読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Love Live!Aftertalk

妄想をただ書き連ねる覚書。

TVアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」に関しての全体を通しての総括。「一つのヒカリを目指す物語」 

アニメ ラブライブ!サンシャイン 考察

いよいよ明日はAqoursの1stライブ。

これまで「キャラクター編」「楽曲編」と作品を振り返ってきましたが、今回は集大成「物語編」と題して、全13話を総括していきたいと思います。

実の所前回「MIRAI TICKET」に関する考察記事でやりつくした感もありますが(笑)。

また、各考察を既に読んで頂いた方には、重複してしまう部分もあると思うのですが、そちらも何卒ご容赦を<(_ _)>

 

■「憧れ」から発する「願い」を「肯定する」第1部(1話~6話)

「サンシャイン」の物語は、1話~6話7話~9話そして10話~13話でそれぞれ切れる構成になっている。その構成はまるで「3部制」と呼んでも差し支えないくらいで、この辺は巧みだなと思わされる。前作「ラブライブ」では9人が揃うまでにそれなりに時間がかかり、その後「カセが立て続けに発生」し「ドラマが急展開する」印象があった。しかし「サンシャイン」では「前半でポツポツとカセを発生」させ、それを「中盤で回収」し「後半でメインテーマを示す」というしっかりしたドラマ立てになっていた。そういった意味では前作以上に「よくできたドラマ」になっている印象がある。

「ドラマを重視する」構成は「ラブライブ!」シリーズ特有のものでもあり、故に「キャラクターを重視してほしい」視聴者にはすこぶる評判が悪かったりもする。まま、この辺は良し悪しなんだが、結果的に「TVアニメ」をきっかけに本格的な「ラブライブ!ブーム」が訪れた事を考えれば、この方針は「成功だった」ということなんだろう。

少々脱線した。本題に戻ろう。

さて、3部制として分けるとすると、「第1部」はそれぞれの「憧れ」を「肯定」し、そこから生まれる「願い」を描く物語。Aqours結成の発端となった千歌が、「μ'sに憧れてスクールアイドルをスタート」し、いつか「μ'sのようにキラキラする」ことを「願う」ように。

2話の主役となった梨子は「スクールアイドルの音楽」を通して「音楽への憧れ」と「渇望」を取り戻す。

3話では「ファーストライブ」の「失敗と成功」を通して「自分自身のやりたい事」=「憧れ」への思いを再度「肯定」し、今一度「スクールアイドルを続けること」への「希望」を取り戻す物語が描かれた。

4話では「姉への遠慮」故に「スクールアイドル」への「憧れ」を封じ込めたルビィと、「親友の夢をかなえること」を目標としてしまい、自分自身が持っている「スクールアイドルへの憧れ」を封じようとした花丸、それぞれがそれぞれによって「救われ」「願い」を手にする姿が描かれる。

5話では「ヨハネ」という自らの「憧れを具現化した存在」を「普通になるため」に捨てようとした善子が、Aqoursメンバーによって「憧れ」を「肯定」されることで、自らも「ヨハネ」を「再肯定する」ことが出来るようになる...という物語。

というように繰り返し「憧れ」を「肯定」し、そこから生まれる「願い」の価値に関して描き続けたのが第1部といえる。 

 

■「敗れ」が「新たな願い」を生み、「敗者」を救う 中盤(7話~9話)

7話「TOKYO」8話「くやしくないの?」にて物語は大きく展開する。東京でのスクールアイドルイベントに招かれたAqoursはこの地で「惨敗」を喫する。これまで「憧れ」の力を糧に(いや、むしろそれだけを糧にしてきた...といっても良いだろう)突き進んできた彼女達は「憧れ」だけでは突破できない「壁」にぶち当たる

これまで唯一「心の糧」としてきた物に対して、容赦ない「現実」を突き付けられた彼女達は、次に進むべき方向性を見出せなくなる。

「憧れ」を糧に、その「憧れ」を肯定し、されることで集ったAqoursというチーム。「夢は願えば叶う」と本気で「信じる」から、そして「信じよう」と願うからこそ「集まれた」Aqours。しかしその思いは「得票0」=「敗北」という「現実」に「否定」されてしまう。「憧れ」を武器に戦うことを呼び掛けたからこそ、千歌はその「現実」に最も叩きのめされ、「新たな方向性」を示すことができない。

しかし「敗れる」ことは決して悪いことだけではない。麻雀マンガ「天」で天才雀士アカギはこんなことを言っている。

「思うようにいかねぇことばかりじゃねえか・・・ 生きるってことは・・・・!
不本意の連続・・・・・・・時には全く理不尽な・・・ ひどい仕打ちだってある・・・・・!
けどよ・・・・・ たぶん・・・・・・ それでいいんだな・・・・・
無念が「願い」を光らせる・・・・・・・・!
嫌いじゃなかった、何か「願い」を持つこと
そして・・・・・・・・同時に、今ある現実と合意すること・・・・!
不本意と仲良くすること・・・そんな生き方が好きだった・・・・
たぶん・・・愛していた・・・・無念を・・・・!」

叩きのめされ、方向性を失った千歌は初めて仲間の前で自らの「弱さ」を露呈する。泣きじゃくり「悔しさ」を主張する彼女の中には、「憧れ」からではない「願い」が生まれるそれは「0を1にすること」「敗北」という「無念」が新たな「願い」を生み、そしてそれが新たなAqoursの指針となっていく

それぞれの「憧れ」とそこから発せられる「願い」からスタートしたAqoursは、とはいえチームとしてのまとまりに欠けていた。それは共通の「願い」を共有できていなかったからかもしれない。しかし彼女達は同時に同じ「敗北」を経験することで、ついに共通の「願い」を手にすることができた。ここからどこか「儚く」「弱弱しかった」Aqoursが「強いチーム」へと成長していくのは決して偶然ではないように思う。

「新たな願い」が生んだ「強いAqoursは「強固な意志」として「迷える人」に「救いを与える存在」になっていく。その一組目は「3年生ズ」だ。お互いの思いが錯そうし、もはや解決困難なほどこんがらがった彼女達の関係を、千歌を中心としたAqoursは半ば力づくで振りほどき、解決に導く。問題が解決した「3年生ズ」。彼女達もまた「無念」と「願い」を抱えてきた存在であり、故に難なくAqoursへと加わることになる。こうしてAqoursはいよいよ自分たちのアイデンティティを手にし、もう一度大きな戦いへと歩みを進めていくことになる。

また「迷える人」に「救いを与える存在」とはまさしく「MIRAI TICKET」の中に登場する「ヒカリ」のことでもある。ここから終盤へむけて「テーマを置きに行く」ストーリーが始まる。

 

■そして彼女達は「ヒカリ」になる 終盤 (10話~13話)

10話「シャイ煮はじめました」11話「友情ヨーソロー」ではチームとなった「Aqours」の関係性構築と、それ故に今まで見落とされていた問題の修繕が行われた。これは作品を「チームもの」として成立させるための「ならし」としてだろう。特にこれまで見過ごされていた「千歌と曜」二人の関係にメスを入れながら、Aqoursに加入した理由が「千歌に誘われたから」以上のものを持たなかった曜にキチンとした役割を与えるに至った。曜が不遇だ...という意見を言っている人をたまに見かけるのだが、そんなことないぞ!めちゃめちゃ優遇されてるぞ!とは思う(余談)。

12話「はばたきのとき」ではいよいよ音乃木坂へとたどり着く。これまで梨子が「逃げ出した場所」であるが故に「全員で行く」ことが叶わなかった音乃木坂だが、11話において梨子の「カセ」を取り除くことで、遂に「全員で行く」ことが出来るようになる。そこでAqoursに与えられるものは「μ'sの意志を継ぐ」...というもの。同年代のスクールアイドルでライバルでもあるSaint snowの二人が辿りつけていない真理=「何故μ'sやA-RISEは勝つことができたのか」に対する解答を、Aqoursはいち早く手に入れることになる。そしてその解答がラスト曲「MIRAI TICKET」へも繋がっていく。

13話「サンシャイン!」で披露される楽曲「MIRAI TICKET」には「サンシャイン」の物語の全てが集約されている。「μ's」に憧れ「μ's」になりたいと願って始めたAqours。しかしもちろん「μ's」になることは出来ない。手探りの中での敗北。しかしその「敗北」から始めて「憧れ」とは違う「願い」を見出したAqours。それはまさしく自らの「心から溢れ出すもの」だった。「誰かに憧れる」のではなく「自ら輝こう」と提唱したμ'sの意志を正確に受け継いだAqoursは、その気づきを「MIRAI TICKET」に込めた。だからこそ「輝きは心から 溢れ出す」と総括できるのだ

また「憧れ」は目指すものではなく「抱きしめる」ものに変わった。Aqoursが目指すのは「μ's」ではなく「僕たちだけの新世界」になったからだ。はじめAqoursの一員としてライブにでることを望んだ456を始めとする浦の星女学院の学生。しかし彼女達は大会規約によってAqoursとしての出場はできない。しかしこれも「天の采配」だったのだ。なぜなら「誰かに憧れる」ことは「ゴールにはならない」からだ。

物語終盤、本来光が入らないはずの会場に一際輝く「ヒカリ」を見出した千歌はそちらに駆け寄る。そして「みんな、輝こう!」と叫ぶ。その掛け声につられるように走り出したむつは、千歌の言葉の真理に気付いたのだろう。彼女は自ら「輝きたい」という意志を持って走り始める。そしてそれにつられるように大勢の人々が駆け出す。

この表現に関して「会場に近寄るなと言われているのに近寄るとは何事か」と怒っている方もいたが、これはまぁなんだ、メタ表現なのだ。「ラブライブ!」という作品は「ミュージカル作品」故に「メタ表現」を多用するのだけど、これもその一環だ。本当に千歌たちに駆け寄っている...というわけではなく、心理的に「自らの意志で輝くために、大勢の人が走り始めた」ということなのだ。(全て現実に起こっているシーンだとしたら、ミュージカルからMIRAI TICKETへの早着替えもありえないし、最後会場の外に駆け出す千歌もあり得ないだろう)。

千歌たちが目指す「ヒカリ」は「ミライを照らす」存在。それはまさしくμ'sの意志を継ぐ仕事だ。

そしてラストシークエンス。

「私たちがゼロから作り上げたものってなんだろう」

「形の無いものを追いかけて」

「迷って 怖くて 泣いて」

「そんなゼロから逃げ出したいって」

「でも 何も無いはずなのに いつも心に灯る光」

「この9人でしかできないことが必ずあるって 信じさせてくれる光」

「私たちAqoursは そこから生まれたんだ」

「叶えてみせるよ 私たちの物語を」

「この輝きで」

「君のこころは 輝いてるかい?」

自らが「輝きを発すること」が大事なのだと知っているから、千歌は「君のこころは輝いてるかい?」と問いかける。それは我々も共に「ヒカリ」を目指そうではないか、という千歌の問いかけでもある。

君のこころは輝いてるかい?」という楽曲を持ってスタートした「Aqours」の物語が、そのタイトルを持って第1部完となる。これほど美しいエンディングがあるだろうか。そしてその文脈もきれいに回収されている。不満を持つ要素はほとんどないと思うのだが、どうでしょう。

...というわけでTVアニメの総括でした。13話考察よりもきれいに纏まった気はする。

 

さてこれでサンシャインの記事は一旦終了!!!(ライブ感想は書くかもしれませんが)

しばらく充電期間に入りつつ、このブログではほとんど触れていない「ラブライブ!(無印)」について書いていこうと思います。

1話ずつ考察するかは...未定ですが。。

まずはお読み頂きありがとうございました~!

ラブライブ! サンシャイン!! Blu-ray 7 (特装限定版)

ラブライブ!サンシャイン!!  振り返り企画【楽曲編】第7回「想いよひとつになれ/MIRAI TICKET」

アニメ ラブライブ!サンシャイン 楽曲 考察

「あこがれ抱きしめて次へ進むんだ!」

楽曲編はこれがラスト。万感の思いを込めて。

◆「想いよひとつになれ/MIRAI TICKET

TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』挿入歌シングル「想いよひとつになれ/MIRAI TICKET」


Aqours ラブライブ!サンシャイン!! 第11話挿入歌「想いよひとつになれ」CM (60秒ver.)


Aqours ラブライブ!サンシャイン!! 第13話挿入歌「MIRAI TICKET」CM (60秒ver.)

 

説明:

TVアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」挿入歌シングル第3弾。「想いよひとつになれ」は11話挿入歌。「MIRAI TICKET」は13話挿入歌として使用された。「想いよひとつになれ」は桜内梨子を除く8名、「MIRAI TICKET」は9名で歌唱。どちらも物語終盤を彩った。

 

解説:

◆「想いよひとつになれ

劇中では8人編成...という独特のフォーメーションで披露された。これでAqoursは6人編成に続いて「μ'sがやっていない」編成を見せたことになる。その事情は梨子が「ピアノコンクールへ出場することになった」から。本来千歌とセンターを組む予定だった梨子が不在となることで、梨子転入後起きていた変化が浮き彫りになり、その変化をいかにして受け入れていくか...という物語が第11話の物語となった。物語に関する考察は、これまた当ブログの考察記事を参考にしていただきたい。

ishidamashii.hatenablog.com

 「想いよひとつになれ」で印象的なのは、この楽曲がピアノソロに始まり、ピアノソロで終わる点。これはこの曲が本来「海に還るもの」というタイトルで作曲されていたことに関係している。転校直後の梨子は「音楽スランプ」に陥っており、特にコンクールに向けた作曲課題である「海に還るもの」を完成させることが出来ずにいた。その迷いの中で千歌と出会い、「スクールアイドル」に出会い、Aqoursの仲間と出会い、内浦という場所に溶け込むことで彼女は徐々にスランプを脱していく。そして遂に「海に還るもの」を完成させるに至る。スランプを脱し、楽曲が完成した以上本来の目的である「ピアノコンクール」に出場出来るようになった梨子。しかし「ピアノコンクール」は「ラブライブ地区予選」と日程がバッチリ被っていた。その中で自らを救ってくれたAqoursの為にあっさりと「ピアノコンクール出場」を見送る決意をした梨子。しかし千歌はその結論に納得が出来ず、梨子を再度説得する。千歌の意見は「一方のためにもう一方を捨てる...という結論を出さないでほしい」というもの。何故ならその結論が「後悔」に繋がることを千歌は知っている。それは同じような結論を出して失敗した果南と鞠莉の一件があったからこそ分かることだ。自分のことを自分以上に考えてくれる千歌の友情をひしひしと感じた梨子は「地区予選」を仲間に託し、自身の「カセ」となっていた「ピアノコンクール攻略」に向かう。ただし「同じ想い」を持って戦いに挑む以上奏でるのは同じ楽曲。梨子は「海に還るもの」というタイトルや、本来スローテンポだったものをアレンジし「想いよひとつになれ」という楽曲を作り上げる。

想いよひとつになれ」にはそんな物語や、物語内の哲学がはっきりと反映されている。「何かをつかむことで 何かをあきらめない」というパンチラインはまさしく千歌が梨子に語った思いそのもの。そして物語の中でAqoursのメンバーそれぞれが知ったことでもある。姉のことを気遣うあまりに「スクールアイドルへの夢」を諦めかけていたルビィも、親友のことを思ってばかりいて「自分の夢」を無意識に捨てそうになった花丸も、「普通になるため」に「本来の自分」を捨てようとした善子も、「友の将来」のために「自分の思いを振り切った」果南とダイヤも、全て「何かをつかむため」に「何かをあきらめようとした」ないしは「諦めてしまった」人たちだ。だからこそ今度は「何かをつかむために 何かをあきらめない」と高らかに宣言する。

楽曲としては序盤から中盤、そして終盤とピアノの演奏がどんどんドライブしていく感じがたまらない。歌っているのは「8人のAqours」ではあるのだけど、ところどころに「ピアノの伴奏」が入ることで常に梨子の存在を感じることができる。この感覚は「どこにいても 同じ明日を 信じてる」という歌詞そのものだ。

この楽曲に関して思うのは、もしかしたら再度出番があるのではないか?という点。娘のピアノへのスランプを克服するため、沼津へと引っ越してきた桜内家ではあるが、既に根本の問題が解決した。と、なれば梨子が「廃校直前の内浦の高校」に通い続ける必然性はなくなる。この楽曲の2番の歌詞には「違う場所へ 向かうとしても 信じてる」という歌詞がある。もちろんこれは東京でコンクールに向かう梨子に対するメッセージではあるが、もっと広義の意味で捉えると今後の物語にも関与しているのでは?と深読みできてしまう。もちろん憶測に過ぎないけれど、今後更に大きな役割を持つ楽曲になるのでは、と個人的には思っている楽曲の一つである。

ライブではどのように披露されるのだろう。今からワクワクが止まらないが、個人的には逢田さんが梨子のドレスを着て檀上に現れ、ピアノソロを開始→そこからイントロに突入し~という流れになったら泣く。感動で。

 

◆「MIRAI TICKET

13話ラスト、東海地区予選を勝ち抜くべくAqoursが用意した「決戦の歌」。そしてこれからのAqoursが目指すものを示した「決意の歌」でもある。彼女達は「この結論を手にするため」に13話の物語を駆け抜けた。故にアニメを考察する上では非常に重要な楽曲となる。

「君のこころは輝いてるかい」でも、「青空Jumping Heart」でも「分からない」と告げていた「目的=ゴール」。それがこの「MIRAI TICKET」では明確に示されている。彼女達が13話の物語を終え目指すと決めたのは「ヒカリになる」こと。そしてその目的は「ミライを照らす」ため。これらのテーマは「μ'sが後身に託した願い」とまんま合致する。

後身のスクールアイドルの「ミライを照らす」ために作られた楽曲がSUNNY DAY SONG。ここには「ポジティブに自分の可能性を信じれば」「自ら輝きを放つ存在になれる」というμ'sのメッセージが含まれている。12話においてμ'sの願いと思いを正しく受け継いだAqoursは、このメッセージを正確に把握出来ている。だからこそ「輝きはこころから 溢れ出す」と歌詞の中で結論づけているわけだ。

ラブライブ!サンシャイン!!」第12話においてμ'sは「学校に自分たちの痕跡を何も残さなかった」ことが語られる。それは後身に「自分たちを目指す」のではなく「それぞれのやり方」で「輝き」を放って欲しいと願っていたからだ。そういったμ'sの思想は実は様々な楽曲に反映されている。

例えば2期OPそれは僕たちの奇跡は、様々な意味をもった楽曲だ。一義的にはもちろん「自分たちが叶えた奇跡」の歌である。しかし歌詞の内容を読むとそこには「自分たち」に対する視線がそれほど含まれていないことに気付く。「さぁ 夢を 叶えるのは みんなの勇気 負けない心で 明日へ駆けて行こう」このサビ部分だけ抜き出しても、フォロワーに対する呼びかけになっている。そもそもタイトルの「奇跡」は「軌跡」とひっかけたダブルミーニングになっていて、これに倣ってタイトルを変更すると「それは僕たちの軌跡」となる。このように変えると急に突き放した印象になるが、これこそがこの楽曲がもつ本来の意図なのでは、とも思える。「これは僕たちの軌跡であって君たちの軌跡ではない。君たちは君たちだけの軌跡を描いてほしい」というμ'sの思想をこの歌詞から感じるのである。

あるいは僕たちはひとつの光に関してはどうか。劇場版のラストを飾る楽曲であり、メンバーの名前を入れ込んだ意欲的な詞のせいで楽曲の持つ本来のテーマがあやふやになりがちだが、このタイトルにも二つの意味が込められているように思う。一つはもちろん「メンバーが集まり一つの光になった」という意味。しかし一方では「僕たち」は「数多ある光の中の一つ」という捉え方も出来る。どうしても神格化されがちなμ'sではあるが、自分たちを「世の中に数多ある光の中の一つに過ぎない」とし、自らが「神格化されることを拒否しつつ」「皆も同じようにオンリーワンの光を目指してほしい」という表現にも思える。もちろん考えすぎかもしれないが、そう捉えれば、μ'sが「音乃木坂に自分たちの痕跡を残さなかった」理由にもしっかりと合致してくるのである。

ここまで考えると、とたんに「MIRAI TICKET」の歌詞も分解できるようになる。例えば「あこがれ抱きしめて 次へ進むんだ 僕たちだけの新世界が きっとある」の部分。「あこがれ」とは「μ'sへの憧れ」だろう。ただしそれは「目指す」ものではなく、「次に進む」ための「糧」となるもの。だからこそ彼女達は「あこがれを抱きしめる」わけだ。そして彼女達が目指すのは「μ's」ではなく「僕たちだけの新世界」になった。

「僕たちだけの新世界」を目指すのは「ヒカリになろう」とするため。そんなAqoursに「何がしたい?」と問いかけるのは「青い空」。「青い空」につきものなのは、「太陽」で、「太陽」といえばやはり「SUNNY DAY SONG」。ここから彼女達が「SUNNY DAY SONG」のメッセージを受けて「ヒカリ」を目指している...という構造が分かる。

Aqoursが目指すのは「ミライを照らせる」だけの「大きなヒカリ」。しかし今のAqoursではそのレベルの「ヒカリ」には達していない。とはいえ始めた時には「目標=未来」すらあやふやだったAqoursが、「自分たちがスクールアイドルをやる理由」をしっかりと見据えることが出来ただけでも大きな進展だ。そしてそんなAqoursの成長を描いたのが「ラブライブ!サンシャイン!!」という物語だったのだ、とも総括できる。

彼女達が「やっと手にした」MIRAI TICKET」。しかし、それは「ヒカリになる」航海を始めるための交通手形に過ぎない。可能ならば彼女達の航海の様子をもう少し見てみたい。そして出来るなら「ヒカリ」になった瞬間を見ていたい。「今はもう 迷わない」と告げる「強いAqours」の活躍を楽しみにしつつ、この稿を終わりとしたい。

長々とおつきあい頂きありがとうございました!

さて、なんとか間に合いそうなので、次回で「ラブライブ!サンシャイン!!」一期の物語を総括しようかな?と思っています(今回割とやっちゃった気もするけどさ)。

それを終えたらいざ横浜アリーナへ!!

ラブライブ!サンシャイン!!  振り返り企画【楽曲編】第6回「夢で夜空を照らしたい/未熟DREAMER」

アニメ ラブライブ!サンシャイン 楽曲 考察

「歌ってみよういっしょにね!」

今回は思い入れたっぷりな2曲。

◆「夢で夜空を照らしたい/未熟DREAMER

TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』挿入歌シングル「夢で夜空を照らしたい/未熟DREAMER」


Aqours ラブライブ!サンシャイン!! 第6話挿入歌「夢で夜空を照らしたい」CM (60秒ver.)


Aqours ラブライブ!サンシャイン!! 第9話挿入歌「未熟DREAMER」CM (60秒ver.)

説明:

TVアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」挿入歌第2弾。「夢で夜空を照らしたい」は第6話、「未熟DREAMER」は第9話の挿入歌として、それぞれ重要な役割を果たした。「夢で夜空を照らしたい」は3年生を除く6名、「未熟DREAMER」は9名での歌唱。なお劇中はじめて9名で歌うのが「未熟DREAMER」である。

 

解説:

◆「夢で夜空を照らしたい

とても個人的なことを言わせてもらえば、この「6人編成」のAqoursが好きだ。2話から6話までの物語を通して集まったこの「6人のAqours」は、皆が皆胸に希望や夢を抱きながら、その思いを「どう表現すればいいのか」に悩み続けたキャラクター達だ。彼女達は似たような痛みや弱さを抱えていて、全体的にとてもナイーブな印象がある。μ'sには"穂乃果"という絶対的な推進力がいて、彼女が「μ'sの弱さ」を補てんしていた印象があるが、Aqoursには穂乃果がいない。故に発せられる「チームとしての儚さ」が「6人のAqours」にしかない「いじらしさ」を感じさせて、それが8話9話で描かれる「敗北」そして「復活」の物語から得る深い感動に繋がっている気がする。

少々脱線してしまったので楽曲の話に戻ろう。「夢で夜空を照らしたい」は第6話「PVを作ろう」の挿入歌として登場した。「PVを作ろう」がどんな物語だったか...は当Blog内第6話考察をご一読いただきたい。

ishidamashii.hatenablog.com

「6話におけるこの曲の意図」に関しては、上記記事に記載させていただいたので、今回は割愛する。では「ラブライブ!サンシャイン!!」という物語の中においてどのような意味を持つ曲なのか...というところに触れてみよう。

 歌詞を見てみると、冒頭の「気持ちだけほかになにもない」をルビィが歌い、それを「違うんだよ こっちきて 心の眼でみたら」と花丸が受ける。これは第4話での二人の物語を思い起こさせる。また「波が映した 星の輝き 遠い憧れの色」「いつか叶うことを信じれば」を千歌と曜が歌い「明日への 道が多分」までを梨子が引き継ぎ、「分かるんだ」を3人で歌う。ここも第2話・3話のストーリーを思い出させる。このように「6話までの物語」が歌詞内に散りばめられているのが分かる。

また「扉」や「階段」というモチーフはどう捉えるべきか。「扉」から想像できるのは「ユメノトビラ」、「階段」は「神田明神に繋がる階段」と、どちらも「μ's」を想像させるモチーフではある。ただし「ユメノトビラ」は2話において「千歌がスクールアイドルを目指すきっかけとなった曲」としても登場した。また「階段」はAqoursの文脈においては「淡島神社」へと続く階段だ。同じ「モチーフ」でも「別の文脈」として登場するからこそ「夢のかたちは いろいろあるんだろう」と繋がっていくわけだ。

そしてこれらは「ラブライブ!サンシャイン!!」の物語の中では「夢に出会う」ための「モチーフ」として機能した。例えば「ユメノトビラ」は梨子が失っていた「音楽への衝動=夢」を取り戻すきっかけになり、「淡島神社」への「階段」を登りきる事は、ルビィが己の殻を破り「スクールアイドルへの夢」を叶えるきっかけになった。だからこそ「叶えたい夢に出会えて 良かったねって つぶやいたよ」と結ばれる仕組みになっているのだろう。

「ここから始めよう」と歌うこの曲の価値は、「東京」で敗れた後ほど良く分かる。この曲を通して「沼津」や「内浦」の魅力や、そこに住む人々のことを愛せるようになったからこそ、Aqoursは再び立ち上がることが出来た。そしてその事実に「6人のAqours」で気付けたことがとても大事だった。その気づきを通して、過去に挫折を経験した3年生3人と同じ視点を共有できるようになったからだ。Aqoursが6人から9人への完成形に至る上で最も重要な曲だとも言える。

 

未熟DREAMER

未熟DREAMERに関しては、あまりにも感動的な構成と歌詞に驚愕し、発売時に既に語りつくしてしまった感がある(笑)。重複する部分もあるかもしれないが、ここで再度書いておきたい。ライブ前の振り返りなのでご容赦を。

まず楽曲としてAqoursには珍しいミドルテンポの曲である。ただこのテンポが非常に心地よく胸に響き、なおかつ歌詞を耳にスっと沁み渡らせる効果をもたらしている。

肝心の歌詞だが、

「いつもそばにいても 伝えきれない思いで 心迷子になる ナミダ」までを果南が歌い、「忘れてしまおう 歌ってみよう」と千歌・曜が引き継ぎ、最後に3人で「一緒にね」と締める。

続いて「言葉だけじゃ足りない そう言葉すらたりない 故にすれ違って 離れて」までをダイヤが、続く「しまったことが かなしかったの」を花丸とルビィが引き継ぎ「ずっと気になってた」を3人で歌う。

さらに「分かってほしいと思う 気持ちが止まらなくて きっと傷つけたね それでも」までを鞠莉が、「あきらめきれない 自分のわがまま 今は」を梨子と善子が引き継ぎ「隠さないから」を3人で歌う。...とすべて同じ構成がAパートでは繰り返される。

これら3年生組がソロで歌う部分は、彼女達が1年生~今現在に至るまで「止めてしまっていた時間」を表現する部分であり、彼女達それぞれの「本音」でもある。そこに1年生・2年生のメンバーが言葉を継ぐことで、3年生組を「救っていく」構成になっている。これはアニメ内で描かれたストーリーともリンクしている。

そして「力を合わせて 夢の海を 泳いでいこうよ」を3年生3人で歌い、それを千歌が「今日の海を...!」と引き継ぐことでサビへと突入していく。かつて3年生3人が1年生の時に願った夢を、今度は9人で今一度走り出すことを宣言する。それを宣言するのが千歌であるのも非常に感動的だ。

2番へのブリッジでも「やっと一つになれそうな 僕たちだから」を3年生3人が歌い、「本音ぶつけあうことから 始めよう」を残りの6人が受ける...とことさら9話のストーリーを意識した構成がされているのもたまらない。

極めつけはラストサビに入る前の「3年生3人によるサビ歌唱」だ。アニメを見ていれば気付くのだが、このサビの歌詞(どんな未来かは~)は果南たちが1年生の段階で存在していたことが分かっている。ということは様々なすれ違いさえなければ、本来は彼女達3人が花火大会で披露していたかもしれない曲...ということになる。しかしながらその思いは果たされず、曲と歌詞だけが今は誰もいない「元スクールアイドル部部室」の「白板」にだけ消えずに残っていたわけで、それが今2年の時を経て動き始めたことを考えると、3年生のみでのサビ歌唱にはグッと胸に迫るものを抑えきれない。

すれ違いの結果失ってしまった2年。しかしそのすれ違いと和解を経て、もう一度「楽しくなるはずの未来」へ向かって航海を始めた3年生。そんな彼女達のアンセムとなるべき超名曲である「未熟DREAMER」は、「ラブライブ!サンシャイン!!」というドラマの中でもハイライトとなる楽曲だった。ライブでも恐らく特別な一曲として登場するはずで、今からどんな演出が行われるのか、楽しみでならない。

 

というわけで第6回でした。

次はいよいよ楽曲編最終回!

ラブライブ!サンシャイン!!  振り返り企画【楽曲編】第5回「ユメ語るよりユメ歌おう」

アニメ ラブライブ!サンシャイン 楽曲 考察

「進むときだよ、新しい場所へ!」

今回はEDテーマです。

TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』ED主題歌「ユメ語るよりユメ歌おう」


Aqours ラブライブ!サンシャイン!! ED主題歌「ユメ語るよりユメ歌おう」CM (60秒ver.)

説明:

TVアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」EDテーマ。歌唱はAqoursメンバー全員。テレビアニメでは「ラブライブ!」に倣う形で、その回の主役となったメンバーが歌唱するVerが流れた。其の為、例に漏れずサントラにはその全Verが収録されていて、サントラ終盤で延々と聞かされるハメになる。でも「ダイスキだったらダイジョウブ!」(無理やり)。C/Wは「サンシャインぴっかぴか音頭」という反応に困る曲(後述)。

 

解説:

ユメ語るよりユメ歌おう

TVアニメでは第2話からEDテーマとして使用。その後12話まで毎回使用された(13話はMIRAI TICKETがEDテーマ)。この曲に関しては、果たして本来の意図がどの程度まで伝わっているのか...といつも思う。そもそも「ユメ語るよりユメ歌おう」ってどういう意味だ?一応歌詞の中で説明はある。「ユメを語るコトバより ユメを語る歌にしよう それならば今を 伝えられる気がするから」と。しかし、これでは少しわかりづらい。元ネタは毎度おなじみ「劇場版ラブライブ」にあるように思う。「ユメを語るコトバより ユメを語る歌にしよう」とは「劇場版ラブライブ」のストーリーそのものだ。

活動が終わりを迎える中で、後輩たちに「何か」を残す必要を感じたμ's。そんなμ'sに「スクールアイドルみんなの曲」の制作を依頼したのはA-RISEのツバサだった。穂乃果はその願いを快諾する。彼女達「スクールアイドルの成功者」が残したいと願ったのは、「スクールアイドルの可能性」を伝える「歌」。彼女達がなぜ「歌」をチョイスしたのか...というのは愚問だろう。それはもちろん彼女達が「歌」によって「想いを伝える」「アイドル」だからに他ならない。「アイドル」という視点を除けば、「歌」は元来「言葉」をより「ダイレクト」にそして「幅広い人に届けるため」に発展してきた背景がある。だからこそ「歌」は「言葉」よりも普遍的なのだ。

μ'sとAーRISEが中心となり、全国のスクールアイドルから言葉を集めて制作されたのが「SUNNY DAY SONG」。その歌詞はまさしく「ユメを語る歌」そのものだった。そしてその中で語られる思想は「輝きになろうなんて言える今の気分」を「楽しむ」というもの。「今を楽しむ」という思想は「僕たちはひとつの光」においてより強調されるわけだが、「SUNNY DAY SONG」はその思想を後世に語り継ぐべき作成されたもの。だからこそ「SUNNY DAY SONG」に強い影響を受けているAqoursは「今を伝えられる気がするから」と語るわけだ。「ユメ語るよりユメ歌おう」歌詞内の「今」は、μ'sが強調した「今」と直接つながっている。

もう一つ、この曲が重要なのは、物語の内容にも深く関与しているところだ。例えば「ユメを語るコトバから ユメを語る歌が生まれるんだ ひろがるこの想いは 大好きなメロディーのつながりだよね もう逃げないで 進む時だよ 新しい場所へ」はこの曲がアニメ内で初登場した第2話のストーリーをはっきりと思い起こさせる。千歌によってユメへの渇望を取り戻した梨子。そのきっかけとなったのは千歌の「大好きなメロディー」である「ユメノトビラ」だった。「ユメノトビラ」を通じて「音楽への渇望」を梨子が取り戻すことで、Aqoursの物語が始まり、梨子も前へ進むことができるようになったわけで、歌詞の内容と物語が完全に一致している。

2番はTVでは聴くことが出来なかったが、こちらは3年生ズ(特に果南と鞠莉)の物語に深く関与している。「君が のぞむ ことを 僕も 願ってた 心は近づいている それが嬉しいね」という部分の歌詞は、「君が~」から「願ってた」までを果南と鞠莉の二人で歌唱している。願いや思いは一致していたのにすれ違ってしまった二人の物語そのものがこの部分に表現されている。続く「ミライのぞむ言葉から ミライ望む歌になるよ それこそが今の 飛び出したい胸の熱さ ミライ望む言葉から ミライ望む歌が溢れだしたら 止めないでよ 遠くへ 大好きなメロディと 旅に出るんだ ほら楽しくて どこまでも行こう 新しい季節(シーズン)」と言う部分も、9話「未熟DREAMER」のストーリーを思い出させる。「楽しくなるはず」の「ミライ」を再び描き出したからこそ、彼女達は「止まっていたシーズン」を動かすことが出来た。どこまでも「TVアニメ ラブライブ!サンシャイン!!」のために作られた楽曲としての徹底したデザインを感じる良曲だ。

ライブでは恐らく通常公演のラストに歌われるはず。ED曲を歌う際に感極まるキャスト...というのはμ'sではよくあったが、Aqoursは冷静に歌えるのだろうか(笑)。仮に彼女達が冷静に歌っても、こちらはめちゃめちゃ感動してエライことになりそうだが。。

 

・サンシャインぴっかぴか音頭

最初に字面で見たときは「お、お、音頭??」とたまげたが、確かに古来より「アニメに音頭」はつきものだった。子供縁日では未だに「ドラえもん音頭」は定番だろうし、アニメ声と音頭というのは異様な相性の良さがあったりするのだ。

音頭というのはそれこそ「普遍的な歌」であり、ものによってはめちゃめちゃカッコいいやつもある。それの特集もラジオでやったりしたし。


宇多丸のタマフル 2014年08月23日 サタデーナイトラボ「音頭ディスコNIGHT特集」ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル TBSラジオ

ちなみに角松敏生の「あいらびゅ音頭」はめちゃくちゃかっこいい。

....脱線しすぎた。というわけで「音頭」と思ってなめてかかると、とても良曲。各メンバーのソロパートもあり、それぞれが思う「音頭っぽい」歌い方を追求している様も比較すると面白い。

ライブでは使い道があるのかしら?季節的にも恐らく出番はなさそう(笑)。今後夏のライブに期待しよう。

 

 

楽曲編も残り二つ。なんとかライブ本番に間に合う!?

ラブライブ!サンシャイン!!  振り返り企画【楽曲編】第4回「決めたよHand in Hand/ダイスキだったらダイジョウブ!」

アニメ ラブライブ!サンシャイン 楽曲

今回は挿入歌シングル第1弾。2年生曲2つですね。

◆「決めたよHand in Hand/ダイスキだったらダイジョウブ!

TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』挿入歌シングル「決めたよHand in Hand/ダイスキだったらダイジョウブ!」


Aqours ラブライブ!サンシャイン!! 第1話挿入歌 「決めたよHand in Hand」CM(60秒ver.)

説明:

TVアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の劇中挿入歌シングル第1弾。歌唱メンバーは2年生メンバー=高海千歌桜内梨子渡辺曜の3名。「決めたよHand in Hand」は第1話挿入歌。「ダイスキだったらダイジョウブ!」は第3話の挿入歌として使用された。フルコーラスを聴けるのはシングルだけだから、絶対買いだね!(雑な宣伝)

 

解説:

決めたよHand in Hand

実質第1話のED曲として使用された。スクールアイドルを始めたい...と思いながらその行く末に不安を感じていた千歌の元に舞い降りた「奇跡」。それが「音乃木坂=μ'sの母校」からやってきた「作曲のできる」転校生...梨子だった。そんな「奇跡」と共に訪れた「希望」を高らかに歌うのが、この「決めたよHand in Hand」である。

楽曲の使われ方自体はラブライブ1期での「ススメ→トゥモロウ」と一致しており、同曲との類似性を指摘する声も多かったが、個人的には上記に加えて「Future Style」へのオマージュもささげた楽曲のようにも感じた。「未来への希望」や「前向きな気持ち」を歌う歌詞はもちろん「ススメ→トゥモロウ」と同じ。しかし劇中登場するPVのモチーフはどちらかといえば「Future Style」に近い。学園の中庭にある大木、そのすぐ横にベンチがあるロケーションでの歌唱は「Future Style」を意識してのもの。また大木に桜が咲く演出も、μ'sの2年生3名が桜をバックに歌ったことへのオマージュだろう。両手を重ねて前に伸ばす振り付けや、お互いの掌を合わせる仕草にも見覚えがある。このような表現をチョイスした理由は、「千歌がμ'sに影響を受けてスクールアイドルを始めたから」に他ならないだろう。「Future Style」は「ススメ→トゥモロウ」で提示したテーマをより純化し、自分たちの「フォロワー」に対して呼びかける楽曲だった。故にそれを「受けて」スクールアイドルを始めた千歌たちにも、その表現を引き継がせたのだろうと想像できる。

ただ、劇中ではこの曲は千歌の脳内妄想でしか流れず、結果として最初のお誘いは「お断り」されてしまうのだが。ただし「手に手をとって行こう」というこの曲のメインテーマは、2話へと引き継がれていく。結果として千歌と梨子がお互いの「掌を合わせる」ことで「Aqours」の物語が本格的に動き始めるのだから、この曲は2話へのブリッジとして十分に機能していると言って良い。そういう意味では「挿入歌」としても明確な機能性をもった楽曲とも呼べる。

 

ダイスキだったらダイジョウブ!

3話挿入歌として使用。「第3話」での「ファーストライブ」...というキーワードを聴いただけで「ラブライブクラスタ」には嫌な予感がちょちょぎれたわけだが、その期待に応えるようにライブ会場には少数の動員。Aqoursの厳しいスタートを象徴する楽曲となった。とはいえ、物語後半にはそれが鮮やかに切り返され、この後のAqoursの物語、ひいては「ラブライブ!サンシャイン!!」の物語の「キモ」にもなっていくのだから恐れ入った。

楽曲の構成としては、その使用法も含めて「START=DASH!」との類似点を挙げる方が多く、「最終回で全員で歌う?」などの予想も流れたが、結果としてそういう使用法は為されなかった。個人的には初めて聞いた段階で、「そのような起用法はされないのでは?」と予想していた。というのも、この曲は「START=DASH!」のような悲壮感には包まれておらず、全体的に「希望に満ち溢れた」楽曲になっているからだ。そういう意味では「決めたよHand in Hand」と同じく「ススメ→トゥモロウ」に文脈を持つ楽曲という認識をしている。

何故この曲におけるAqours3名が、「見つけた」「キラリと輝くトキメキ」を「ダイスキがあればダイジョウブ」と無邪気に信じられるのか...といえば、それは「μ's」という成功例があるからだ。本当の「0」からスタートしたμ'sは頼るべく道しるべがなかった。だからこそ「熱い胸 きっと未来を切り開くはず」と、「自分自身の中にあるトキメキ」に全てを託すしかなかった。そんな彼女達が「トキメキ」をはっきりとした「輝き」へと変化させ、その成功例を後世に伝えたからこそ、μ'sのフォロワーは「トキメキ」を信じることが出来るのだ。

3話ではまばらな客席にショックを受けながらも、千歌は勇気を振り絞って「スクールアイドルへの一歩」を踏み出す。それもまた「μ'sの歴史」があるからこそだ。彼女達も観客0のライブに挫けそうになりながら、そこに駆け込んできたたった一人の観客=花陽のために歌うことで、μ'sとしての歴史をスタートさせた。その「歴史」を知るからこそ、千歌も勇気をもって踏み出すことができた。そしてその事実を認識しているからこそ、千歌はμ'sへの思い、憧れを隠さず語る。停電アクシデントで音源・証明が落ちたとしても、歯を食いしばって歌い続けるのも、μ'sが「あきらめないことの大切さ」を教えてくれたから。自分たちがスクールアイドルを始めることが出来たのも、全ては「μ'sがいたからこそ」と千歌ははっきりと分かっているのだ。

停電状態は生徒会長ダイヤの動きによって解決。また、まばらな客席も千歌の伝達ミスが原因だったことが分かり、最終的に会場は満員に。「失敗確実」と思われた「ファーストライブ」は大逆転で「成功」に終わる。そんな「成功」を「地元の暖かさ」と「μ'sをはじめとしたスクールアイドルたちのおかげなのだ」と切り捨てるダイヤは、このシーンの意図を明確に伝えるための存在。しかしその言葉にも千歌は「分かっています」とはっきりと答える。そう、千歌はそんなことは分かっていた。自分たちの「成功」が自分たちによるものだけではないことを。それでも「始めざるを得なかった」のは「大好きだから」に他ならない。「大好きなこと」が見つかったら、「まず始めよう」という考えはそれこそμ'sが「ススメ→トゥモロウ」「START =DASH」そして「SUNNY DAY SONG」で伝えてきたメッセージそのもの。Aqoursは「スクールアイドルとしての一歩目」を踏み出すと同時に、「μ'sの意志を継ぐ者」の一歩目も正確に踏み出せていた...ということになるわけで、非常に感慨深い。

とはいえこの時のダイヤの指摘がのちのちAqoursには「課題」として降りかかる。そしてその課題もまた「挿入歌」の中で消化していくわけで、「ラブライブ!サンシャイン!!」にとって挿入歌がどこまでも重要な存在であることが実感できる。

ライブではこの2曲どのように披露されるのか。個人的にはμ'sの3rdLIVEのように、アニメのストーリーを再現するような形で披露されたら嬉しいなと思う。アニメのストーリーと、楽曲とか直接結びつき、2.5次元としか表現しようのない空間が生まれるのが「メディアミックス作品」の醍醐味だと思うので。

 

というわけでライブ開催まで1週間を切りましたね。

ここからは急ピッチで行こうと思います。頑張りますw

ラブライブ!サンシャイン!!  振り返り企画【楽曲編】第3回「青空Juming Heart」

アニメ ラブライブ!サンシャイン 楽曲

 「見た事ない夢の軌道を追いかけて」今回はTVアニメ主題歌です。

◆「青空Jumping Heart

 

説明:

TVアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の主題歌としてリリース。その為ナンバリングのシングルにはなっていない。オリコン最高順位は4位。カップリングには「ハミングフレンド」を収録。更に「Aqoursオープニングメンバーカード」も付いてくる。かわいー!(語彙力)

TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』OP主題歌「青空Jumping Heart」


【試聴動画】Aqours ラブライブ!サンシャイン!! 「青空Jumping Heart」「ハミングフレンド」

解説:

・「青空Jumping Heart

青空Jumping Heartは、OPテーマにふさわしく、TVアニメにおける「Aqours」と「ラブライブ!サンシャイン!!」の「始まり」を告げる歌だ。ここから「MIRAI TICKET」へと繋がっていく曲の流れそのものが「ラブライブ!サンシャイン!!」の物語でもあった。

青空Jumping Heartには「サンシャイン!!」を語る上で欠かせないキーワードやフレーズが詰め込まれている。例えば「見たこと無い夢の軌道 追いかけて」というファーストフレーズは印象的だ。この1節だけで、Aqoursがμ’sの物語を「追いかけない」ことが分かる。「μ'sの物語を追いかけない」という意志は「はじめたい My story」というフレーズからも伝わってくる。「AqoursAqoursであること」の「意味=アイデンティティ」を見つけることが「サンシャイン!!」という作品の主題であることが、この曲を聴くだけでも理解できるようになっている。

また「太陽」や「Sunshine」は引き続き登場する象徴的なモチーフ。「君のこころは輝いてるかい?」の項でも触れたが、「サンシャイン」が「μ's」から....というよりも「SUNNY DAY SONG」からその哲学を引き継いでいることが、これらのフレーズから改めて実感できた。「SUNNY DAY SONG」の哲学に導かれた、「大いなる全能感」と「意志」が歌詞に反映されているからこそ、この楽曲は大きなポジティブなイメージに包まれているのだろう。しかし、反面彼女達を支えるのはその根拠のない「全能感」だけ。「叶えたい夢」も「未来」も「ゴール」も全てはまだ「説明できない」。だけれどもとにかく走り出す。その切実なまでの疾走感がまた聴く側のこころを打つ部分でもある。

「MyStoury」を始めたいと願い、「My future」を変えたいと願った彼女達が見つけた一つの「ゴール」。それが「MIRAI TICKET」であると考えると、よりドラマティックに二つの楽曲を楽しめるし、「サンシャイン」の物語そのものも楽しめるはずだ。

 

・ハミングフレンド

Aqoursの楽曲ではめずらしいEDM曲。雰囲気的にはlivetuneを想起させるようなメロディライン。「メロディ」に特化した評価ではあるけど、個人的にはAqoursのあらゆる楽曲の中でも1・2位を争う位好きな曲でもある。昨年12月のミニライブでは既にお披露目済み。一人ひとりのソロパートがはっきりとある曲って、それだけですごく好きになる。ただ、その分歌唱力が試されるわけでもあるけど。

 

さて、次回は2年生曲ですね。

ラブライブ!サンシャイン!!  振り返り企画【楽曲編】第2回「恋になりたいAQUARIUM」

アニメ ラブライブ!サンシャイン 楽曲

 楽曲振り返り企画第2弾は、やはりセカンドシングルです。

恋になりたいAQUARIUM

恋になりたいAQUARIUM(Blu-ray Disc付)


【試聴動画】Aqours 2ndシングル「恋になりたいAQUARIUM」

 

説明:

 2016年4月リリースのAqours2ndシングル。表題曲のほかに「待ってて愛のうた」「届かない星だとしても」さらにドラマパートも入っているし、もちろん美麗なPVも付いているぞ!凄い!(小並感)

解説:

恋になりたいAQUARIUM

 「恋になりたいAQOUARIUM」はなんとも不思議な楽曲だ。シングルであるにも関わらず、未だにミニライブでの披露はなし。残念ながらちょっぴり影の薄い楽曲であることは否めないだろう。この曲が何故そんな存在になっているのかには、様々な要因があるはず。考えられる一つはこの楽曲に託されたタスクだろう。「ラブライブ!サンシャイン!!」という作品が、沼津・内浦という場所と切っても切れない作品なのはアニメを見た人であれば同意いただけるはず。その関係の深さは、「聖地巡礼」目的の誘致...というだけではない、もう少し深い、作品の精神性に根差した関係性のようにも思う。そんな「作品の精神性」を陳腐にしないためには、その舞台を広く周知する必要がある。「恋になりたいAQUARIUM」にはアニメ開始前の大事なタイミングで、内浦という舞台を知らしめるタスクが課せられたように思える。PVで登場する三津シーパラダイスでAqoursのメンバーは活き活きと動き、その姿から我々は、彼女達が実在するような感覚を得る。そしてそれはもちろん、沼津、内浦、三津、淡島へと我々を誘う効果ももたらした。アニメ放送前に内浦を訪れ、感じることで、作中に登場し、彼女達が歩く景色を我々は陳腐には感じなくなる。そしてその経験が物語への没入を強めた。この楽曲が作品人気を高める要因になったことは無視できないだろう。

もう一つ、この楽曲が難しい存在になっているのは、そのタスクが我々の求める「タスク」とは少し違っていたからかもしれない。何故ならばこの曲は「2ndシングル」だからである。μ'sの2ndシングルは「snow halation」。「ラブライブ」において、というよりも2000年台のJ-POP史に名を残すかもしれない楽曲と比較されるのはあまりにも酷だが、この曲がプロジェクト「ラブライブ」の2作目における「2曲目」である以上、嫌でも意識されてしまう。そういった意味では不幸な生い立ちともいえるのかもしれない。

楽曲自体は非常にポップな仕上がりだ。それも初の総選挙で1位を獲得し、同曲のセンターを務める曜のキャラクターに沿ってのものかもしれない。とはいえ、その歌詞の世界は実のところ「snow halation」に近い。「snow halation」では「恋の予感」に勇気をもって飛び込む瞬間の煌めきのようなものを「雪に対する光の反射」に託した。「恋になりたいAQUALIUM」では「恋の予感」に飛び込むことを「水槽に潜る」ことに託し、その煌めきを「水中のアワ」として表現した。実は構造も精神も非常に似た楽曲と言える。反面「恋の予感」に対する「切なさ」のようなものが補てんできず、それがこの2曲を分ける決定的な差になってしまっていはいるのだけど、そこはカップリングの「待ってて愛のうた」が補完していたりする(後述)。

なんにせよ、この楽曲は横浜アリーナが初披露となるはずで、恐らく衣装を着て登場してくれるのでは?と今からワクワクしているうちの1曲だ。

 

・待ってて愛のうた

「待ってて愛のうた」は、Aqoursにとっては初のバラードとなる曲で、初聴時は「そう来たか」と驚いたものだ。というのも、この曲こそが「snow halation」の正統なフォロワーソングになっていたからだ。

μ'sは「名前のつけようのない切なさ」に、あえて「snow halation」という名前を付けることで、グループ初の「ラブソング」を作り上げた。けれどもAqoursはまだその「切なさ」を感じたことがない。それは「そんな強い気持ちなんて まだわからない」「胸を焦がす恋のチカラ 想いっきり歌ってみたいけど(先のことだね)」といった歌詞から明らかでもある。

彼女達はまだ「snow halation」を歌う準備ができていない。しかしいつかは「snow halation」のような、「ラブライブ」に興味が無い人でも感動させられるような歌を歌いたいと願っている。だからこそ「いつかは 心からの気持ちこめて 歌ってみたいから」と繋ぐ。

「待っててくれるかい もっとステキになりたいよ」とは我々へのメッセージであり、約束だろう。今はまだ発展途上のAqoursが、今後どのようなグループへと成長していくのかは未知数だけれども、我々はその過程を追いかける楽しみを共有できている。その先にある「ラブソング」を心待ちにしながら、まずはこの「待ってて愛のうた」がどんな形で披露されるのかを心待ちにしている。

 

・届かない星だとしても

2曲目でビックリさせて3曲目で安心させる、Aqoursらしさ前回の元気ソング。歌詞のメッセージは「君のこころは輝いてるかい?」に近いところもあり、なんとなくだけどシングル楽曲のコンペティションで惜しくも主題曲の座を逃した楽曲なんではないか?と想像したりしている。