたのは、彼女が「外様」だから。

それは鞠莉と梨子に共通する要素でもあります。

これにインスピレーションを受けた千歌は、楽曲PVの構想を話し、人々に協力を仰ぎます。

夢で夜空を照らしたい

楽曲PVの構想とは、「海岸に集まった無数の提灯を空に打ち上げる」ことでした。

それは「視覚的な美しさ」だけではなく、文脈的な意味も持っています。

ミュージカル作品である以上、歌詞を読めば分かりますが

気持ちだけ 他に何も無い

 違うんだよ こっち来て心の目で見たら

 誰の胸にも 願いがある

 大切な この場所で 感じてみよう

 波が映した 星の輝き  遠いあこがれの色
 いつか 叶うことを 信じれば
 明日への道が多分 分かるんだ

 それは階段? それとも扉?
 夢のカタチは いろいろあるんだろう
 そしてつながれ  みんなつながれ
 夜空を 照らしにいこう

 消えない 消えない 消えないのは今まで自分を育てた景色
 消さない 消さない 消さないようにここから始まろう
 次は飛びだそう
 それは階段なのか  それとも扉か
 “確かめたい夢に出会えて よかったね”って つぶやいたよ」

 

 ラストシークエンスで千歌が独白するように、千歌はずっと内浦という場所を

「ここには何もない」と思って暮らしていました。

ただしそれは一方的な思い込みで、この内浦にも「無数の人」が暮らしていて、その人たちも「無数の夢」を持ちながら暮らしている。

そしてそんな人たちの「無数の夢」が「自分の育った土地=内浦」を照らし続けるおかげで、自分が今ここにいられる。

その事実に千歌もようやく気付けたわけです。

だからこそ「無数の夢」を「スカイランタン」に見立て、それを空に打ち上げ、夜空を照らしだすことで、「内浦が大勢の夢によって照らされた美しい場所」であることを視覚的に表現しているということですね。

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千歌が最後に告げる”宣言”

「この場所から始めよう」

が感動的に響くのは、そんな千歌の成長が背景にあるから。

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この日、どんなシチュエーションでもVTRカメラのレンズから目を外さなかった曜が、思わずレンズを下に向けたのは、「この景色をレンズを通さず目に焼き付けたい」と思ったからでしょう。

歌の内容も含め、非常に感動的な回でした。

…さて、というわけで第6回の考察でした。

今回は割とまとまった気もする。

いや気のせいか。

2回とか3回がちょっとうまくまとまっていないので、機を見て書き直します。。

※ただ今バンダイチャンネルさんのyoutubeチャンネルで、再放送がご覧いただけます!不正な視聴をせずとも見られますので、是非振り返りにご利用ください!!